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04.詰んだ

全話が説明ばっかだったので2話連続更新⸜( ´ ꒳ ` )⸝

ー詰んだー



明美はこの蜜プリを本当に隅々までやり尽くした。

全ての攻略キャラに隠しキャラの攻略。

バッドエンドもサブエンドもメインエンドもベストエンドも全てクリアに加え、全スチル回収済み。

をゆうに10回以上は繰り返した。

夢小説も書いた。

そうしてようやく決まった最愛の推しキャラは、光の国の王子、アルフォント レイジ ドルスターである。

光の国は褐色の肌に金の髪を持つ人種が多い国。

もちろん、王族もこの褐色肌に金の髪を持つものが多い。

アルフォントも例外無く褐色肌に金の髪、金色の瞳を持つ光の国ドルスターの第一王子だ。

他の王子がヒロインと同じ1年生な事に対し、アルフォントは3年生。

ただ身長が低く愛らしい見た目の為実年齢よりもかなり若く見られる。

その愛らしいルックスは蜜プリの世界では5大陸1の人気を誇る王子でアイドル的な扱いをされている。



できればアル様と結ばれるルートをヒロインが選んでくれればあのイベもこのイベもアル様と過ごせるよう先回りするのになぁ。


そんな事を思い出していると人の気配がした。


「あらぁ起きたの?」


優しそうな母親と思われる女性の声。

ぼやぼやな赤子の視力で見える。

明らかに褐色の肌、金の長い髪。

このお母様は。


「あう、あええ」


「まぁ!聞いた?サルーン!この子今母上って呼んだわ!嬉しい、、始めての女の子。」


詰んだ。


どうやら明美は1番なりたくなかった最推しキャラの妹として生まれてしまったようだ。



(こんなのってない、だって、せっかく(本当に)色んな思いしてここまでたどり着いたのに、、、寄りによって最推しの妹って、、血縁って、、、どう頑張ったって結ばれないじゃんんんん)


明美の叫びは聞こえない、赤子が泣くという自然現象として、気付かれないまま消えていく。


人生なんてそんなもん。

地球にいた頃に良く言い聞かせていた言葉が向こうの方からやって来て明美をすり抜けて行った。




ーイリア ルーン ドルスターー


これが明美のこれからの名前である。

中々洒落た名前である。


(これから私はイリア、イリアイリア、ふふ、最初こそ落ち込んだけど大好きなゲームの世界の美しい姫で生まれた事には変わりない。

イリア!これから私はイリア ルーン ドルスター!!)


『明美、明美』


(その声は、にゃん!)


気分が高まりつつあった明美の心の声を遮るように直接の脳裏に響く声。

まだ声が出せない明美が心の中でそう呼ぶとまた返事が返ってきた。


『まだボクはしばらく明美のそばに行けないからしばらくはこうやって話しかけるね。』


(にゃん、、、もしかしてまた会えるの?)


『、、、時が来たらね。』


(、、、それって学園生活が始まった時の神獣として会えるってことじゃなくて?)


本来、ここで「そうなの?」ってすっとぼけるのがお約束だが、明美は溢れ出るオタクの知識のお陰で先が読めてしまった。


何年オタクやおもてんねん。


『う、流石に察しがいいね。そうだよ。ボクは次は明美の神獣として生まれる準備をしてるからそれまで待っててね。』


「うううう、あっあー!!!」


小さなにぎりこぶちを振り上げて大声を出す。

そこに居た母親も侍女も慌てて明美に駆け寄ってくる。


「イリア?どうしたの??」


(はっ、、、)


『明美気をつけてね?明美は今は0歳児だからね?』


(う、うんわかった!!)



『明美が喜ぶと思って最推しキャラの妹になれるようにしたんだ。明美嬉しい?』


(お前のせいか。)


『??どうしたの??』


(いや、なんでもない。)


にゃんの優しさが逆に心をえぐる結果になる。



続く

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