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31.競技祭準備編

ー競技祭準備編ー



6月に開催される競技大会の準備が始まった。

ヴァルハラート学園の競技祭は現実世界でいう体育祭みたいなもの。

ちょっと違うのは自身の魔法を最大限に使っても良いということぐらい。

イリアは全員参加以外は記録係と実行委員に任命されてしまった。


(そうか、ゲームでライバル姫の姿があまりないと思ってたけど、、、裏方だったんだね。)


ありがち恋愛物といえば実行委員で同じクラスのイケメンと2人で、とか他のクラスのイケメンというのがお約束だが、イリアは「悪役」、そんな美味しいシチュエーションもなく競技祭までイリアは一人で実行委員という名の雑用係に日々を費やしていた。



今日は各学年、クラスの実行委員たちが全員集まっての会議。

集合場所の3年生の教室がある棟へ向かう。

余談だがヴァルハラート学園は無茶苦茶広い。

特に、3年生の校舎となると2年生校舎と違い歩くと軽く30分はかかる。

なので3年生校舎棟には1階にある転移装置で向かう。(ようはエレベーターの速い版)

3年生の校舎についたイリアは少しだけ期待していた。

ゲーム内では実行委員の描写はなかった。

おそらくヒロインに関係のない部分だったのでピックアップされていなかったのだろう。

だから、もしかしたら、もしかして、イリアにとってキュンとするイベントがあるかもしれないという淡い期待をしていた。

そして、委員会の教室前にたち、ドキドキと高鳴る胸で扉を開いた。


ガラララ


「1-F競技祭実行委員のイリア ルーン ドルスターです!」


元気いっぱいに笑顔を振りまき教室をみた。


(、、、、、、モブばっか、、、、、)



現実はそんなに甘くない。

何度思ったかわからない言葉がイリアの脳裏を暴れ走った。




席に着席して、真面目に会議を受ける。


(はぁぁぁそうだよね、メインキャラクター達は花形競技に出るよね。)


『明美、落ち込んでる場合じゃないよ!』


「にゃんんん、、真面目に会議参加してるよぉ。」


『そうじゃなくて、このままストーリー通りに進むと競技祭の後村八分だよ!!今のところストーリー通りに進んでるんじゃないの??」


そうだった。

競技祭の見せどころは借り物競走と最後の選抜リレー。

借り物競争ではヒロインが引いたカードは運営のミスで二枚重なってくっついていた。

それが一枚目が「王子様」、二枚目が「気になる人」という内容、ヒロインが見たのは王子様だったから攻略キャラと連れて走るんだけど、カードを返却する時に二枚目がはらりと落ちてしまう。それを王子が見て「気になる人」というのにドキッとしてヒロインを意識する。ちなみに、その「気になる人」は周りの生徒も見ていてこの競技祭の後からしばらく公認カップルのような扱いを受けてしまう。

最後のリレーではその借り物競走で一緒に走った王子が優勝する事になる、そして優勝して拳を突き上げてその様子を見ていたヒロインと目があって微笑み合う。(これがのちに公認カップルになるという根拠を強める)

という内容。

ただ、この競技祭が終わり、制服に着替える所でヒロインの制服がびしょびしょに濡らされてるという事件が起こる。

周りの生徒は、自分の婚約者が他の女生徒と仲良くしてるのに嫉妬したライバル姫がやったんじゃないかと誰かが噂をし初め、違うとライバル姫が訴えても、アリバイが無いことから犯人だと断定され、学園内で孤立してしまう。(のちにヒロインが間に立ち孤立は解決する)


イリアは個人種目はなく、当日は記録係と実行委員の仕事でアリバイが作り辛い状況。

最初からヒロインの制服を保管しておくかとも考えたけどそれこそ何かあった時に犯人ですと言っているようなもの。

まだ回避フラグのアイディアする浮かばない。

それどころかすっかり忘れていた。


「どどどどどどどどどどうしよにゃん、、、、」


頭を抱えてにゃんに半泣きで訴える。


『とにかくアリバイ作りから考えよう!』



「ちょっとソコ、煩いですよ!!」



「は、はいすみません!!!」



怒られた。

兎に角今は会議に集中しよう。



ガラララー。


「すみません、クラス会議が長引いて遅れました。」


そう言って入って来る人物の聞き覚えのある声。


「レオお兄様!」


「イリアー、実行委員だったんだね。」


イリアの一つ上の双子の兄の片割れレオだった。

攻略キャラクターでは無いし、ゲーム上ではビジュアルすら描かれないモブキャラではあるが、この世界で出会ったイリアにとっては邪な気持ちでは無く単純に兄への親愛の気持ちを向けられる数少ない人物であった。


(嬉しい、、、心折れそうだったからレオお兄様が居て本当に嬉しい。)



レオは2年生、優秀でイケメンで優しい自慢の兄だった。

イリアの頭をポンポンっと叩き、隣の席に座って来る。


「アル兄様じゃなくてがっかりさせたかな?」


「いえ!そんなことないです!!」


イリアはもちろんアルフォントは最推しだし大好きだ。

もらった髪飾りは今でも大切に大切に寮に持ってきて保管しているし、兄としても時期王としても尊敬もしている。

しかし、それには邪感情が入ってしまうのも嘘じゃなかった。

幼い頃から忙しかったアルフォントや両親に変わり、いつも一緒に遊んでくれた双子の兄達がイリアは大好きだった。

昔と変わらずブロンドの髪を肩の少し下まで伸ばして左サイドで結んでいる。

レオはアルフォントよりもすらっと背が高く、双子のジャックとそっくりではあるが若干優しい顔立ちをしている。


レオが来ると会議の進みが早かった。


「それでは、1年生のためにまずは競技祭の説明と当日の流れを軽く説明します。」


競技祭のルールを説明すると。

競技祭とはヴァルハラート学園に置いての体育祭のようなもの。

1年生2年生3年生のA〜Fまでのクラスを縦割りに1チームとし、計6チームで優勝を争う。

徒競走、借り物競走、障害物競走、玉転がし、騎馬戦、綱引き、応援団、リレーと、日本の体育祭と変わらないラインナップが用意されている。

ただ違うのは全てに置いて魔力の使用が許可されていた。

よくある異世界みたいにこの世界にも魔法はもちろんある、だが、その能力差から魔法よりも科学が発展している世界なので魔法の使用にそこまで依存のない世界となっている。

なので、魔法は自身の能力を底上げするような地味なものが多かった。

魔法の使用が許可された競技祭は魔法の不慣れのイリアには少し厳しい所があったので競技不参加の特権のある実行委員は少しだけありがたかった。



「レオお兄様ってF組?」


「そうだよ、イリアよろしくね。」


(嬉しいいいいい!!)


レオが居てくれる安心感、それだけでアリバイ作りも頑張れそうな気がする。

当日に向けて頑張るぞー!!


続く

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