表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者と魔王が結婚するハッピーエンドのその後はめんどくさい  作者: 名古屋 大八
王子というのはめんどくさい -家族編-
4/23

妹の発明品はめんどくさい

 ジャイアントドラゴン事件は、各国から大目玉を食らったが俺が、ひたすら頭を下げ続けたおかげで無事に解決した。


 さて、今日はフントが空を飛べられる方法を探す日だ。


「アイ兄、なんかいい方法あるの?」

「とりあえず、ライアのとこに行こうと思うんだ」

「ライ姉なら確かにいろいろ知ってそうだもんね」


 ライアは、俺の妹で当たり前だがフントの姉だ。そんな、彼女は学校にも行かず自身の工房で魔道具を作っている。例えば、王族が付けてる多機能指輪も実は彼女が作った物だったりする。


「ライアいるかー!」


 とライアの工房の中は真っ暗だった。

 そんな真っ暗な中、魔道具やら魔導書で散らかってる足元に気をつけて俺とフントは奥に進んでいくと。


「あっ!」


 フントがつまづいてこけた、こうなったらどうなったかわかるだろう。俺も、巻き込まれて大量の魔道具やら魔導書やらに衝突して、騒がしい音を立てた。


「ん〜、なに〜」


 と声が聞こえたあと、部屋は明るくなってボサボサ髪のちょっとだらしない格好の少女が姿を現した。彼女がライアだ。


「アーくんと、フントじゃんどーしたの」


 と聞かれたので、要件を話す、


「フントを空が飛べられるようにしたいんだ」

「ふーん」


 とライアはフントの顔を見たあと、


「まぁ、そういう事ならこの稀代の天才魔道具師ライア様に任せなさい!」


 と頼もしい返事をしてくれた。


「とりあえず、これはどうかな」


 とライアがキーボードと呼ぶ謎の四角い物体を弄る。

 すると、体にかかるありとあらゆる力が抜けた気がした。足元を見ると、俺の足は床についてなかった。というか、この部屋の本も魔道具も人もありとあらゆるものが浮いていた。


「アイ兄、これ凄いよ!」

「ほんとだな」


 フントは、大興奮だ。かく言う俺も、なかなか興奮してる。羽で飛ぶ感覚でもないく、空間魔法『飛行』の感覚でもない。空を飛んでると言うより浮いてるという感じだ。


「アーくんどうよ、この魔法は?」

「えっ!これ魔法なのか?」

「そーだよ、異世界人の技術に魔法を掛け合わせた、その名も空間魔法『無重力』!」

「なるほど、すげぇな」


 異世界人、こことは違う魔法が存在してない変わりに違う技術が発展した世界の人間で、数多くの技術をこの世界に輸入した。


 特徴としては、平たい顔を持ち数年に1度現れ1から3年ほどで元の世界に戻ってしまうそうだ。今は、異世界人が多い時代でアーサリオンには、いないが他国には合計3人いるらしい。


「でも、この魔法には弱点があってね」


 とライアは再びキーボードをいじる。


 すると、俺も宙に浮いていた物も床に戻った。魔導書や魔道具が下に落ちた衝撃で激しい音をあげる中、俺は地面に倒れ伏していた。


「この魔法を使うと、終わったあと物凄くだるくなるの」

「先に言ってくれ!」


 いやマジで起き上がれないぞほんとにやばい。フントはどうかと見てみると、


「確かにだるいね」


 と普通の顔で立っていた。

 分かってはいたが、肉体面ではすでに俺はフントには叶わない気がした。


「他にもっと有用な物はないのか」


 体のだるさが戻ったので、ライアに聞いてみる。


「それじゃあ、これ試してみようか」


 ■■■


 それは、室内では使えないとのことなので中庭に来てみた。


「じゃじゃーん!これは、空飛ぶランドセルと言いまーす。さぁ、アーくん使って見てください」


 と、ライアは四角い背負う物を俺に渡してきた。


「フントじゃなくて、俺が試すのか?」

「正直に言うとそれ、失敗作だからもしもの事がフントにあったら良くないからさ。アーくんに任せた!」

「俺の命はどうなってもいいんかー!」

「アーくんは丈夫だから大丈夫!」


 グッて感じのポーズをすらライア。全くもって大丈夫じゃねぇ。あと、俺が丈夫なのは精神的にだ、どっかのバカ親のせいでな。フントに助けて貰おうとフントの方を見る。


「アイ兄、頑張って」


 とキラキラした視線でこっちを見てきた。

 仕方ない、やるしかない。


「さぁ、こい」


 ランドセルを俺に背負わせた後、


「物質魔法『起動』」


 と魔法を唱えた。


 するとランドセルの後部から大量の火が出た。その勢いで、俺の体はどんどん宙に浮かんで行く。足が、熱いというか直で当たるので火傷しそうになる。咄嗟に足を持ち上げ体を異世界の言語のカタカナのヒみたいにするのだが、腹筋がきつい。


 自分で飛ぶ時よりも高い高さにたどり着いたのだが、体に限界が来たのでランドセルを外した。するとランドセルはスピードを増してどこまでも高くに飛んで行った。


 自分の羽を動かすのも疲れたので中庭には、転移魔法のマーキングがあったので転移魔法で戻ることにした。


「空間魔法『転移』」


 転移魔法で戻ると傍にフントがいた。


「おかえり、アイ兄。どうだった?」

「とりあえず、疲れた」

「おつかれ。それでランドセルはどこかなー、アーくん」

「ずっと空に飛んでったよ。あれ、どこまで行くんだ」

「月かな」


 と冗談ぽくライアは言った。


「月かー、すげぇー!」


 とフントは興奮してた。


 ■■■


「アーくん、フント水魔法使えるんだからそれじゃダメなの?」


 ともう一度工房に戻る時にライアは俺に聞いた。


「お前、忘れたのか。王宮びしょ濡れ事件」

「あー、そうだった」


 基本的に魔法で空を飛ぶには、火魔法、風魔法、空間魔法の3つが適していると言われている。だが、水魔法でも飛ぶ事は不可能ではない。しかし、それは周りの迷惑を考えなければの話だ。水魔法で飛んだ後、下はびしょびしょに濡れてなかなか大変だ。


 そして、5年前フントが水魔法で飛んで王宮をびしょ濡れにしたのだ王宮びしょ濡れ事件だ。もしかすると、その頃からフントは空に憧れてたと思うと、兄として悔しかった。そして、よくグレなかったなと思うと誇らしかった。


 工房に戻ると、ライアは明日また来てと言うと作業を始めた。


 ■■■


 翌日ライアの工房をフントと訪ねるとライアはひとつのグローブをフントに渡した。


「ライ姉、これは?」

「これは、変換グローブ火・水」

「どんなやつなんだ?」


 とライアに尋ねてみた。


「魔法ていうのは、火・水・風・土・空の5つに別れてる。その中でも火と水、風と土は強い相関性がある。その事から、作ってみた。それの効果としては、火魔法を水魔法に変えて水魔法を火魔法に変える効果がある」


 ドヤァとでもいいそうな顔でライアは説明した。


「とりあえず、すげぇな」

「まぁ、天才ですから」

「ありがとう、ライ姉」

「大した事じゃありません、私の発明で弟の笑顔が買えるなんてお易い御用です」


 とライアはとても嬉しそうな顔をした。


「ねぇ使ってみてもいい?」

「はい、どうぞ」


 新しい、おもちゃを手に入れたみたいにはしゃぎながら工房を飛ぶ、フントを見る。念願の空を飛ぶという夢を叶えたフントはとても嬉しそうで、俺も嬉しくなった。


 それと、ライアにも感謝しなければな。ライアは、アイテムボックスを初め、いつも便利な道具を作ってくれるのだ。あれ?どこか違和感を感じた、ライアの発明品と言えば……そうだ失敗作が多いのだ。


 今回のランドセル同様、それの実験に巻き込まれた時はろくな事が無いのだ。それを思い出すと嫌な予感がした。ほらーフントがバランスを崩して、失敗作の山に突撃した!そして、フントの手から出た火魔法と失敗作の何かが反応を起こした。


 そして、ライアの工房は13回目の大爆発を起こした。


次回は12日に投稿します

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ