初戦闘
足跡を探しに行って、本体と鉢合わせてしまった
相手は小さな体に大きな目と鼻をもつ妖魔が3体、人間大の細マッチョな妖魔が1体
4体とも武器を手に持ち、慎重に階段を下りてきたようだ
敵との距離はおよそ3m、後ろの味方との距離はおよそ5mといったところか
大妖魔
「グガ!?」
小妖魔A
「ボガガ!」
小妖魔B
「グギャガ!」
小妖魔C
「ボガガ!」
ニャック
「…なにやら怒っているようですね〜
4対1は不利だな…
とりあえずここは他の奴らに知らさなきゃな!」
先制を取り、先に動いたのはニャックだ
石像の場所に向かって、仲間に危機を知らせる
ニャック
「敵がいたぞ!
戦闘準備に入れ!」
ダンテ
「分かった
他の奴が準備する時間稼ぎに…
【パラライズミスト】」
ダンテが右手に矢と緑色のカードを持ち、その言葉を発すると、カードがパチパチと音を鳴らし、緑色の光となって消滅する
それと同時に、小さい妖魔の周りが緑色の霧に覆われ、妖魔を軽く痙攣させる
体の動きが麻痺しているこの状況では、攻撃を避けるのがむずかしくなるだろう
小妖魔B
「グギ…ギ…」
ダンテ
「…俺の攻撃じゃ大きいのは倒せないだろうからな…
当たれ!」
賦術を使用した後、流れるように弓矢を構え、放つ!
放たれた矢は真っ直ぐと小さい妖魔に飛び、眉間に命中する
流石精密射撃といったところか
当たり所は完璧だが、傷は浅いようだ
小妖魔B
「ギェアア!」
ダンテ
「よし」
サクラ
「大きいのはボガード、小さいはゴブリンですね
ボガードは残忍で好戦的な性格で、破壊に生き甲斐を持ってます
連続攻撃が厄介です
ゴブリンは相手の強さによって態度を変える臆病者ですが、今回は好戦的なので、私達を下に見ているみたいですね
特にこれと言った特性はありませんが、悪知恵が働くので油断は禁物です
ちなみにボガードの弱点は物理攻撃、ゴブリンの弱点は魔法です
私は隠れるので、後は頑張ってくださいね」
ダンテ
「いや一緒に戦っt…
…耳が見えてるが…良いのか?」
敵の解析をした後、すぐさま戦闘から離脱するサクラ
しかし、スカウトもレンジャーも持っていないことから、隠れきれていないようだ
ジン
「魔法なら任せろ!
【ウィンドカッター】!」
ジンがその言葉を発すると、小さい妖魔の周辺の空気が急激に移動を始め、かまいたちとなって襲いかかる
ゴブリンB
「ギェアアアア!」
空気の刃に斬り刻まれた妖魔は、全身にできた切り傷からの出血を始め、顔が次第に苦しみに包まれる
ニャック
「容赦ねぇなぁ…
にしてもこのゴブリン、酷い顔だな」
ジン
「こいつのBって、ブスのBなんじゃないか?」
ユリーシャ
「つまりこのゴブリンの呼び名は『ゴブリン(ブス)』という事ですね
他のゴブリンはなんて呼びましょうか?」
ニャック
「えっと…
Cは…Cute?」
ジン
「じゃあ『ゴブリン(カワイイ)』だな」
ユリーシャ
「そう言われると、少し可愛く見えてきますね〜
それでは消去法で、Aは『ゴブリン(イケメン)』としましょう」
ダンテ
「戦闘中なのに、緊張感がないな…」
ユリーシャ
「まあこれが私達ですよ〜
私は負傷者が出るまで、MPを温存させておきますね」
ニャック
「他の奴は全員気付いたみたいだな
そんじゃ、削れてるブスからやるか!」
ニャックの腰から、片手剣と小型の銃が取り出され、ゴブリン(ブス)に振るわれる
ニャック
「せい!」
ゴブリン(ブス)
「ギェア!」
胴体を剣によって斬り、怯んだところを銃による追い討ちをかける
ニャック
「からの…
【ソリッド・バレット】、発射!」
ゴブリン(ブス)
「ギェア!」
…どちらも命中したが、あまりダメージにはなっていないようだ
当たり所はいい感じだが、純粋に力の加減が弱かったらしい
こちらの行動が終わり、相手の行動が始まる
ボガード
「ボガガ!」
ニャック
「…いてっ!」
ボガードの攻撃は、避けるニャックの動きを正確に読み、足に命中する
当たり所が良かったのか軽傷で済んだが、ボガードの怒涛の連続攻撃はまだ終わらない
ニャック
「なんの!」
ギリギリのところでボガードの追撃を避け、一息をつく…
しかし、息つく間もなくゴブリン(イケメン)とゴブリン(カワイイ)の連携攻撃が襲いかかる
ニャック
「遅い遅い!」
ボガードと比べると、それほどまでの脅威でもないゴブリンの攻撃を華麗に避け、残りの1体の攻撃に構える
ゴブリン(ブス)
「ボガガーーーー!!!」
大きく振りかぶったゴブリン(ブス)が、飛びかかりながら棍棒を振るう
その顔には、大粒の涙が溢れている…
ニャック
「な…泣いてる!?
…ぐはっ!」
ゴブリン(ブス)の涙に気を取られ、攻撃をモロに受けてしまう
棍棒による打撃攻撃は、ニャックの左肩に直撃し、体力をごっそりと削る
このゴブリン(ブス)の勇姿は、仲間のゴブリンやボガードには見られていなかったようで、見向きもされていない
ニャック
「はぁ…はぁ…
あのさ…前衛誰か来てくれないか?」
ジン
「拒否する
後ろから魔法撃ってた方が、楽にゴブリン倒せるし」
ユリーシャ
「負傷者が1人の方が、使用する魔法も1回で済みますし」
ダンテ
「ここから動くと射撃できないから…」
ニャック
「うそん…」
ユリーシャ
「ひとまず回復しておきますね
【キュア・ウーンズ】!」
ユリーシャが魔法を唱えると、ニャックの周りが淡い光に包まれる
ニャックの傷がみるみるうちに消え、痛みが和らいでいく
傷が癒されるその光景はまさに神々の奇跡、神聖なる神官にのみ許された癒しの力
…まあ、他の魔法技能でも回復できるけど…
ニャック
「サンキュー」
ユリーシャ
「いえいえ〜」
ダンテ
「ブスにトドメを刺すぞ」
ダンテが弓矢を構え、力一杯弦を引く
狙いは喉、照準が合った瞬間を見計らい、矢を射る!
放たれた矢は真っ直ぐとゴブリン(ブス)の喉を射抜き、ゴブリン(ブス)に最後の一撃を与える
ゴブリン(ブス)
「グガ…ガゴ…」
サクラ
「えっとですね…
「ブスって…言うな…」って言いながら倒れましたね」
ダンテ
「なんか…ごめん」
ジン
「イケメン死すべし慈悲はない!
【ウィンドカッター】!」
ゴブリン(イケメン)
「ギェアアアアアアアアアアア!!!」
ジンの声にならない(なってる)叫びと共に、ゴブリン(イケメン)の周囲が風の刃に覆われる
刃は旋風となり、ゴブリン(イケメン)の全身を切り刻む
その怒りによるものなのかは定かではないが、魔法の威力が暴走する!
…クリティカル、ダメージが加速する
ジン
「…死んだな」
ゴブリン(カワイイ)
「ゴグギギー!」
サクラ
「えっとですね…
「ゴブリン(イケメン)ー!」って言ってますね
恐らく固有名詞のはずですが、私達は知らないのでゴブリン(イケメン)って訳しますね」
ニャック
「なんか…うちの仲間がごめんなさい」
ゴブリン(カワイイ)
「グギガガギゴ…
グギガガギゴーー!!」
サクラ
「「殺してやる…殺してやるーー!!」って言ってますね」
ダンテ
「よくそんな落ち着いた感じで訳せるよな」
ニャック
「そんじゃ、カワイイのをイケメン(笑)の所に送ってやるか」
盛大な字幕ミスがあった気がするが、そんなことは御構い無しにニャックの攻撃が炸裂する
まずは剣による斬撃!
ニャック
「せい!」
ゴブリン(カワイイ)
「ギェアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
ニャックが放った斬撃は、ゴブリン(カワイイ)の急所を的確に斬った
…クリティカル、更にクリティカル、更に!?
…この一撃が、ゴブリン(カワイイ)の命の灯火を容赦なく搔き消す
ニャック
「なんか今の凄かったぞ!」
ジン
「見てなかった」
ユリーシャ
「何かあったんですか?」
ダンテ
「え?
…あぁ、そうだな」
ニャック
「(´・ω・`)」
字幕として読めない言葉を呟きながら、その字幕とほとんど同じ顔になるニャック
さて、ここからは敵の行動だ
ボガードの攻撃がニャックに牙を剥く!
ボガード
「ボガガ!」
ニャック
「避ける!
…あっちょっとミスっt…ぐはっ!」
回避を失敗したニャックに、ボガードからの容赦ない一撃が襲いかかる
殺意の込められた攻撃はニャックの腹に直撃し、致命的なダメージを与える
ニャック
「やべぇ…
次食らったら確実に戦闘不能になる…」
ボガード
「ボガ!」
ニャック
「うおおおぉぉぉぉ!」
全身全霊をかけて避ける
ボガードの追撃は、ニャックの髪を擦り、ギリギリのところで当たらなかった
首の皮一枚繋がったとはまさにこの事だろう
いよいよこちらの行動、この戦いに終止符を打つ
…そろそろ話を切りたいと思っている作者の為にも、ここで終わらせてもらいたい
ダンテ
「残すはあと1体か…
ならばもう一度…
【パラライズミスト】」
ダンテが緑色のカードを持ち、パチパチという音と共に使用する
それと同時に、ボガードを緑色の霧が包み、ボガードを麻痺させる
ボガード
「ガ…ガゴ…」
ダンテ
「そして…食らえ!」
ボガード
「ギェアアアアア!」
ダンテが放った矢は、ボガードの胸を正確に射抜く
ボガードは胸に走る激痛に苦しみ、絶叫している
ジン
「ボガードの弱点は物理だったらからな
…せい!」
ボガード
「ギェアアア!」
すかさずジンがボガードに駆け寄り、回し蹴りを放つ
蹴りには己の魔力を込め、打撃力を強化している
これぞ《魔力撃》、魔法レベルの上昇によって、無限に火力が増す最強の戦闘特技だ
ジン
「まだまだ!」
ボガード
「ギェアアア!」
ジンの蹴りはまだ続く、もう片方の足による蹴りの追撃が、ボガードを襲う
ジンによる《追加攻撃》が発動したのだ
《追加攻撃》とは、グラップラーにのみ許された手数上昇特技だ
格闘技による攻撃は、両手両足のうち片方による攻撃が1回に値する
そこで、余った手足を使うことで、両方の手足による攻撃を放つことが可能なのである
ジン
「どうだ!」
ニャック
「…お前前衛の方が強いんじゃないか?」
ジン
「ん?なんか言ったか?」
ニャック
「いえ何も!
…そんじゃ、俺が早速トドメを…ってあれ?死んでね?」
目の前には、ジンの蹴りを頭で2度も受け、完全に事切れているボガードが転がっていた
ジン
「ニャックの出番はなかったな」
ニャック
「ま…まあ?
弾丸の節約になったからいいけど?」
強がるニャックと、からかうジン
そんな無駄話をしながら、倒した敵から戦利品を漁るのであった
…やっぱり、ジンは前衛に出てた方が強かったと、今でも思う作者なのであった
老人
「やっと1話が終わったよ…」
子供
「こんかいはながかったね」
隻眼の青年
「戦闘中に話を区切るのが中途半端で嫌だったらしいぞ」
王冠帽の青年
「そのせいで、作者は絶賛死にかけてるのは言わない方がいいのか?」
老人
「なんか…
この4人が後書きのメインメンバーになってきてるな…
で?今回は誰の説明をするんだ?」
隻眼の青年
「そういう割には、爺さんもノリ気じゃないかよ〜
今回はジンについて説明しようかな〜
ジンは初期からいる最古参のメンバーだけど、中の人の予定とかの都合であまりシナリオには出てこないレアキャラだな
中の人はクトゥルフ神話の使用キャラに対しての畏怖と敬意を込めて、『暁』さんって呼ばれてる」
子供
「あかつきってだれ?」
隻眼の青年
「ん〜と…
本名は暁彗星、クトゥルフ神話TRPGにおける探索者だな
その蹴りは異形の魔物を肉片と変え、数多の魔術を行使し、クトゥルフ神話に関する知識の約半分を知り尽くした、私立探偵だ
うちのクトゥルフ神話の卓では、暁さんは主人公的なポジションになってる」
老人
「正直、クトゥルフ神話は武道と挌闘攻撃が強すぎると思うんだよな…」
王冠帽の青年
「じゃあ、中の人の方の暁さんはどんな人なんだ?」
隻眼の青年
「よくぞ聞いてくれました〜
暁さんを簡単に説明すると、リアルグラップラーの策士だな
自分の筋力が低いからって、少しの力で相手を倒せる関節技を独学でやってるんだよ
作者以上に力強い癖に」
老人
「大体いつも作者が実験台になってるしな…」
隻眼の青年
「後は…
ソードワールドとかのTRPGにはフレーバー用とかロールプレイ用の訳の分からない魔法が多いんだけど
その効果をあらゆる方向に転換して、実際のシナリオで大活躍させるんだよ」
老人
「そのせいで、あのパーティの名前があんな名前になるんだからな…」
子供
「ぼくしってるよ!
ざんぎゃくひどうのはk…」
王冠帽の青年
「それ以上は多分ネタバレになる!」
隻眼の青年
「まあ、滅多に現れないけど、あのパーティを支える凄い奴がジンなんだよ」
老人
「出てくるだけで、GMのHPをゴリゴリ削っていくからな」
王冠帽の青年
「肉体的?
精神的?」
隻眼の青年
「どっちもだなw」