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間宮高校は、泣いてもいい

設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください。


 E大陸、海岸付近。今そこでは、凄まじい羽ばたきの音と共に爆風が吹き荒れていた。


「わぁっとととっ!? と、飛ばされちゃいますよ!」

( 待ってろ、今アイテムを……!)


 戦闘力に関係なく、小柄な分体重の軽いカズサはまともに立ち上がれないくらいの烈風だ。地面に紫電の刃を突き立てて何とか堪えているけど、このままじゃ危ない……!


(レアものだけど、四の五の言える相手じゃないか!)


【アイテムボックス】から取り出したのは、丸められた一枚の羊皮紙。これは一度だけ魔法スキルを使える使い捨ての護符……その上位版みたいなもので、手に持って念じることで、辺り一帯に重力を発生させることが出来る。

 本来なら敵の動きを止めるのに使うアイテムだが、今回は応用でカズサの体が飛ばされないようにする為に発動してみた。


「……っ」

(大丈夫か?)

(ん……問題ないっすよ。ちょっと肩にズシッてきましたけど、動きに支障は出ないと思います)


 周囲の木々が軋みを上げ、枝は垂れ下がって圧し折れるが、効力としては数ばかりが多い雑魚モンスターの動きを封じる程度。【アイテム強化】込みでも、カズサの動きを阻害するほどではない。

 まぁその程度の効果でも、重力操作系のマジックアイテムはレアだから調合して強化したかったところなんだけど……そうも言ってられん。


(飛び回りながら強風で動きを大きく阻害してくるなんて、とんだ害悪モンスターだ)

(もしモンバスで出てきたら、プレイヤーというプレイヤーに嫌われそうですよね。相手にする分にはとにかく疲れる系の)


 ホログラム画面の視点を変え、爆風を発生させる忌々しいモンスターの姿を見やる。目の前の大画面には、青空を背中に急降下する、一本足の巨大な鷲の姿をした怪物が、鋭利な爪を光らせながらカズサに迫っていた。


 ―――――――――――――――――――――――――

 種族:フレスベルグ

 戦闘力:379876

 巨人を持ち上げる伝説を持つ大怪鳥。その羽ばたきは竜巻を巻き起こし、都すらも瓦礫の山に帰る天空の覇者の一角。

 ―――――――――――――――――――――――――


 鳥型のギガントモンスター、フレスベルグ。それもE大陸に生息するだけあって、強力な個体だ。【悪魔憑き】と【魔王覚醒】の同時発動をしているにも拘らず、戦い方が厭らしくてやたらと苦戦するしで、正直、戦いにくい相手だ。


(戦場を三次元的に動き回れるところも、鳥型モンスターの強みだよな……巨体に見合わず俊敏で【天魔轟砲】も簡単に当たらないし、どうしよっかな)


 ちなみに、巻物の力の影響下にある今でも飛行能力が衰えている様子はない。カズサでも問題なく動ける程度だから、今の彼女よりも戦闘力の高いフレスベルグの動きを制限できるなんて思っても居なかったけど、足場のない重力で高速飛行を維持するスキルは正直羨ましい。


(だが重力によって風で飛ばされる心配は無くなった……ここからは俺たちのターンだ)


 音速戦闘機かくやと言わんばかりにソニックブームを発しながら迫ってくるフレスベルグだが、ある程度距離が離れている。全てのバフを掛けてもフレスベルグの方が数値で優っているだろうが、慌てる必要はない。

 

「よいしょっと!」


 巨大な一本足がカズサを鷲掴みにしようとする直前、【ミラージュステップ】で鉤爪をすり抜け、鳥脚を掴ませる。

 奴の身体構造上、ここが比較的安全な場所だ。翼はもちろん、嘴だって届かない。そしてここに辿り着いたのなら、やることは一つ。


(マウントポジションからの連射しかないよなぁっ!)


 周囲に浮かばせた火縄銃による一斉集中砲火。赤黒い熱線がフレスベルグの羽毛を焼き、血肉を穿つ。


「ゴェエエエエエエエエエエエエッ‼‼」


 汚い烏みたいな鳴き声が響き渡る。匂いから察するに、【天魔轟砲】は確実に奴にダメージを与えている。

 

(ならば次は【獄炎】と【爆砕破】をくれてやる!)


 風を操るフレスベルグに、風属性の魔法スキルは迂闊に使えない。もし相手の魔法のコントロールを奪う、みたいなスキルでも持ってたらことだからな。ここは純然たる火力を至近距離からブッパするのが吉。

 そう考えてボタンを押そうとしたその時。カズサを振り落とすように飛び回っていたフレスベルグが突然斜め下に向かって急降下を始める。


「ちょっ!? この鳥、森に突っ込む気っすよ!?」


 慌てて対処しようとしたけど間に合わない。フレスベルグは太い木々を砕き折りながらもなお勢いを弱めることなく、足に捕まっていたカズサは何本もの樹に叩きつけられて弾き飛ばされてしまった。

 まさか【天魔轟砲】の連射によるダメージを無視して振り払ってくるとは。木々に叩きつけられて振り落とされたのは、特別威力のあるものじゃないけど、それでも体力ゲージの消耗も激しいと言わざるを得ない。急いで回復しないと。


「いっつつ……! あの鳥、またこっちに……!」


 再びカズサに向かって飛来するフレスベルグ。しかも今の一連の攻防で学習したのか、足を折り畳んで鋭い嘴で貫こうとしているのが、奴の体勢から理解できる。


(しかもなんか、あの嘴光ってません? 見るからにヤバそうですよ)

(攻撃スキルと考えるのが妥当だな……だが墓穴掘ったな!)


 確かに決まれば一撃死の可能性もありそうだが、掴みかかる行動よりも、ああいう単調な一撃の方が対処がしやすい。

 嘴を鏃にし、文字通り全身を矢としながら弾丸のような速さで飛んでくるフレスベルグ。そんな奴の嘴に対して、【ノックバックカウンター】を上から下へ、顔を地面に叩きつける感じで叩き込む!


「チャンス到来っすよ!」


 すかさずアンドロメダの鎖を素早く伸ばし、フレスベルグの両翼を雁字搦めに絡め取る。

 これまでの戦闘で、奴の飛行能力や烈風を巻き起こすスキルは、この翼が基点となっているのは察しがついていた。その翼を封じる機会をずっと窺っていたんだが、ようやく隙を見せたな!


(その後頭部にくれてやる……零距離【爆砕破】をなぁ!)


 全ての基点とも言える翼を封じられて全力で暴れるが、スキルによって鎖が破壊されることはない。その大きな隙をついて、フレスベルグの頭に飛び乗り、零距離から強烈な爆撃で吹き飛ばす。

 流石にこの一撃には耐えきれなかったようで、フレスベルグは光の粒子となって霧散し……あとには、大きな魔石が一つ、残されるだけだった。


(ハズレかよちくしょぉおおおおおっ……!) 


 俺とカズサはガックリと項垂れて盛大に溜息を吐く。この魔石一つでも売れば大金にはなるんだろうけど、これじゃない。俺たちが欲しいのはこれじゃないんだ。


(一日以上戦ってようやく手に入れたドロップアイテムが魔石だけって……何か、凄い損した気分すね。アタシたちはカードが欲しいっていうのに)


 間宮高校のグラウンドで発生したモンスターパレード、それに伴うゲートの開通により、夏休みが終わった直後にも拘らず、学校は臨時休校となった。

 幸いにして備品や施設の一部が破壊され、グランドがボロボロになっただけで、人的被害こそ出なかったものの、今後間宮高校がどうなるのか……国際連合やギルドとの話し合いが設けられることに。

 少なくとも、仮設校舎を建てるか、在校生を他の学校に分散させて単位を取るとか、そう言う準備が整わない間は休みになる。


 で、俺たちは降ってわいた長期休みを利用して、戦闘力の上限を超えるためのカードを追い求めて、E大陸のギガントモンスターたちに大立ち回りに勤しんでいた。

 これから始まる人類存亡をかけた戦い……その為に、出来ることは増やすに越したことはない。そしてそれを得るために必要となるのが戦闘力だし、技術面や経験面も養わないといけない。そして何より、ラストダンジョンやキーダンジョンの情報収集も含まれているのだ。頻繁に休むことを申告はしているけど、皮肉な話、今回のモンスターパレードによって気兼ねなく異世界に潜れるようになった。

 

(まぁ、あんまり順調じゃないんだけど)


 ギガントモンスターだからって、カードを落とす確率は他のモンスターと同じく十分の一。しかもE大陸のモンスターともなれば、更に確率は低いんじゃないかという調査結果もあるらしい。

 改めて、トップランカーたちがどれだけ化け物なのかがよく分かる。こんなのを相手に戦闘力上げなんて、労力が半端じゃない。


(これでも恵まれて居る方なんですけどね。他の冒険者よりも二倍の速さで上がるし、強力な助っ人もいることですし)


 俺はホログラム画面の視点を上に向ける。

 このギガントモンスターだらけの魔境。人間が戦えば、他のギガントモンスターも寄ってくる中、俺たちが戦闘力が拮抗するギガントモンスター一体に集中できた理由となる人物……アイゼンが、崖の上から俺たちを見下ろしていた。


ご質問があったのでお答えします。


Q:次回こそはエピソード薫だろうな?

A:学校が急遽休みになってしまったので、会う機会が極端に減っちゃったんですよね。連絡先もブロックされてますし。でも数話の内に書きたいところではあります。最低でももうじき訪れるクライマックスまでには、薫との決着を付けます。


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