俺たちは目立ちたがり屋なアンチクショウ
許せねぇよ寝落ち……! 俺が神なら、全人類から睡眠の必要性を無くすところから始めるというのに。
という訳で、18時の投稿予告を守れずに本当にすみません……! こんなダメダメなゴミ屑作者の作品で良ければ、どうか見捨てずにお付き合いしていただければ幸いです。
設定や用語など、作中で気になる疑問があれば感想にてお伝えしていただければ、次話の後書きにてご質問にお答えしようと思いますので、ぜひ書いていってください。
二村と八谷と話し合った結果、正式な契約書や金銭を交えた異世界資源の受け渡しは止めておいた方がいいが、無償で……簡単に言えば、プレゼントという体を守ることができれば、異世界資源を美波に渡せるということになった。
そもそも、金銭のやり取りさえなければ、クランに所属していないアマチュア冒険者でも一般人に異世界資源を渡すことは出来る。異世界資源の売買がギルドが一手に引き受け、仲介しているのも、相場の乱れを防ぐためだとか、そういう小難しい理由だし。貧しい後進国に住む子供たちに資源を寄付する冒険者も多いしな。
まぁ、だから何だって話だ。俺が大金で売り飛ばせる異世界資源を愚妹なんぞにタダでくれてやる謂れはない。
大体、アイツは日頃から生意気な奴なんだ。全世界の兄弟姉妹関係において最上位に君臨する兄のことを敬わず、憎まれ口ばっかり叩くし。
まぁ、マジックアイテムと違って異世界の資源は比較的簡単に手に入るから、よっぽどの事があれば、くれてやらなくもなくもない。まぁ、そんな機会はそうそうないんだけどな。兄たる者、妹にプレゼントなど軽々しく送らないのだ。
「そういえば、九月二十四日は美波ちゃんの誕生日らしいじゃないっすか。その日に送ってあげれば、美波ちゃんも喜びますよ」
「おいおいおい、何寝ぼけたことを言ってるんだよカズサ。どうして俺が美波なんぞの誕生日を祝ってやらなくちゃならないんだ? 寝言は寝てから言ってくれ」
「違うんすか? でもさっきからスマホで資源情報ばっかり検索してますし、てっきり美波ちゃんに送る資源を見繕っているのかと」
「ちちちち違うし! これは売り捌いて金儲けするために調べてるだけだし!」
なんて勘違いも甚だしいんだ。兄として、プレゼントなどと妹に媚びるような真似をするわけがないじゃないか!
「そっすか……ところで、美波ちゃんはアクセサリーを作りたいらしいっすよ。ツール自体はもう持ってるから、加工しやすい銀とかが良いらしいです」
「はっ。どうでもいいな」
聞いてもいない愚妹の望みを全力で鼻で嗤ってやる。
美波が欲しがっているものなんて心底……大事な事だからもう一度言うが、心底どうでもいい事だ。これ以上の無駄な知識は存在しないだろう。
「だから……そんな優しい笑顔を俺に向けるのは止めるんだカズサ……!」
「そういうセリフは、クランのホームページを閉じてから言うべきっすよ。その《dwarf》ってクラン、異世界の金属資源の調達を目的としてるんでしたっけ?」
即座にスマホを【アイテムボックス】に放り込む。
なんて抜け目のない……こんな所を見られるだなんて、兄の恥……!
「まったく……お互いの事になると、どうしてこう素直じゃないんすかねぇ。もうちょっと自分の気持ちに素直になっていいもんですけど」
「俺はこれ以上ないくらい素直ですー。それに、アイツだって素直に俺の事をボロクソ言ってるんだからお互い様だろ」
「そんなことないっすよ。昨日はあんなこと言ってましたけど、美波ちゃんはアタシの分だけじゃなくて……っと、これ以上は禁句ですね」
……? よく分からないが、それ以上口にするつもりはないらしい。
「それより、今日の仕事は分ってるよな?」
「うっす」
昨日の今日で再び新幹線に乗って、俺たちはファッション雑誌、《週刊ヴァルキリー》を出版している会社が所有する撮影所へと向かっていた。
=====
講話社ほどじゃないけれど、《週刊ヴァルキリー》を発刊している黒報堂は、日本でもトップレベルの出版社だ。
グラビアアイドルやモデルと言った芸能人のファッション雑誌を中心に、近年では美形冒険者にスポットライトを当てた《週刊ヴァルキリー》が人気に火が付き、一躍大手出版社の仲間入りを果たしたという事である。
そんな雑誌編集者が、カズサに目を付けたのは必然だったのかもしれない。見ての通り外見は人間離れしているし、有望な若手冒険者ともなれば放っておかれるはずもない。
俺たちもとしても、クランの売名に役立つと思って、こういう雑誌の取材とかは特例で受けている。モデルとして正式契約を結んでいない、謂わば読者モデルとして出版社側からお願いされている身だから、資源調達みたいに納期を気にせずにこっちの予定にも合わせてくれるし。
「ようこそいらっしゃいました! 先日、お電話でお話しさせていただいた斎藤です。暑い中、ご足労していただきありがとうございました。ささ、どうぞこちらへ! 控室までご案内します!」
スマホの地図情報を頼りに、屋内庭園や屋外プールも備えられている大きな撮影所に着いた俺たちは、出迎えた出版社の人……斎藤さんについて中に入る。全館空調が効いているらしく、ジワジワと暑い外との温度差が非常に心地いい。
控室に通らされた俺たちはスタッフの人が出してくれた冷たいお茶を飲みながら、軽く説明を受けることに。
「事前にお伝えしたとおり、本日は清涼感のある夏服や水着のモデルをカズサさんに着ていただいて、撮影する流れとなっています。恐らく夜まで時間が掛かるかもしれませんが……」
「大丈夫っすよ。そこら辺の事は前もって聞いてましたし」
今はまだ午前だけど、今回の撮影にはかなりの時間が掛かるであろうことは聞いていた。
本来なら、前もってカズサの寸法に合わせた服を用意して、それを着た状態で撮影するだけなんだが……。
「カズサさんは、【コスチュームチェンジ】のスキルを持っていましたね。イメージした服を自在に身に纏えるレアスキルとは、実に素晴らしい! どうでしょう? このまま我が社との本契約を結んでみる気はありませんか?」
「んー……考えておきます。今は冒険者業に集中したいですし」
この部屋には服が一切見当たらず、その代わりに大勢のファッションデザイナーの人が画用紙を持って並んでいる。多分、あれらにはファッションデザイナーの人たちがそれぞれのアイデアを纏めた服の図が書かれているんだろう。
【コスチュームチェンジ】は、カズサが実物を見たり、イメージした服を魔力で構成し、疑似再現して身に纏う、ファッション関係限定のチートスキルだ。ファッション雑誌編集者側からすれば、実際に服を用意する必要もないため、アイデアの数だけ写真のネタに出来る。
実際、《週刊ヴァルキリー》は【コスチュームチェンジ】と似た系統のスキルを持つ美形冒険者を探し回ってはスカウトしているらしい。
「そういえば、最新の動画ではモンスターの使役に成功したのだとか……」
斎藤さん、中々目敏いことを言ってくる。俺たちが上げた一番最近の動画では、おマルが体を小さくしているシーンが映っているはずだったし……斎藤さんや他の面々も、意味深な顔で俺を見てくる。
「よろしければ、ウチのおマルも撮ります?」
「よろしいのですか!? ありがとうございます! モンスターと一緒に映る冒険者の絵というのは大変貴重でして――――!」
急遽撮影に参加することになったおマル。目つきの悪い子狼はフンッと鼻息を吐きながらも、こちらの指示に従うらしい。
「それでは早速撮影といきましょうか!」
こうして、撮影は開始された。
デザイナーたちが描き出し、イメージをカズサに伝えたことで具現化した清楚なワンピース系の衣装から、太腿が眩しいショートパンツが主役の服装。その他にも俺の知識の範疇にはない、洒落たデザインの服に目まぐるしく着替え続け、時におマルとセットで写真をバシャバシャ撮られている。
「こんな感じっすかー?」
「良いですねぇー! それじゃあ次は屋内庭園で冒険者風の衣装を――――」
こういうのもたまには良いもんだ。素材が良すぎることもあって、目の保養になるし。
「でも正直意外ですね。こういうモデルの仕事って、もっと身長の高い人向けだと思ってましたよ」
「否定はしません。実際、見栄えを良くするためにスリムな方にお願いするケースも多いですし」
俺は邪魔にならないように小声で斎藤さんに話しかける。何せモデルの仕事なんて初めてだからな……上手く出来ているのか、少し不安だった。これでダメ出し喰らおうもんなら、傷つくのはカズサだし。
「ですがウチの場合は他のファッション雑誌とは異なり、冒険者を主役としていますからね。一般的なモデルとしての基準を満たした者だけを選んでいては成り立ちませんし、何よりもカズサさんは気質的にモデル向きだと思いますよ。現に動画でも、写真でも、彼女は撮られることを心から楽しんでいる。あれはね、スタイルよりも遥かに得難い才能なんですよ」
俺もカズサも基本的に目立ちたがり屋だ。動画でも再生回数や評価者数が多いと二人してニヤニヤしたもんだし、自分の美少女っぷりを自覚しているカズサは堂々としたもんだ。
そう言えば、感想欄にも「弾けるような笑顔が素敵」とか、「声に張りがある」とか、嬉しいコメントも貰う事が多かったなぁ。やっぱり表情というのは、モデルにも必要な素質なんだろう。戦闘中であることも多いから普段の動画撮影では意識したことないけど、今のカズサはかなり生き生きとしている。
「斎藤さん、準備ができました」
「わかりました。それではカラクリさん、少々こちらへ」
普段とは違う様子に見惚れていると、スタッフの人に小声で話しかけられた斎藤さんが、そのまま俺を別の場所へと連れていこうとする。
「え? どこ行くんですか?」
「もちろん、撮影用の衣装に着替えていただくためです。やはり、カズサさんとカラクリさんは一心同体の冒険者ですから、カラクリさんにも撮影に協力いただければと」
あー……そう言えば、今回の仕事の契約を交わす最中にも、そんなこと言ってたなぁ。正直、念のために俺も撮影に参加するという解釈で捉えていたから、その件に関しては聞き流していた。
「でも俺なんか写しても面白くないでしょ。イケメンってわけでもないですし」
撮影に参加することに拒否感はない。ただ俺の顔面偏差値ではカズサと並んで見栄えするかどうかが甚だ疑問でもある。
「そこはご安心ください。我が社のスタイリストたちは優秀です。……それに、これは数多くの冒険者モデルをスカウトしてきた私の勘ですが、カラクリさんはきちんと着こなせば、カズサさんと並べられる素質があると、直感していますから」
斎藤さんの目が、キランッと鋭く光ったように見え、俺は控室へと連行されるのであった。
ご質問があったのでお答えします
Q『おマルの名前は変更出来ますか?』
A『さぁて、どうしましょうかね? 他の読者様からも変態すぎるという声も上がっていますが、ネタ的にはアリかなとも思っていまして……。単純な略称よりも強いインパクト与えられたみたいですし。一応設定上はメスですけど、やっぱり人間からはかけ離れた存在ですからね。おマルからすれば名前や世間からの評判とかどうでも良いかもですし。まぁ、多種多様で種類が増え続けるマジックアイテムという設定上、改名という逃げ道はいつでも用意されていますけどね』
Q『マルコシアスを始めとする、テイムした動物系のやつに増毛のスキルをつけてやったら、アフガンハウンド化する?んで、キッチリとブラシとかで手入れをしてあげれば、モフくなってくれるのでしょうか?』
A『なりますね。【スキルリンク】でカズサの【英雄】をコピーしながらなら、どんなスキルでも習得できますし、手入れをすれば最高のモフみを提供できます。ただまぁ、現状でも鬣とか尻尾とか、凄いフカフカなんですけどね。その内ちゃんと描写します』
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