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エピローグ


2年の秋が終わった


「あぁ~~ 進路どうすっかな~~」


悩んだふりをするが すぐ現実逃避で小説を書き進める

誰もいない放課後の教室で 誰にも打ち明けていない自分だけの物語


「瀧沢!!」


「げぇぇ…… 日下部!?」


「呼び捨てかこの野郎!! 点数低いんだから提出物くらいちゃんと出せ!」


「赤点免れればそれで良いんだよ!」


瀧沢の発言に 日下部は思いっきり頭を叩いた


「なっ…… 体罰だぞ……」


「……あぁ 悪かった ……ごめん」



ーー……なんだよ



柄に無く頭を下げた日下部に瀧沢はぞっとする


「だがな…… 叩かれた理由を考えてほしい」


「……あぁ」


変な空気になったが 日下部は瀧沢の書いている小説に目が向いた


「小説家になりたかったらそれなりに勉強するんだな……」


「う…… うるせ!! 勝手に見てんじゃねーよ!」


必死に隠そうとしたが 日下部は原稿用紙を取り上げる


「…………草津」


「現国の勉強だ!! 没収しなくてもいいだろ?」


「この草津ってのは何だ?」


「はぁ!? ただの主人公だよ!!」



「ただの…… 主人公か……」



そう言って日下部は人知れずほくそ笑み 教室から出て行ってしまった


「結局持っていくのかよ!!」


瀧沢は机に寝そべり ため息を吐く



ーー今年赴任してきた日下部先生

まるで態度は生徒に悪影響を与えているのに 口から出る言葉は重みがある

毎日ストレスが溜まる日々だ

腹立たしいことと言えば 奥さんが綺麗なことかな モデルというか大和撫子と言うか……

あのリア充が!! ただ死なずに 死と再生を繰り返しながら生き地獄を味わえ!!!


……あ 日下部を主人公にしてたの忘れてた あの小説


まぁ名前変えてるし 大丈夫だろう……



夕日が沈みゆく中 瀧沢はベランダに立ち これでもかと言わんばかりに大声で叫んだ



「働きたくねーーー!!!! 別の世界に逃げてぇーーーー!!!!」






こういう奴等の咲き場所を俺達が作っていかなければならない

クラスにいる何十人の生徒を 皆同じ雑草と思ってしまうけど

一人一人個性がある逸材なのだから


恋をする時に見える 周りとは違う綺麗な花 

それは一人の意見であり 本来皆が花であり 開花する存在


子供 大人 人種 生物 全てが一つ一つ違う花言葉を持っているから


自分が生まれて来ることに意味があると思って良いと 俺は思う






この物語の名は 芽吹き草




ご愛読ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほとんど一気読みしてしまいました。 滝さんの青春ラブストーリー、現代ものでもキャラが熱くてみんないいやつばかりですね。 滝さんの地元への愛情がしみじみ伝わってきます。 特におそば屋さんのシ…
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