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勇者と魔王が結婚するハッピーエンドのその後はめんどくさい  作者: 名古屋 大八
王子というのはめんどくさい -家族編-
8/23

誕生日パーティーは大変である

 5歳の誕生日というのは、人族、魔族、半魔関係なく大切なものである。なぜなら魔力解放の儀式をするからだ。


 魔力解放の儀式。それは、大量の魔力を体に流し込む事で魔法を使えるようにする儀式である。アーサリオンでは、5歳の誕生月に王都の教会で儀式をすることが義務づけられている。


 アーサリオンの人間は基本的にはめんどくさがりだ。王都で行われる大抵の行事は一月に一つになるようにまとめられる。ただしどこもかしこもお祭り騒ぎになる。


 そして今回はズウィーカの5歳の誕生日と今月の魔力解放の儀式にほかにも三つほど行事があったりするので大急ぎだ。


 俺は朝から礼服に着替え用意を整える。


「アイン様お時間です」


 ペテロが迎えに来たので家臣達数名と馬車に乗り教会に向かう。


 儀式に参加するのは王家では両親と俺だけだ。ほかの兄弟は違う行事に顔を出したり、夜に行われるズウィーカの誕生日パーティーの準備に回っている。


 教会に着いた後関係各所に挨拶をする。その後来賓席で儀式が始まるのを待つべきなのだがちょっとズウィーカのところにいこう。儀式を受ける子供達の控え室のひとつににズウィーカがいるらしいのでたずねてみた。部屋のドアをノックすると、


「はい」


 と声が聞こえたあと


「あら、アイン様ズウィーカ様になにかごようですか?」


 ズウィーカ付きのメイドが現れた。


「儀式の前にズウィーカの顔を見たくて」

「そういう事ですか。先ほどもソル様とルナ様もおこしになられました」

「そうか」

「それではこちらについてきてください」


 とメイドについていくと


「あっ、アインお兄ちゃんだ」


 とズウィーカが抱きついてきた。


 ズウィーカは儀式用の白いワンピースを着ていた。めちゃかわいい。末っ子というのは甘やかしたくなるものらしい。確かにそうかもしれない、だってこんなにかわいいんだもん。


「アインお兄ちゃん、ズウィーカぎしきがんばるからみててね」


 と語るズウィーカはさらにかわいかった。


「ズウィーカの晴れ舞台楽しみにしてるよ」


 とズウィーカの頭を撫でて控え室を後にした。


 来賓席に戻るとすぐに教会の司祭である魔族の老人の挨拶で儀式は始まった。約200人いる儀式の参加者の中で一番前にいるのがズウィーカだ。かわえーーーー!お兄ちゃん感動です。両親も嬉しそうだ、父に関しては、


「大きくなったなー、ズウィーカーー!」


 と涙をボロボロ流している。


 俺の後ろにいたペテロも弟が儀式なのでボロボロ涙を流していた。


 儀式は問題なく終わった。ズウィーカは水、風、空の3属性の魔法の素養があったらしい。3属性使える人は少ない、さらに希少性が高い空属性を持っていることは、ズウィーカには魔法の才能があると言えるだろう。


 儀式が終わり王城に戻ると、城はズウィーカの誕生日パーティーの準備で大急ぎだった。邪魔しても悪いので執務室で今日の行事の事後処理をして、時間を潰した。


 日が暮れ、パーティーの時間が近づいてきたのでタキシードに着替えた後、パーティー会場のある別館に向かう。別館にはすでにズウィーカを除く兄弟と招待客数人がいた。5歳の誕生日というのは特別だ。基本は両親と兄弟で祝う誕生日も5歳の時は城勤めの人達や国内の権力者を呼んでいる。


「これより、第三王女ズウィーカ様の誕生日パーティーを始めます」


 とロゼッタさんの司会で始まった。


「それではズウィーカ様の入場です」


 部屋は暗転し両親と入場したズウィーカはオレンジのドレスを着て緊張しながらあるいていた。かわいいい、うちの妹マジ天使。横にいる兄弟一同ズウィーカのかわいさで、もだえ死にそうになった。


 次に贈呈品紹介、つまり誕生日プレゼントの紹介になった。


 父からは慣習に倣い杖を母からは現在ズウィーカが着ているドレスが贈られた。ほかの兄弟は何を贈ったかと言うと、ツヴァイはズウィーカでも読める簡単な本を沢山、ライアは自作の魔道具、フィーアはこのパーティーで振る舞われる料理らしい。


 そのメインである肉料理の肉は、あのマモンの肉をフントがとってきたらしい。魔物の中で最大の大きさをもつのがグレートジャイアントエレファント。そのなかでも最大の大きさをもっていたのがマモンだその大きさでありとあらゆる土地を食い潰し、七つの大罪・暴食のマモンとして人々の畏怖を集めた伝説的魔物をズウィーカの誕生日プレゼントのためにフントと魔族騎士団団長のアイオロスと精鋭部隊約30人に討伐されたらしい。強すぎにもほどがある。だからうちの国は戦力過剰と呼ばれるんだよ。


 ゼクスは先日作ったネックレスだ。すでにズウィーカの首元できれいに輝いている。


 そして俺がズウィーカに贈るものはカーバンクルである。古くから生きる精霊で人々を助けてきたと言われるやつだ。俺はそれを精霊の世界まで行って、ズウィーカのそばにいてくれると言ってくれたカーバンクルを連れてきた。きっとこいつはズウィーカを厄災から遠ざけさらに良い友としていてくれるだろう。


 ズウィーカはカーバンクルを見て、


「わーとってもかわいいね」


 と気に入ってくれたようだ。カーバンクルもズウィーカを気に入ったようでズウィーカの肩に止まっている。


 願わくば、我が妹にカーバンクルの祝福をそして君の笑顔がそのままでありますように。


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