表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/46

02.転生成功?

-転生成功?-



「いやぁ運が良かったですね。トラックの運ちゃんのハンドルテクのお陰で軽傷ですよ、本当に奇跡としか言いようがない!!」


嬉々とした声色で目の前のお医者さんに励まされる。

そう、人間はやっぱりそんな簡単には死ねない。


なんと明美は奇跡的に軽傷で済んだ。

猛ダッシュで飛び出したつもりが自分が思うよりも足が遅かったらしく、寸前の所で大型トラックの真正面に出れなかった、そして後ろから来た小型のトラックの運ちゃんが私を避ける為にハンドルを切り、明美の手が小型トラックのサイドミラーにぶつかりその衝撃でガードレールにお尻をぶつけた。

神様が即死の願いを叶えてくれるはずも無く運悪く軽傷で終わってしまった。

突き指とお尻の打撲、入院すらすることなく、トラックも事故る被害などなく恥ずかしくも助かってしまった。



「運転手さんにあとでちゃんと謝っておくんだよ?」


「はい。」


穴があったら生き埋めにしてほしい、、、。

なんだこれは、死ぬと思って死ぬ程恥ずかしいセリフを大声で大衆に聞かせてしまった。

二度とSNS開けない。



「まぁ、とりあえず一応診察するからちょっと目開いてみせてね」


「はい、、、」



お医者さんが小さい懐中電灯のような光を付けて私の目を覗き込もうとした。

ピカッ

と強い光が目に入った瞬間。

辺り一面白いフラッシュに包まれた。

何が起こったかはわからない。

ただ何となく明美は長年のオタクの感覚で思った。



え・・・?今!?!?!?!?




次に目が覚めた時は見知らぬ天井が映った。

身体は、動かない。

ただ天井に映る模様は確実に金持ちのそれだった。



「あぃっ!あぁ!(やった!転生した!)」


よくわからないタイミングではあったものの、おそらく明美は異世界転生が上手く行った。と信じたいかった。

赤子からスタートするのはちょっと気が遠くなりそうだけどそれでもにゃんの居ない現代日本よりはマシである事は間違いない。

それに、万が一唯の地球の何処かに生まれたとしても42歳人生失敗OLが赤子に生まれ変われただけでラッキーだ。

ただ一つだけ謎がある。


ん???私、死ねた?


そう、明美は死んだ覚えがなかった。

最後に記憶は医者の瞳孔確認。



え?死んでないよね?

まさか夢?妄想?頭が逝った??



赤子の頭で色んな事を考えてるとキャパオーバーになり眠気が襲ってきた。

とりあえず寝よう。

そして目が覚めた時にまたあの汚ったない部屋で目が覚めたとしてももう慣れた。

一瞬でもいい夢みたと思って諦めよう。

とにかく、眠い、、、。


明美は意識をゆっくりと手放した。



『明美、明美』


自分を呼ぶ声にゆっくりと目を開ける。

本当は開けたくない。だって明美って呼ばれるってことは夢だったってことだもん。


『明美、良からぬ事を考えてるのはわかるけど安心して目を開けて?』


そういや現実世界で「明美」と呼ばれる事は久しくなかったな。

これも夢かもしれない。

そう言い聞かせておそるおそる目を開くとそこには。


「にゃん、、、、にゃん!!!」


『明美!!』


「これはなに??夢??現実??」


『夢だけど現実だよ。明美の夢にちょっとだけお邪魔したんだ』


目からは洪水のような涙が溢れた。

この際猫が喋ってるとかそんな事どうでもいい。

夢でも良いからもう一度会いたかった。

会ってギュってして伝えたかった。


「にゃん、私と出会ってくれてありがとう。にゃんが居てくれた世界はすごくすごく幸せだったよ」


『 明美、、、』


嬉しそうなにゃんの声、ふさふさの体、あれ?にゃんってこんな大きかったっけ?

そんなことまぁいいやとにゃんとの再会を噛み締める。


『、、、それにしても明美?ボクが居なくなったって焦って命を絶とうとしないでよ。 』


先程までの優しい声色からは一転して呆れたような声。


「だって、、、」


頭を過ぎるは自分の経歴

42歳独身OL歴20年一度の昇格も無し

資格無し

身長160cmの68キロの体型

趣味乙女ゲーム

休日の過ごし方は愛猫と遊ぶが乙女ゲーム三昧



明美がまたもや良からぬ事を想像している事を察したにゃんは慌てて言葉を続ける。


『ボクは明美が居ないと生きていけなかったよ!明美の優しい所も一生懸命な所も知ってるんだ!』


「にゃん、、、」


にゃんの嬉しい言葉にうるうるとまた涙が溜まる。

ただね、にゃん。

だからこそやっぱりにゃんの居ない世界に私の居場所なんてないんだよ。

心底思った。


「そういや感動でスルーしてたけどなんでにゃんしゃべれるの?」


『うーん、説明が難しいなぁ』


明美の問いかけに可愛いくりくりとした瞳で天を仰ぎながらにゃんが話はじめた。


『ボクの魂は元々明美の世界のものとは少し違ったんだ』


にゃんの説明によると

この地球という世界は物凄い数の奇跡が重なって毎日が進んでいる。

明美が現実だと思っている地球は夢よりも儚くて、そこに存在していること自体がありえないことなんだとにゃんが説明した。


『まぁつまり、世界は沢山ある、ただこの現実だけが実態を持ち未知な領域としているんだ』


奇跡の集合体がこの地球。

地球は毎日その奇跡のぶつかり合いから起こる次元と次元の歪みのねじれ世界と常につながって居るんだよとにゃんが続けた。


「、、、、?ごめん、なーんもわかんない」


『だよね』


話せば話すほど困惑した表情を見せる明美ににゃんが苦笑いをし


『簡単にいうと世界は地球だけじゃなく沢山存在していて、その世界と世界の次元の歪みのねじれた世界からたまたま落っこちてこの地球で転生をしてしまったのがボクってこと』


「、、、」



『、、、(汗)』


「にゃん」


『はい?』


「つまり猫が喋れないという世界は地球だけってこと?」


『だいたいそんな感じ!』


正確に伝えたかったことは伝わらなかったがもうそれでいい。

にゃんは続けて説明をした。



『今明美が生まれ変わった世界はそのねじれ世界の一つだよ』


「ま、まさか、、、」


『そう!明美が醜態晒してまで望んだ「秘密の園の王子様」の世界!』


「キ、キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(絶叫のボリューム)」




続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ