20.ハッピーエンドの続きの世界
ーハッピーエンドの続きの世界ー
フレイの食事から帰るとイリアはベッドに潜り込み、寝付けずにぼーっとしていた。
『明美ぃ、、、大丈夫?』
「んー、、、にゃん、私何がしたいんだろう。」
『明美はフレイの事好きなんだよね?』
「そりゃね、でもそういう好きではないっていうか、推しとして好きというか。」
大好きな気持ちはもちろんあった。
だけど恋愛かと言われると悩んでしまう。
「婚約者だし、島流しは絶対やだし、フレイ様と結婚するのが正解と思ってここまで生きてきたけど、、、最近それも違うのかなってもやもやしてるんだよね。」
『え、、、?そうなの?』
にゃんはイリアはフレイ様のことが好きなんだとばかり思っていた。
もやもやしている理由も、食事会の後から元気がない理由も、だんだんフレイがヒロインに惹かれているのに対して嫉妬しているのだとばかり思っていたから。
「私は蜜プリの世界全てを愛してるタイプのオタクなの、蜜プリという作品をこの世に作ってくれて制作さんありがとう!!!ゲーム会社に課金したい!!!って思うタイプのオタクなの!!!」
寝転んでいた状態からヒートアップする度にちょっとずつ身体を起こし、少しずつにゃんに詰め寄る。
『お、おお、、、』
「でも、、、、」
にゃんから離れ体勢を戻し、ベッドに腰掛けてにゃんを見て。
「話してたじゃん。この世界はゲームじゃなくて現実だって。この世界が現実なら、好きじゃない人との結婚にどうしても違和感を感じてしまうんだと思う。明美は日本人だし貴族でもないからさ、好きじゃない人を好きって言って結婚して、、、、その後は?ゲームならそこで終わりだけど、この世界はこのまま続いて行くんでしょ?そうしたら、その後本当に好きになれてないなら、本当に好きって思ってるヒロインからフレイ様を奪う事になって一生幸せで居れるのかなって。」
そう、イリアがもやもやしていた理由はこれだった。
このまま好きになれない中途半端な感情で、何を目指して頑張って良いのかわからなくなっていた。
「だからって島流しは死んでも嫌だ。」
ボフッとベッドに沈み直し、はぁーと大きな溜息をついた。
「恋ってどうやってやるんだっけ、、、」
『明美、、、、、、。』
明美の恋愛はたった一度だけ。それも酷い終わり方をしていた。
つまり自信がない。
この世界が始まってこんなに落ち込むイリアを見るのが初めてだったにゃんは、日本にいた頃と同じようにイリアの頬をぺろっと舐めてからイリアの腕の中に埋まった。
にゃんが明美を慰める時はいつもこうだった。
そのまま2人は深い眠りについた。
続く




