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23.屋上事変

ー屋上事変ー


屋上の事件から何日か経った。

あれから屋上には行っていない。


「無理無理無理無理!!!行けるわけない!!あんな嘘で固めた状態毎日晒すなんて無理!!!」


『明美が自分で言ったんじゃんー。ヨファ可哀想ー。』


「にゃんの意地悪ー!!!」


幸いな事にあの時は男装していたから恐らく自分とはバレてないはず。(身長も伸ばしてたし)

ただでさえこの前のラルフ失敗スチル事件の男子生徒が自分だったって隣の席のラルフにバレないか毎日ヒヤヒヤしてるっていうのにこれ以上あの格好で学園をうろつくわけにはいかやかった。


「ヨファ様には申し訳ないけどイリオ(仮)はこの世には居ないんだよぉ。」


教室のまだ生徒が少ない朝、にゃんとそんな事を話しながらHRを待っていた。


「あら?おはようございます。早いんですね。」


安心する同級生の声が聞こえて突っ伏していた身体を起こす。


「エンジュたんん」


思わずいつも呼びになってしまったがエンジュは気にすることなくニコリと微笑みかけてからイリアの席の前に座りHRの準備を進めた。



(ああぁぁエンジュたん、今日も天使、、、だけど私貴女のお兄様にとんでもなく恥ずかしい嘘をついてるんだよぉぉぉ心が痛い、、、、)


『自業自得』


ぼそっといってくるにゃんの痛い一言にまた涙ぐむ。

そうして久しぶりに自分の左側を見た。

そう、ラルフが座っている方。



「、、、、!!」



バッチリ目が合う。

頬に手をついて、怪訝そうな表情で、こちらをじっと見ていた。



(ららららららラルフ様、、、そのようなお顔は他の生徒が見たらびっくりしちゃいますよ!?!?)


「アンタさぁ、、、」


久ひぶりに声までかけられてビクッと身体を震わす。


「は、い?なんでしゅうか?」


声は上擦り、多少噛んでしまったが出来る限りの笑顔を向けて返事をする。


「その褐色肌と髪色ってドルスターだけだよな。」


「はぁ、そうだと思いますけど、ドルスターの者が他国へ嫁いだりした場合は褐色肌の者は生まれると思いますけどこの髪色は色素が薄いから髪色がブロンドになるのは純ドルスター民だけかと。」


説明するとラルフは更に怪訝な顔付きになり深く溜息をつき、机に項垂れながらスマホを弄り出した。


「あの、あのラルフ様?」


「なんだよ、必要以上に話しかけてくんなよ。」


視線はスマホに向けたままそう返事してくる。


(自分から話しかけて来たくせにぃぃぃ、言えないけど)



「いや、その態度と喋り方、教室で大丈夫なのかなー?って思いまして。」


「今アンタとそのおとぼけ天然姫しかいないから大丈夫でしょ。」


そう言えばと辺りを見渡すと教室にはイリア、エンジュ、ラルフの3人しかいなかった。

エンジュはいつも早いと思っていたけどラルフもこんな早く来ていたんだ、と思ってるとその答えが返って来た。


「人探してんだよ。」


「え?」


「この前、屋上から隠し撮りされてて、そんな変な事するのアンタぐらいだろと思ってその隠し撮りに向かって思いっきり煽ってやったらさ、ソイツ男だったんだ。」


(その男は私です!!!!!!!!!!!!!!!)


心の叫びは聞かせちゃいけないと必死に顔を取り繕う。


「くそっあんな煽った顔の写真バラまかれたらマズい、、、早く探して消さないと。アンタドルスターならその男知らないか?女みたいにヒョロヒョロでカメラ持った鼻息の荒そうな奴。」


(つまり日本でいうtheオタクみたいな見た目というわけですね。)


落ち着いた空気もあるし、(イリア以外には)温厚に振る舞っってる様子から普段大人っぽく見えるけど、スマホを見て何かを必死に探しながら頭をガシガシと掻く姿はやっぱり15歳の少年なんだと心の奥底にある尊さがむくむくと湧き上がってくる。


「し、知らないけどもう現れないんじゃないかなーと思いますよ。」


「なんでそんな事言えるの?」


(だってもう私がそんな格好はしませんから!!!)



「あら?お兄様」



声を出したのはエンジュだった。

ナンデスト?とイリアは頭が真っ白になった。



「エンジュ、おはよう相変わらず早いね。」


「お兄様こそ今日は発散行かなくて大丈夫ですの??」


「あぁ、ちょっと色々あっていつもより早く屋上行く事にしてるんだ。」



(お探しになってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!)


続く

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