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06.浅葱色の瞳

この辺りから主人公を表す表現として「明美」と「イリア」と入り乱れますが、「明美」の部分が強く出てしまった時とにゃんとの会話以外はイリアで通して行くつもりです。

わかりにくい表現でご迷惑おかけしますがご了承いただければ幸いです。

「明美」って出た時は42歳の明美さんの事を想像してやってください。

ー浅葱色の瞳ー


「今日はとびっきり美しくいたしますね。」


嬉々としてイリアの髪を梳かしながら侍女のリアーナが鏡越しに微笑みかけてくるのに出来る限り大人に好かれる笑顔で微笑み返す。


「本当にイリア様はお可愛らしい!絶対フィアンセのフレイ様もメロメロになられますね!」


イリアが6歳の誕生日を迎える今日、フィアンセである火の国の王子フレイ ロジャー マーズオルドと婚約お披露目も兼ねたパーティーが開催される。


明美が前世でプレイしていた頃、世界観がふわっとしていた事もありもっとこの世界での生活を簡単に考えていた。

姫としての生きるという大変さを日々日々実感しつつ、自分が今42歳という経験値があるから乗り越えられるんだろうなぁと度々思う。


(もし自分にこの記憶がなく、一国の王子のフィアンセというプレッシャーの中ここまで徹底した英才教育を受けて育ったのにぽっと出のよくわかんない女にフィアンセとられたらそら発狂したくもなるわな。)




「はい!完成しましたよ。うううう美しい!流石ですイリア様。」


イリアの見た目は褐色肌にプラチナブロンドの髪、この国の人種が黄色味がかかったブロンドに対してイリアは白っぽい珍しい金の色をしていた。

明美が色白の姫に憧れていた事もあってこのドルスター国に生まれた事が地味にショックだった。(それ以上に推しの妹であることがショック過ぎてそれほどダメージはなかった。)

だが、このプラチナブロンドヘアーだけは最大のお気に入りであった。

普段肌を露出することに少しばかり抵抗があったイリアは首の詰まった服に長袖のドレスを好んでいた。

今まで誕生日のパーティーと言っても来賓は国内の貴族ばかりの小規模のものしかなかったので自分の好きなドレスを選んでも問題はなかったし、和気藹々としたパーティーにさほど緊張もしなかったが、今回ばかりは婚約お披露目ともあり各国から多くの主要人物が来る。

こんな大規模なパーティーの主役になることが初めてだった為、フィアンセがどうのこうの考える余裕なんてイリアにはなかった。それに火の国からの贈り物のドレスを着なければならない。火の国のドレスは露出も多かったと明美は記憶している。

その為、この誕生日&婚約お披露目パーティーが憂鬱でしかなかった。


(いや、イリアは可愛いのよ、ただ42歳の私がどうしても露出に抵抗があるのよ。)


そう明美の心配をよそに届いたドレスの美しさに息を呑んだ。

ドレスといえば淡い色でふんわりとしたイメージ、それも6歳の姫が着るドレスといったらパステルカラーの物が思いつく。

この世界でもそれは常識らしく、イリアが持っているドレスもパステルカラーの物が多かった。

火の国から届いたドレスはビビットカラーのピンクに黒いレースがふんだんにつかわれ、腰におおぶりの黒いリボンがある以外はタイトめに纏めてある大人っぽいデザインのドレスだった。

しかもシースルー部分はあれども肌の露出も抑えてある。

イリアの好みを熟知したかのようなデザインのドレス。


「すごい、可愛いドレス」


中身の明美は42歳ながらに物凄く乙女嗜好で夢見る少女だった。


(思わず推し変しそうなるわフレイ様)


これなら明美の羞恥心もなくイリアとして自信を持って着れる。

それに加えてリアーナがいつもの3倍の時間をかけて磨いてくれた事、元々のイリアの持って生まれたポテンシャルの高い外見、完璧な王女が鏡に映る。


「て、天使みたい。」


思わず自分で自分を褒める言葉が出て、リアーナがくすくすと笑っている声が聞こえ少し恥ずかしくなる。


「本当、天使様と間違うほど美しいです。」


「リアーナ、その、ひとつだけお願いがあって、、、」


美しいプラチナブロンドをさらに華やかにするアップスタイルのヘアメイクに、イリアはどうしてもひとつだけ譲れない物があった。

それは兄、アルフォントからもらったピンクの花のガラス細工で出来た髪飾りだった。


「まぁ、それは大変失礼しました。すぐにお付けしますね。」


髪飾りはバレッタのようになっていて、アップスタイルの髪型に差し込むことは出来ない。

それどころか、リアーナがせっかく整えてくれたヘアスタイルを一からやり直してもらう事になる。

だけど、嫌な顔ひとつせずに笑顔でヘアメイクしてくる。

リアーナは本当に良い人物だった。

そういえば蜜プリの世界は全体的に平和だったから出てくるモブのキャラクターも良い人が多いんだろうな。

と失礼な事を考える明美がこの世界で1番性格が捻くれているかもしれないと自己嫌悪に陥っている間にリアーナのヘアセットも終わり、あれよあれよと言う間にパーティーの時間になった。





パーティーの会場はイリアが住んでいるお城の大広間で行われた。

イリアが好きなピンクと紫の花が数多く飾られ、青いガラスの入れ物に入った蝋燭が幻想的に揺らめいている会場に、色とりどりのドレスと正装姿の人々が美しく映える。

この幻想的なパーティーがドルスター国の主流だった。


(アル様EDのスチル世界一美しかったもんなぁ。)


前世の記憶が蘇る。


「今日のイリアは一段と綺麗だね。今日会う婚約者に譲りたくなくなっちゃうな。」


誕生日はいつも2つ年上のアルフォントがエスコートする事になっていた。

幼いアルフォントの正装ってだけで鼻血を抑えるのが大変なのに破壊力1000%の独占欲付き。


(アル様!!推しは一生貴方です!フラついて申し訳ありませんでした!!!!)


イリアの明美の部分を抑えつつなんとか笑顔をつくる。ギリギリな。


「お兄様ったら、イリアは一生お兄様の妹で変わりませんわ。」








(草生えるわ)


明美は自分から出た言葉に心でツッコミをいれる。

本音はバンバン束縛してほしいし、一生どの姫にも譲りたくない気持ちはむしろ自分のが強いくせに、何余裕ぶって「イリアは一生お兄様の妹で変わりませんわ。」だよ。どの口が妹で満足してるだよ。なんならアル様とくっつく姫の邪魔する気満々な癖に!!!


(はっ、、、、いかん、また煩悩に呑まれるところだった。)


今日はイリアの為のパーティー、フレイ様と上手く行くEDのフラグ折らないようしっかりしなきゃ。と自分の顔をぱんぱんっと軽く叩いて気合を入れる。

イリアが考え事をしていて歩いていたせいか、目の前の人物にドンっとぶつかってしまい、ふらりとよろつく。


「イリア!大丈夫?」


アルフォンスが見事なフォローですっ転ぶのは免れた。

そうしてぶつかった相手に慌てて視線を向ける。


「お兄様のおかげで私は大丈夫です、すみません、こちらの不注意です。」


姫という立場は位も高い、いくらイリアからぶつかったとはいえ相手は相当の罪になってしまう。

まさか煩悩に塗れていたせいで人にぶつかった相手が罪とか申し訳なさすぎる。

ここは自分のせいもあるからどうか穏便にという願いから相手を気遣うと。

ぶつかった相手を見てイリアは目を見開いた。



(これは、このピンクの珍しい髪色に、色白な肌、浅葱色の深い瞳)


顔は幼く、明美の知っている人物とは違って見えるが、間違いない。


「、、、ヒロイン」






続く

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