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07.思い出した過去の記憶(スチル)

ー思い出した過去の記憶スチル





秘密の園の王子様のエンディングをクリアし、一定条件を満たすと回想エピソードというのが開放される。

そのエピソードの内容といえばヒロインが幼少期、あるパーティーに行った時、その国の姫(後のライバル姫)とトラブルを起こした。そして、その場に居合わせた攻略キャラに助けてもらい、実は本人たちは覚えていないし本編では一度も触れられる事は無いけれど昔から運命でしたよ。という内容だった。



その一定条件をクリアする為に明美は努力を惜しまなかった。

なので一瞬で察知した。



(私、悪役令嬢決定だ。)



その瞬間、意識を手放しそうになった。

ただぐぐぐっと強く頭を引っ張られるような感覚。

にゃんのトリップだ。


『明美明美』


(にゃん!)


『危なかったー。意識手放す前に抜いたから助かった。』


(にゃん、5分の1の確率に負けた、、、そうだよね。80%の信頼度なんて全くアツくないもんね。ハマリ台引いた気分だわ)


『ちょっと何言ってるかわからないよ明美』


(にゃん!!あそこでヒロインが居たってことは私ライバル姫決定???)


全てのキャラに存在したイベント、僅かな期待でにゃんに問いかけると。

にゃんの困った顔が明美の目に映る。


『明美、今失神したでしょ?』


(それはあまりにもショックで)


『それがね、きっかけでヒロインは罪に問われちゃうんだ。』


(なんですと?)


『ぶつかる→当たりどころが悪く失神したと思われる→身分の低いヒロインが責められる→そこにフレイ登場助ける→ドレスで自分の婚約者とバレる→お前、意地悪だなって言われる。』


(のおおおおおおおおおおおおおおおおお)


『まぁまぁ焦らないで、なんでこの瞬間にトリップ使ったと思ってるの?』


(へ、、、?)


『明美が悪役令嬢に吊し上げられないようにする為にこの瞬間にトリップ使ったんだよ』


誇らしげに可愛い顔を天に仰ぎ、褒めてとばかり言うにゃんに明美は最大級の感謝を込めて顎の下を撫で回した。


(あぁぁああああありがとうにゃん!!本当に恩人だよぉぉぉぉぉ)


『じゃあ戻すよ??いい、しっかりね!!』


(うん!!)



そう言ってにゃんがトリップを切り、この世界に戻ってきた。

次に気がついたら自分を心配そうに覗き込むアルフォントとヒロイン、、、と天井?


(え?)


「良かった!!頭痛くない?」


「す、、、すみません、私、、、、」



(え?)



本当に心配するアルフォントと、今まさに貴方のほうが倒れるんじゃないですか?と思うぐらい青い顔をしたヒロインが目に涙をいっぱい溜めて震えながらこちらを見ていた。


「アルフォント様!イリア様!お医者様がお見えです!」


(え?)



「すぐに奥の部屋へ!」


周りの大人たちやアルフォントの必死の形相。


「ヴィオラ!!何やってるんだ!!!」


「ごめ、、なさ、、、」


ヒロインを怒鳴りつける見覚えのある人物。

Mr.ポテトボーイことヒロインの父親。


(え?待って、にゃん)



「オズゲイル卿、貴方の娘さんはなんて事をされたんだ!イリア王女は本日婚約お披露目も兼ねた生誕パーティーだったんですよ。今日の主役とも言える、しかも王族になんていうことを、、、」



(ちょっとちょっとちょっと、間に合ってないっぽいよにゃんんん???)


可愛い得意げなにゃんの顔を思い出して少しだけ、初めてにゃんを恨んだ。



平謝りのヒロインの父親と声を殺して泣くヒロイン。

この展開はさきほどにゃんに聞かされて知っている。


「それ相応の処分を覚悟して下さい。」



(あぁぁぁああああ知ってるやつぅぅぅぅぅぅ)



「ちょっと待って」


唐突に大人たちを遮る幼い少年の声。

ただその声は幼声ながら威厳が有り、その場に居た大人達の動きを止めた。


(この展開も知ってるやつ、、、)


「俺見てたよ、ぶつかった後、アルフォント王子に支えられてけろっとしてたそこのお姫様を。」


そりゃそうだ、だってイリアが倒れたのはぶつかったせいではない、自分に悪役フラグが立った事がショック過ぎて倒れてしまった。

明美の精神が弱いわけではなく、イリアの身体がまだ幼いせいで過度のストレスに耐えられなかっただけだからだ。

なので倒れたのも嘘ではないが、確かに現れた少年(おそらく間違いなくフレイ)の見解も間違いではない。

そう言ってフレイはイリアの方に視線を向ける。


(いやぁぁぁドドドドドドドレスみてるぅぅぅぅぅぅもうおわった詰んだ今度こそ詰んだ)


「ふ〜ん、そっか、あんたイリア姫か。」



イリアの目が泳ぐ、何故かって?

それはイリアがこの次の展開を知っていて少しでもその展開を受け入れたくない抵抗によるもの。

しかしそれが逆にイリアの首を締めることになった。

明らかに怪しいイリアの視線にフレイは確信して溜息をついた。



「お前、意地悪だな。」


(のおおおおおおおおおおおおおおおおお(2回目))




続く

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