13.王女の品格
登場人物紹介
イリア(明美)☆本作の主人公、42歳OL、現実の世界で全てを失い絶望したので転生信じてワンチャンダイブしたら色々あったけどめでたくお望みの悪役令嬢に生まれ変われた。にゃんと蜜プリが大好きなオタク。
にゃん☆明美の飼い猫、明美の転生先で神獣として生まれ変わる。
アルフォント☆イリアの兄で明美の最推し攻略キャラクター。
フレイ☆イリアのフィアンセ、幼い頃に一度ヒロインをイリアから助けている。
ー王女の品格ー
神獣授与が自分の番が終わり、席に戻りにゃんとあれこれ会話をする。
「暫くトリップもしてなかったから本当に久しぶりだね。」
『うん、最近明美良い子だったから。』
「良い子って、それに明美って呼んでて大丈夫なの??」
『神獣の声は基本的に主人以外にはきゅきゅっとしか聞こえないから大丈夫!』
「へー。じゃあ私が独り言を言ってるってこと?」
『そういうこと。』
「変な人じゃん。」
『でも神獣と主人が話せるのは常識だからね。貴族はみんな神獣持ってるから。』
「あ、それもそうか。」
会えなかった時間を埋めるのにはたわいない話すら幸せ。
ニコニコしながら声のボリュームも考えずににゃんと話していると。
「うるさっ」
小さい文句が聞こえた。
「、、、、え?」
(ん?今文句言ったのはこのボサボサモブか?)
『明美今失礼なこと考えたでしょ?』
「、、、(図星)」
「あんた煩いよ。神獣もらってはしゃぐのわかるけどマジで迷惑、一応式なんだからお行儀良くしたら?」
「、、、は!?貴方ねぇ失礼なんじゃない!?名前も名乗らなかったくせに!」
思わずイリアはガタッと立ち上がってボサボサ頭の男に向かって指を指しながら大声でそう捲し立てた。
『明美っ!落ち着いて』
「名前?あーなんか言ってたねアンタ。ドルスターだっけ?何?こんな下品な女がドルスター国の姫なわけ?アンタも姫ならさ、アンタの行動一つで国の品格全てが下がるって事をもっと自覚して責任持った行動と態度とんなきゃダメじゃない?」
「ちょっ!!!!」
イリアは怒りで言葉も出なかった。
思わず掴みかかりそうな勢いで拳を握りしめるとにゃんがそれを制止。
『ダメだよ明美!この人言い方は悪いけど言ってることは正論だよ!ここで明美が怒って騒ぎ起こしたら入学前からイリアの印象は悪くなるしドルスター国だって印象悪くなるよ!!!』
「く、、、、、」
確かに今自分は中村明美ではなく、一国の王女、イリア ルーン ドルスター。
大好きなアルフォントもレオもジャックも優しい両親も、それどころか婚約者のフレイやフレイの国まで悪く言われかねない。
「アンタ本当に下品だね。それに性格悪そう。早く座んなよ。みんな見てるから。」
(こんのモブがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)
心の中で存分に暴れて叫んでから、それでもぐっと怒り飲み込んで座った。
イリアの怒りは全く治らなかったが、にゃんがずっと宥めてくれて少しず落ち着きを取り戻してきた。
『ほらほら明美!もしかしたら貴重な入学前の王子たちみれるかもしれないよ???』
「それもそうね!!!」
そのにゃんの一言先程までの怒りはすっと何処かに消えた明美は前のめりでステージを見た。
「ラルフ ウィンフリー、前に」
早速聞き覚えのある名前にイリアの心は高鳴る。
ラルフ ウィンフリー
5大陸一の美貌と称される程の美しさを持つ、ウィンフリー国第一王子にてウィンフリー国唯一の王子。
5王子の中で1番背が高い。
なんとその正体はエルフ。しかも最も珍しく希少な男エルフである。(この世界ではエルフから産まれるのは基本女エルフ)
エルフは基本女しか生まれず、珍しく生まれる男エルフが一夫多妻制をとるか、人間とのハーフが一般的(エルフは血が濃い為、人間とのハーフもエルフとして生まれる。稀に純血エルフも存在するらしいがほぼ都市伝説)
ウィンフリー国の王族はエルフであり、女王が納める国。
(あの美しいキャラデザのラルフ様の実写化ぁぁぁぁぁ)
煩悩抑えきれぬ顔で心待ちにしていると隣のボサボサの男が視界を遮った。
「、、、はーい。」
覇気のない返事と共にボサボサ男がすっと背筋を正し、手櫛で髪を整え、眼鏡を外して前にでる。
(は?)
先程イリアに散々悪態をついた男は蜜プリ1の美形キャラであるラルフ ウィンフリーだった。
10秒前までのボサボサは何処にいったのかと思うほどの美しさと身にこなしで神獣授与を執り行い席に戻ってきた。
イリアは嬉しさとショックと美しさに思考がついて行かずにぼけーっとしながらラルフを見る。
「名前出す時は国を汚すことになるってもっと自覚しなよ。性悪女。」
イリアに向かってそう吐き捨ててあっかんべーっと舌を出す。
(、、、、、、嫌い!!!あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)
続く




