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14.欲望という使命感

イリア(明美)☆本作の主人公、42歳OL、現実の世界で全てを失い絶望したので転生信じてワンチャンダイブしたら色々あったけどめでたくお望みの悪役令嬢に生まれ変われた。にゃんと蜜プリが大好きなオタク。


にゃん☆明美の飼い猫、明美の転生先で神獣として生まれ変わる。


アルフォント☆イリアの兄で明美の最推し攻略キャラクター。

ドルスター国第一王子


フレイ☆イリアのフィアンセ、幼い頃に一度ヒロインをイリアから助けている。

マーズオルド国第一王子


ラルフ☆イリアのクラスメイト、イリアとは馬が合わず険悪な雰囲気。

ウィンフリー国第一王子、希少な男エルフ。

ー欲望という使命感ー


神獣授与式が終わり、イリアはにゃんと一緒に一度ドルスター国に戻ってきた。


「あーあ、結局フレイ様に会えなかったなぁ。」


『クラスも違うしね。』


「クラス、、、、」


イリアはクラスという言葉にわかりやすく肩を落とした。

記憶に新しいラルフとのやり取りが頭を過ぎる。


「ああぁぁそれにしてもラルフ様、美しかった、、、でもあんなに性格悪かったっけ??」


生前、何度も何度も隅々まで攻略した蜜プリ。

取りこぼしはなかったはず。

蜜プリの中のラルフは穏やかで優しいキャラクターだった。

早くからヒロインとは仲良くなり、1番好感度が低い状態でも何かとヒロインを気にかける演出があった。


『うーん。明美はライバルキャラだからね。もしかしたらラルフが向けてた性格はヒロインにだけ見せてた面の顔なんじゃないかな?』


「え、じゃあ素のルフ様はあんな根性悪ってこと?」


『そうとも言い切れないけど、、、ヒロインに肩入れしていたキャラだったならヒロインの敵は敵ってことになるのかなって』


「そ、そんなぁ、、、じゃあ仲良くなるのは無理ってこと??」


「それはわかんないけど、少なからず第一印象は最悪だったよね。」


深い深い溜息が出た。

流石にあそこまでボロカス言われたらこの世界のラルフは好きになれそうにない。



「同じクラス、、、」


基本的にクラス替えがないからこれから3年間毎日顔を合わせるとなると一気に気が重くなって深い溜息をついた。



ー入学式ー


あれよあれよと入学式当日。

寮にはドルスター城からリアーナと執事が1人付いてきてくれた。

寮の横に使用人専用の居住スペースがあり、そこから毎朝通って食事から登校見送りまでをお世話してくれる。

メイドと執事が世話をしてれるのは休日と朝だけなのでイリアはこの世界に生まれて初めての、久しぶりの一人暮らし気分になった。



(もう人にお世話されるのが慣れちゃったからちょっと不安だけど。貴族のお嬢ちゃんお坊ちゃんたちってやってけるのかな?)



蜜プリ入学式と言えばここからゲームがスタートする。

本格的に蜜プリが始まるのだ。

邪な期待と不安はあるがイリアの気持ちは高まっていた。

今日はヒロインのイベントが立て続けに起こる。

実写でスチルを回収できる日が来ようとは、、、。

入学時に両親から渡された現代世界でいうスマートフォンはカメラが最新式の物を選んだのはもちろん。


「必ずスクショする!(使命感)」



ためである。



「さーーーそうと決まればさっそくヒロインのイベント発生ポイントでシャッターチャンス狙うぞーーーー!!!」



『明美、ねぇそんな事してる暇あるの?』


「にゃん」


『このまま普通の学園生活を送ったら島流しになっちゃうんだよ?ラルフのあの態度、あれはやっぱりライバルキャラに向ける態度なんじゃないかって、ボク、、、』



にゃんの心配そうな顔と声に心がきゅっと痛くなる。



「にゃん、にゃんは本当にいつでも私の味方だね。本当にありがとう。この世界でも私の1番大切な存在は変わらずににゃんだよ。」


『明美、、、わかってくれたんだね。』


「うん。」


にゃんとイリアがお互いの顔を見て微笑み合う。

が、次の瞬間イリアはくるっと方向を変え走り出す。


「でもごめんにゃん!!入学式は強制発生イベントだからどこでどのイベントが発生するか解ってるのにどうしても諦めが付かない!!!他のイベントコンプまではわがまま言わないからこれだけはどうしてもデータフォルダに収めたいぃぃぃぃ!!!」


『あ、明美ぃぃぃ!!!』


イリアの絶叫とにゃんの叫び声が虚しくも離れていく。



続く。


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