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第二の星で  作者: ぷりお
53/103

53.【クスト対シャキリ】

赤い機体が迫る。数は2機。


警音が鳴り響き、機体のすぐ側を風が切って、

建物が弾ける。



「ナーケル、散開しろ。私のそばに寄るな!」


機体を上昇させ、破裂音と共に加速をかける。

再び建物達は線上に変わり、座席に体が叩きつけられる。



「お前達に分かるか!貴様らはこの星で、ノコノコと暮らして!わかるはずがないだろう!」



「我々の怒りはそういうものだ!お前達が頭に浮かべもしないことだ!経験しないことを主体で考えられるほど、貴様らは優れていないからだ!」



「こいつ、ブツブツとやかましいんだ!」

クストは機体をそれに向けて加速させる。


黒い機体の一機が見当たらないが、まずはこいつを潰す!


双刀を取り出し、屋根を弾き飛ばす。


「クストさん、前に出過ぎないで!」

左のモニターにスタームのコックピットが映し出されるが、切断する。


クストはバイザーの下に顔を隠す。

このような顔は、スタームには見せられないからだ。

コンプレックスの塊は、潰し甲斐がある。




「お前達は虱潰しで殺してやる!どれが地球人で、どれが月の人間であるかわからないから、地球にいる人間は全員殺す!まずはお前だ!」


シャキリはスナイパーライフルを組み上げ、地面に装甲を削らせる寸前を飛行する。建物が風圧で歪み、砕けるものもあるが、それで良い。家屋に隠れた民間人も、効率よく死んでいくからだ。



歩兵部隊のアッシスが風圧に巻き込まれて、建物にぶつかり爆発する。



建物の間をぬぐって、空を舞う敵機を目視する。

腹の底から熱くなり、今すぐにでもあの機体をダルマにして、破壊したかった。

赤い枠線の照準が、そいつの動きを捕捉する。

ノコノコと、空を浮かぶ馬鹿な敵機だ。


歩兵部隊の爆発を掻い潜って、トリガーとなる操縦桿のボタンを押し込む。


機体は揺れ、建物に体を擦り付け、弾丸を発した。




「……うっ!」

ドミティアンの警告音が鳴らない。しかし確かに攻撃が側を掠めた。

機体をのけ反らせた、数十メートル先の建物が破裂する。


「馬鹿コンピューターが!」

クストは弾丸の元を探るように建物へ突撃。



自分達のそれより小型だが、明らかに大きい煙を巻き上げている。


その塊へ向けて、袖のミサイルを斉射。

煙を上げて射出されるそれは、5発。


右モニターが着弾時間を細かい音で知らせる。


3、2……




爆発から避けるように、あの黒い機体が煙から姿を現した。



「お前達は足だけで、動きも直線なんだよ!」

ミサイルを再び放ち、即座に機体を上昇させる。

座席がガタガタと揺れ、激しい動きを攻撃であるとコンピューターは勘違いをし、警音を鳴り響かせる。



狙い通り、あの黒い機体はこちらへ上昇してきた。


「馬鹿が!」

片腕を振り上げ、力一杯に振り下ろす。


「……なに!」

シャキリはのけ反って、機体を右に加速させる。


破裂音が鳴り響き、衝撃波が走るが、爆発も起こった。

直撃したのだ。


奴の、黒い機体の足首から先が空中を舞っていた。


「ははは!私はやはり私に生まれてきてよかった!」

クストの高笑いがコックピットに響き渡り、

右のコンピューターがシャキリの機体を捕捉し続ける。




「踵など良い!私はお前達に片目もやられてるんだ!コンプレックスで良いんだ、それがあるからお前を殺したくなるんだ!」


スナイパーライフルを投げ捨て、建物は重さに耐えられずに崩れ落ちる。

袖から折りたたみ式の槍を取り出し、地面に擦りながら加速をかける。


その先端は加速につれて火花を上げ、機体の上昇に合わせて建物を削り始める。



「月の人間が降りてこなければ良いというのは、貴様らのエゴだ!次はお前の機体の手足を切り取って、宇宙に打ち上げてやる!そうすればわかるだろ!

お前は泣くんだよ!」



アコニットは建物を吹き飛ばし、上空のクスト目掛けて上昇する。



「来たな、槍持ち!」

クストは自身のコックピットを目掛けてやってくるそれを避け、足に推力をつけ、機体の頭部を蹴り上げる。



モニターが一時的に砂嵐を起こし、シャキリはエアバッグに包まれ呻いた。



「お前達の言い分はわかるがな、やり方が気に食わないんだよ!」

クストは双刀を振り上げるが、



次には、モニターに頭を叩きつけられていた。


掲げた左腕が爆発し、火を吹き、スパークを起こしている。




「なにぃ……」

バイザーを上げ、顔を抑える。流血し、メインコンピューターには割れたガラス。


眼前の黒い機体は、こちらを蹴り押したのだろう。

足を伸ばし、右腕からは4本が連なる、

巨大なガトリングが煙を吹いていた。



「対話の段階はとっくに過ぎてるんだ!」

シャキリは機体を突進させ、左腕から煙を上げ、破裂音と共に、無防備な機体へ突撃をかける。



口を大きく開け、酸素を吸おうとするが、座席に叩きつけられ、呼吸ができない。

エアバッグが体を包み込んだ。


警告音が何倍も強くなり、コックピット全体が赤く点滅し始める。


機体に大きなダメージが入ったということだ。

右のサブモニターが損傷箇所を示す。先程の左腕と、腹部に損傷。モニターで確認すると、機体の腹部に槍が突き刺さっていた。



「お前達の総帥は、最初から徹底抗戦あるのみと言ってたがな!」

エアバッグを退かし、右腕のミサイルポットを開く。



「貴様……!」

シャキリがのけ反る頃、クストのドミティアンとシャキリのアコニットは爆発に包まれた。

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