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君に活躍の場は与えたくない

設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください。


 あり得ない……異世界の産物ですら死者の蘇生を可能とする物は確認されていない。だが作り物の体と反比例して生々しい質感を持つこの顔は、間違いなく俺の元カノを寝取った、新藤司の物だった。


「ガ……ァ……アァアアアア……! ……グツ……!」

「っ!?」


 苛立ったかのように振り回される腕に冷静さを取り戻し、慌ててコントローラーを操作。【三段ジャンプ】による空中機動で攻撃を回避しながら素早く着地する。


「九々津ゥウウウウッ! オ前サエ……オ前サエイナケリャヨォオオオオッ‼」


 カズサを見て、その内部空間に居る俺に向かって呪詛を吐くその姿、ピノキオ・ローゲの正体が新藤であると確信した。

 一体どうしてそんな姿になって、モンスターパレードと一緒に地球に来たんだ……その疑問は、【天眼】の情報が脳裏をよぎった瞬間に凡そ察しがついた。


(魔王の力か!?)


 ディザスターモンスター然り、その対抗手段である魔王も通常の魔法の装備やスキルでは及びもつかない力を秘めている。なら死んだはずの新藤の魂を、モンスターに変えることが出来る魔王が存在していて不思議じゃない。


「オ前サエイナケリャ、アンナ惨メナ思イヲスルコトモナカッタンダ! 俺様ノ輝カシイ経歴ニ泥ヲ塗ヤガッテヨォオオオオ‼」

(新藤……!)


 そんな姿になっても俺に向かって呪詛を吐き続ける新藤を見て、俺は信長の攻撃に新藤が巻き込まれる直前の事を思い出した。

 恨みがあったし、親しくしたことなんて一度もなかったから、正直言って、新藤が死んでも悲しくんてなかったけど……それでも死んでしまえばいいとまでは思ったことは一度もない。

 それが何だ? 死んだ上に人間ですらなくなってしまうなんて……俺ですら少し痛ましく見えてきた。


(ユースケ、分かってますよね)

(……あぁ。分かってる)


 だからと言って、このままにしておくわけにはいかない。明確な敵意を持って現れた以上、最悪もう一度殺してでも止めなくちゃならない。僅かに生じた葛藤を振り払い、俺はコントローラーを素早く操作していく。

 今楽にしてやる……なんて言わない。俺たちの日常を守るために、もう一度死んでもらう。


「ガァアアアアアアアッ!」


 一気に間合いを詰めて斬りかかり、それを防がれると同時に空中を足場に跳躍。ピノキオ・ローゲ……もとい、新藤の頭上を取る。

 他のモンスターの足止めの為に展開した炎の竜巻は、遺憾なく力を発揮している。弱いモンスターなら内部の熱気ですぐさま焼死し、強めのモンスターも巻き上げ、切り裂かれながら燃やされている。この分だと、外に被害が及んではいないだろう。

 さらに【魔王覚醒】と【炎帝の嵐】、そして【悪魔憑き】によって激増した戦闘力によって、威力も持続時間も増してる、新藤でも突破困難な威力を発揮している炎の檻だ。付け加えて言えば、属性攻撃耐性を重ね掛けしているカズサならばある程度耐えれるし、この戦場は俺たちの有利に働いている。


(この場から逃がさずに仕留めてやる!)


 カズサの周辺の四つの火縄銃を展開。射線を地面に向けることで周囲への被害が及ばないようにし、新藤を狙い撃ちにする。


(この炎の中じゃ簡単に逃げられんでしょ!)


 逃げ場を制限した上での【天魔轟砲】連射。これで沈めてやろうかと思ったが……奴は自身の頭上に障壁のようなものを展開した。

 よく見てみれば、障壁は鏡のようにカズサを写し出している。それに赤黒い光線が直撃した瞬間、なんと四射全てを跳ね返してきやがったのだ。


(マジかよ!?)


 幸い、空に向かって反射されたので住宅街や校舎に被害が行くことはないだろうが、四つの光線の内の一つがカズサに向かって真っすぐ反射されている。あんなもん食らったらタダじゃすまないという事は、俺たち自身がよく知っている。速度も速くて回避は間に合わず、防御手段もない。


(ならばっ‼)


【モードシフト】を発動。カズサの両手に握られていた、三日月状に変化していた刃が一つに収束し、昔ながらの銅剣の形をした、紫電を撒き散らす巨大な光の刃に変化した。

 防御も回避も出来ないなら相殺するのみ。【滅陽】を除いたカズサの遠距離攻撃最強の一撃を、近距離攻撃最強の一閃で切り裂く!


(今の防御は反射っすかね? 一体どんなスキルを……)


 落下しながらエネルギーポーションを使いつつ、【鉄槍】、【烈風爪】などの遠距離攻撃スキルや壺爆弾などの攻撃アイテムを投げ込んでみたが、それら全てが障壁によって反射されてしまった。

 しかもただ跳ね返っている訳じゃない。攻撃の速度や威力を完全に維持したまま、真っすぐに跳ね返されている。


「シャアアアアアアッ‼」

「がっはっ!?」


 そして反射された攻撃に対して防御や回避をすれば、その隙を躊躇わずに突いて新藤が攻撃を仕掛けてくるときたもんだ。

【ノックバックカウンター】は間に合わなかったものの、何とか蹴りで横薙ぎに振り回された腕の軌道をずらし、威力を殺すことは出来たが、それでも結構なダメージが入った。【三段ジャンプ】で素早く空中で受け身を取って、何とか炎の竜巻に突っ込まずに済んだけど。

 鼻からのドリルと言い、隙の見逃さない身のこなしと言い、どうやらスピードと攻撃力に優れているようだ。そして防御はあの障壁でカバーと。


(いたた……まず、あの障壁をどうにかしなきゃっすね)

(だな。あれがある限り攻撃が通りにくい……それをどうにかするのが、新藤を攻略するカギになるはずだ)




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― 新着の感想 ―
[一言]  以前どこかで「人を滅亡に追い込む要素をモンスターにまとめ、討伐することで星のルールを書き換える」みたいなことが書いてあったと思うんですが、例えば台風には水不足を減らし、川の氾濫には豊富な栄…
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