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30.競技祭編スタート

ー競技祭編スタートー


痣は隠してもらえたし、少し遅くなったけどなんとか約束の時間にフレイの待つ学園のロビーへ向かった。

フレイの姿が目に入る。


「おはようございます。」


(うー気まずいよぉ。。。)


「イリア、その、悪かった!!」


そう言ってフレイは深々と頭を下げてきた。


「え??え???」


「俺、この前イリアに酷いこと言った、それにラルフに対しても失礼なことを」


「いえ、こちらこそ無礼な態度でフレイ様に接してしまって申し訳ありませんでした。」


そういうとフレイはガバッと顔を上げて捨てられた子犬の様な表情でイリアを見た。


「よ、よかった、、、名前呼んでくれた、、、」


フレイは本当に嬉しかったとわかる様な表情ではーっと息を吐いた。

その表情を見て、昔1度だけフレイに感じた「ドキッ」という感情が蘇る。

そして自分の単純さにふふっと笑いがこみ上げる。


「俺さ、あの時ラルフに対して物凄くムカついたんだ。イリアの髪に触ったのか、とか、俺の知らない授業を受けてる姿をラルフは見てるのか、とか、放課後クラスメイトたちと屋上行くとか、、、」


「それって、、、、」


(嫉妬、、、?ヤバイ鼻の下が伸びる、、、)


「そんで俺わかったんだ、俺、イリアに、、、」


「フレイ様、、、」


「仲間外れにされた気がしてすげー寂しかったんだって!」


ガクッと膝の力が抜ける。


(嫉妬じゃなかったー!!!いやある意味嫉妬か、、、ってかなにそれーーーー!!)



「これからは俺も仲間に入れてくれよな!!」


カッカッカっと明るく笑うフレイ。

ギリギリ、喜んで、と返した、居酒屋の挨拶かとどうでも良いツッコミが頭の中で響く。


「じゃあ授業遅れるし俺行くな!」


「はい、それではわざわざありがとうございました。」


「あ、後これ。」


そう言ってポイッと小箱を投げられる。

中を開くとそこには今のポニーテールの髪に似合いそうなピンクに黒レースのリボン、大きなルビーとトパーズの飾りのついたヘアゴムだった。


「イリアは俺の婚約者だ、不用意に他の男に髪触らせんなよ。」


ちょっと頬の赤くなったフレイはそのまま足早に教室に向かった。


(ヤバイ、、、またときめいた。)





ーーF組教室ーー


HRが始まり、先生が黒板に身に覚えのある文字を書いた。


ヴァルハラート競技祭!



要するに体育祭である。


「各自、記録係2名、放送係2名、実行委員1名、個人種目2種、全員参加種目2種目、クラス全員参加応援、今日出場種目を決めたいと思います。」


競技祭、イリアがゲーム内の前半パートで一番お気に入りのイベントだった。

個人種目はゲーム内の借り物競走でヒロインが狙ったキャラクターと一緒にゴールするというありきたりだが確定スチルの美味しいイベントだった。

ただ、イリアはラルフから変な行動すんなって釘を刺されたせいでもう写真スチルをカメラにおさめる事ができない。

なので自分でスチルのシュチュエーションを勝ち取るしかなかった。



(よーーーし!!絶対!!借り物競争にでるぞーーーー!!!!)




ーー昼休みーーー


「なんでなの!!!」


イリアは嘆きながら机に突っ伏した。

借り物競走どころか種目にすらならず、決まったのは実行委員と記録係だった。


「うるさー。」


机に項垂れるイリアに背中向きでもたれ掛かって来た。


「ラフル様、重いです、、、。」


そう、解っていた、うっすらと、でも認めたくなかった。

記憶上、自分イリアは借り物競走には出ていなかった。

でも出たかったのだ、スチルは欲しかったがそれだけじゃない、ゲーム上でなかった事が起こせれば自分の悪役ルートも回避されるんじゃないかという淡い期待も込められていた。


(そういやゲーム内では競技祭にイリアの姿はなかったな。でもそこでヒロインの制服がビショビショに濡らされててその場に居なかったライバル姫が疑われて村八分になるんだ、、、うぅ、着々と悪役姫へと進んでるよぉ、、、。)


『明美ぃ、元気出して?』



「なんか見た事ない髪飾りしてる。」


「これはフレイ様に贈っていただいて。」


「ふーん。」


「あっ!これは取らないでくださいね!」


イリアは焦って飾りを両手で隠す。


「人を破壊神みたいに言わないでよ。人前ではそんな事しないよ。」


ニッコリと胡散臭い営業スマイルを浮かべる。


「イリアさん!元気出してください!私も同じく記録係なのでよろしくお願いしますわ!」


「あぁぁエンジュたん、、、、尊い、、、」


「、、、尊い?」


「いや、なんでもないです。」


3人でワイワイと話していると、また数人の女生徒が寄ってきた。


「ラルフ様!最終種目のリレー応援してます!」


「風の魔法は速さに有利ですものね!」


「私たちクラスを上げて応援しますわ!!」


(そうか、、ラルフ様リレーでるんだ、、たしかリレーってゴールきった時ヒロインと目が合って一位をヒロインに捧げるっていう大事なシーンだったような、、、)


「クラスの皆の為に頑張るから応援よろしくね。」


スマイル1万円くらいの笑顔で女生徒たちに微笑みかけると黄色い悲鳴が起こる。


(ラルフ様、、、申し訳ないけどゲームの進行通りなら1位はフレイ様っすわ、、)


続く

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