表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/74

43.王太子との話し合い(マティアス)

何かしら行動を起こすとは思っていたけれど、

俺と二人で話したいというのはどういうことだろうか。


不思議に思いながらも、ナタニエル王太子を連れて別室に移動する。


さきほどの別室にはまだサンドラたちがいるかもしれないと思い、

王族用の休憩室に入ることにした。


近衛兵が先に入り中に異常がないことを確認し、俺と王太子も休憩室に入る。


ソファに座るようにすすめ話を聞こうと思ったら、

予想外の申し出を受ける。


「人払いしてもらえませんか?」


「近衛兵を下げろと?」


「できれば……ほかの者には聞かれないほうがいいかと。

 皇太子殿下の不名誉になってしまうかもしれないので」


「へぇ……」


俺の不名誉、ね。

近衛兵を下げる代わりにケニーを呼ぶ。

さすがに二人きりになるわけにはいかない。


「ケニーは俺の側近だ。気にせずに話してかまわない」


「わかりました……」


仁王立ちしているケニーが気になったのか、ちらちらと見ながら話し始める。


「リンネアのことなのですが」


「何か問題でも?」


「実は……リンネアがこちらに来たのは謝罪のためでした。

 次期王太子妃として責任感が強いリンネアが、

 妹になるアンジェラのためにと言い出したのです」


「謝罪のために来たのは知っているが?」


「ですが、三公爵家が勝手にリンネアをアンジェラの代わりにしようとして。

 俺は婚約解消に署名していおりません。

 リンネアを皇太子の婚約者候補に推薦するという話も後から聞いたのです」


やっぱりリンネアを返してくれという話か。

あきらめられないのはわかるが。


さきほど久しぶりにリンネアを見ただろう王太子が見とれていた。

その気持ちもわかる。

帝国に来てからのリンネアは外見も内面も綺麗になったように感じる。


「王太子がリンネアを惜しむ気持ちもわかるが」


「いえ、そうではないのです!

 リンネアの腹の中には私の子がいるかもしれないのです……」


「は?」


「三公爵家はそのことを知らずに送り出しました。

 おそらくリンネアは恥ずかしくて言い出せなかったのでしょう」


「いったい何を」


あまりのことに目の前の男を焼き払ってしまいたくなったが、

ケニーの視線に止められる。


そうだった。冷静さを失ってはいけない。


「もう三か月も過ぎていますし、腹に子は宿っていなかったのでしょう。

 ですが、私とそういう関係だったことは事実です。

 そのような者を皇太子妃にするわけにはいかないでしょう?」


「……俺にたいして嘘をつくつもりか?」


「嘘など……リンネアが隠そうとしたのかもしれませんが」


「はぁぁぁ」


大きくため息をつくと、王太子の口の端が上がったのが見えた。

リンネアが純潔ではないとわかれば、俺が手放すとでも思ったのだろう。


俺の執着心をなめてもらったら困る。


「帝国はエルドレドに警護の者を送り込んでいた」


「ええ、そうですね。アンジェラのために」


「そうではない。あれはリンネアのためだった」


「はい?」


「八年間、リンネアの警護を外したことはない。

 リンネアと王太子が二人きりになったことすらないのは報告されている」


「はぁ!?」


まさかアンジェラ王女のためだと送った警護団が、

リンネアを守るためのものだったとは思っていなかっただろう。


それとなくリンネアを守り、王太子と王女を監視するように命じてあった。


リンネアと王太子が二人きりで話したことすらないのは、

俺がそうするように命じてあったからだ。


リンネアが俺のものにならないかもしれないとわかっていたけれど、

結婚式の日までは誰のものにもならないでいてほしかった。


結果としてすべてがうまくいき、リンネアは俺の隣にいる。

王太子の嘘で汚していい存在ではない。


「リンネアの行動はすべて報告されている。

 お前の話は最初から嘘だとわかっている。

 謝罪するなら、今のうちだぞ」


「…………申し訳ございません」


さすがにこれ以上嘘をつけなかったのか、王太子が深く頭をさげた。


「話がこれだけなら終わりだ。気をつけてエルドレドに帰ってくれ」


「待ってください!それでもリンネアを返してください!

 皇太子殿下ならいくらでも他の女を選べるでしょう!

 わが国にはもう他に妃になれる令嬢がいないのです!!」


「……リンネアは渡さない。何があってもだ」


「そんな!エルドレドが滅んでもいいのですか!

 他の属国にも呼びかけますよ!妃を奪われたと!」


リンネアを返すつもりはないし、騒がれても問題はないが、

他の属国を巻き込まれるとやっかいだな。


「少し待て」


「……?」


王太子だけその場に残し、先ほどの別室に向かう。

そこにはまだフレゴリ公爵と叔父上が残っていた。


話はすぐについて、また休憩室へと戻る。


「待たせたな。エルドレドの妃になれる令嬢を紹介してやろう」


「本当ですか!」


「ああ」


条件などを説明し、令嬢は後日エルドレドへ向かわせると約束をする。

部屋を出ようとしたら近衛兵から報告が来ていたので、

王太子も王女のもとへ案内するように命じた。


「マティアス様、あんな約束して大丈夫なんですか~?」


「問題ない。エルドレドの妃になれるかどうかはわからないがな」


笑いをこらえているケニーと共にリンネアがいる大広間へ戻った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ