靺鞨同仁文化
白川静『漢字の世界 1』(平凡社ライブラリー)によれば、ツングース族の詳しい調査報告を試みたシコロゴロフは、著書『北方ツングースの社会構成』において、中国大陸のだいたい長江より北側の全体が、紀元前3千年期には原ツングース族によって占められていたと復元しているという。中国文明を創建したのは、アッカド文明をうけいれた原ツングース族ということである。
中国四千年とはいうが、聖書的にはどの文明も四千年よりは遡れないので、逆にいえば日本四千年ともいえるわけである。日本四千年、原ケルト四千年、インド四千年、アンデス四千年で、どの文明からも単一の「原初文明」の痕跡、残り香を嗅ぎとってしまうのが文化評論ぱちこーんの秘密なのである。だから誰にも真似できない。真似をすれば、病気になるか、質が落ちる。
中国文明の特色は、神・帝がラーメンのおわんに文字を刻んで下したところにあるのではなくて、鋳鉄技術にある。コークスで一気に高温にした火が鉄を熔かし、液状にして型に入れる。支那鍋がつくれることが、中国の世界に稀に見る民族料理のフルコースを可能にしてくれた。
今回の、靺鞨同仁文化は、4〜9世紀ロシア沿海州の靺鞨文化と、5〜10世紀中華人民共和国の同仁文化をあわせたもので、そのまま大陸東北部では女真に、日本ではオホーツク文化から擦文文化と混合して10世紀からはアイヌ文化になっていくのだが、やはりこの製鉄技術がカギになってくる。靺鞨文化・同仁文化・女真文化で鉄鉾の出土が共通しているのだ。
製鉄技術を改良し、鋼を開発したのがヒッタイトで、聖書にもエジプトとならぶ大国として言及されている。ヒッタイトが紀元前1190年ごろ滅亡すると、鉄の製法は各地に伝播し、紀元前800年頃中央アジアに跳梁したスキュタイは、鉄器・騎馬の技術で区夏に冦入した。シルクロードを最近圧倒ぎみの北ステップロードを通って、スキュタイの鉄器文化はたしかに女真文化に届いていたのである。
1119年(白河院政期)に完顔阿骨打が女真大字をつくり、女真は文字文化の所有者となる。そのまま文化大行進がマーチング・メロディーを奏でまくり、ついに今日ツイッター上でのアスキーアート文化になるのだから味わいぶかいではないか(´ω`)ノ 文化評論ぱちこーんでした!