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ざまぁ役の妄執とか、主人公とヒロインの二人の世界でシャットアウトしていくスタイル

設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください。


 この俺、新藤司は全てが欲しかった。

 学校での立場も、物も、名誉も、人も。俺のモノにならない存在があること自体が我慢できない。そんな行動理念に基づいて生きてきた結果がコレだ。

 後悔があるわけじゃない。あるのはただ、俺に搾取されるべきモブだったはずの九々津が、俺から地位も名誉も奪って、俺が欲しいものを独占するのが悪いという、至極真っ当で正当な憎しみだけ。


 だから一度死んだ時、走馬灯と一緒に色々と思い出したんだろう。

 別に寝取るのは薫じゃなくたって良かった。他に手頃で良い女は他にもいたし。なのにどうしてか、俺は本能的に九々津の彼女である(・・・・・・・・・)をわざわざ狙った。生きてた頃は不思議には思わなかったけど、今ならその理由も分かる。


 あの小さな公園で、あの女の視線を独り占めしていた男子。そいつと九々津が同じ人間だって、今ようやく確信できたから。

 だから九々津の幸せを奪ってやったんだ。もう二度と手に入らない女を独り占めしていたアイツがヘラヘラ笑ってるのが許せなくて。

 そしてその目論見は上手くいった。あっさり薫をモノにして、俺は奪われた物を取り戻したような気になっていた。冒険者デビューも果たして、誰も俺に歯向かわない心地良い世界を取り戻したんだって。


 だがそれも九々津が冒険者になったって分かってから、俺の世界はあっという間に壊されてしまった。それもあの女にそっくりな木偶人形を傍らに活躍している姿を見て、俺は感情にブレーキがかからなくなったんだ。

 だからもう一度九々津から奪ってやろうとした。冒険者としての名誉も、あの女にそっくりな人形も、金も、マジックアイテムも、何もかもを。そうやって動いた結果、俺は一度死んだ。


(それもこれも、何もかも九々津のせいだ……‼)


 俺よりも上にいった九々津が悪い。俺の欲しいものを持っている九々津が悪い。俺を不快にした九々津が悪いに決まっている!

 そんな俺の正当な怒りに応えるように、魔王は微笑んだ。


(やった! これで九々津を殺して全てを俺のモノにできる!)


 魔王が、何を思って俺を蘇らせたのかは分からないし、そんなことはどうだっていい。ただ九々津を圧倒できる力があれば、今度こそ世界の全てを俺の思うが儘に出来ると、促されるがままにゲートを通って奴らと戦った。

 

「ギャアアアアアアアッ!?」


 その結果が、無数の光線で体を削られる今だ。

 俺は魔王の力で絶対的な力を手にしたはずなのに、どうしてこうなっているんだろう? 途中までは奴らを追い詰めていたはずなのに、いつの間にか逆転されて一方的に叩き潰され始めているなんて、こんなの間違っている!


(何か、なにか人質になる誰かを……!)


 人質を取ればあの甘ちゃん共は攻撃を止めるはず。そう思って俺は守りに全ての力を注ぎこみながら辺りを見渡し……そして見つけた。


「薫ゥウウウウウウウウウウッ!」


 九々津の避難勧告にも逃げられなかった、大間抜けのバカ女。

 コイツは既に俺のモノなんだから、俺がどう扱おうと勝手だ。コイツを人質にして、今度こそ俺は全てを手に入れてやる!


   =====


 ユースケはどうするんだろう……? 腰を抜かして立ち上がれずにいる水無瀬さんを見て、アタシは一瞬そんなことを考えた。

 命辛々、【天魔轟砲】の集中砲火から逃れた新藤さんだけど、そのすぐ後にこちらの背を向けて水無瀬さんの方に向かったのは、私たちのスキルとかを知らなかったと言え、悪手としか思えない。


 多分彼女を人質にでも取ろうとしているんだろうけど、多少の被害に目を瞑ってでもその背中を攻撃すれば、その時点でアタシたちの勝ちみたいなものだ。

 ……例えばそう。水無瀬さんを見捨てれば、危険な賭けに出る必要もなくなる。敵と水無瀬さん、そしてアタシ自身の位置が悪くて、背中を撃とうとすれば間違いなく水瀬さんが何らかの形で巻き込まれるだろうし……回り込むこともできるけど、そうなったら戦闘力でも体格でも上を行く新藤さんと鍔迫り合いみたいなことしなくちゃならない。

 本当に見捨てればいいと思っている訳じゃないけど、水無瀬さんはユースケを裏切った人だ。大抵の人間は負の感情を向ける相手を咄嗟に助けられない……悲しいけど、それが人の(さが)っていう奴だ。


(あぁ……それでも、あなたは)


 何と表現すればいいのか分からない思いを抱えていると、【木偶同調】のスキルを通じて彼の想いが伝わってきて、アタシの体はユースケの思うが儘に水無瀬さんを守るように、新藤さんの前に回り込んだ。


(悪い……カズサ)

(馬鹿ですねぇ……何謝ってるんですか)


 結果的にアタシの身を盾にしたことを詫びているなら、それは余計な気遣いだ。アタシだって、水無瀬さんに良い感情を抱いている訳じゃないけど、死んでしまえばいいとまでは思っていない。

 ユースケに至っては、子供の頃からの付き合いがあるんだ。幾ら裏切られたからって、簡単に見捨てたりしないだろうし……何より、今の彼には助けることに迷いが生じないくらいには、もう水無瀬さんのことは吹っ切れている。

 だったら、この選択はアタシも望むところだ。


(アタシの命運は、何時だって貴方と共に在るんですから)


 ああ。そうだ。色々と思い出してきた。貴方はどんなに怖くて足が竦んでも、何度後悔して思い悩んでも、最後には必ずなけなしを勇気を振り絞って立ち向かい、誰かのために駆け付けられる……そんな人だった。

 本当に、昔から(・・・)変わっていない。そんな彼だから、アタシ(■■)は――――


「ぐぅ……ぁぁぁあああああああああっ‼」


 凄まじい衝撃と重量が、盾代わりに構えられた紫電の刃越しに伝わってくる。圧し掛かる圧力に全身が軋み、足元が大きく罅割れた。

 直撃でないにも関わらず痛みと苦しみが全身を覆う。……それでも、辛くはない。彼ならばきっと何とかしてくれると信じられるから。


(あぁ。必ず、その信頼に応えてみせる)


 念話も使っていないにも関わらず、ユースケもまた《木偶同調》を通じてアタシ(■■)の想いが伝わった。そう確信させるだけの言葉が彼が伝わってきた。

 だったらもう、彼にはアタシ(■■)の正体に気が付いたんだろう。そう思うと、嬉しいような、申し訳ないような……こんな状況なのに、目の前の敵の事なんて、アタシ(■■)の意識からすっかり外れて彼だけを感じている。


(約束、ギリギリ守れたみたいで良かったです)

(……うん)


 新藤さんの鼻からドリルが連射される直前、【魔天之災渦】による斥力でその巨体がずらされ、すかさずアタシ(■■)の体を跳躍させると同時に顔面に横蹴りを放ち、射線と視線を同時に横にずらす。


(随分待たせちゃいましたけど、アタシ(■■)のこと、覚えてるっすか?)

(忘れるもんか。月命日、欠かしたことないんだぞ)


 今となっては、哀れな殺戮人形と化した新藤さんのことも思い出せる。いったいどれほどの妄執が彼を突き動かしているのか知らないが……この程度の戦闘力差、この程度の危機、アタシ(■■)たちはこれまで何度だって乗り越えてきた。

 内部空間に居るユースケがスキルの発動ボタンを押したのを感じると同時に、新藤さんを青い火の粉が包み込む。

 

(あはは……その割には、結構冷静っすね。もっと驚かれるもんかと)

(驚いてるよ。驚いちゃいるけど……あぁ、なんていうか……上手く言葉に言い表せないな)


アタシ(■■)の目には映らないけど、多分ユースケは必死に嗚咽を押し殺した震える声を紡ぎながら泣いてる。正直、アタシ(■■)もちょっと泣きそうだ。こうして思い出してようやく、嬉し涙がこみ上げてきた。


(また出会えてよかったよ…………一颯(かずさ)


【滅陽】に次ぐ最大破壊力を誇るスキル、【爆砕破】が新藤さんの全身を木端微塵に砕く。

 青い爆炎と新藤さんの体だったモノの破片が視界を占領し、耳にビリビリという豪音が響いても、あのマフラーを貰った冬の日ぶりに、アタシを……ボクの名前を呼ぶユースケの声は、確かに届いていた。




新藤☆爆殺。薫に関しては特にやべぇ犯罪はしてなかったので、後々雄介がストレスフリーな感じでサクッと止め刺します。

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― 新着の感想 ―
[一言] 新藤も死んだし薫も次回で片を付けるみたいだから楽しみだ。 そして雄介と一颯は本当の意味で再会出来て良かった・・・出来れば二人のこれからに幸のあらん事を・・・・。
[一言] サブタイがちょっとアレだけどもww 二人の再会に、おめでとう…!
[良い点] やっと記憶を取り戻し 真の意味で再会できたんだな 新藤、薫 お前らホントにいい踏み台だったわ [一言] 「新藤さんの鼻からドリルが連射」に草
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