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26.理解できない(ナタニエル)

「え……?父なし子?この子はナタニエル様の子ですよ?」


「だが、お前は子爵家だろう。側妃にすらなれないぞ」


「え……側妃にすら?どうしてですか?」


「王太子の妃になるのは高位貴族の令嬢と決まっている。

 例外として魔力の多い伯爵令嬢は認められることもあるが、

 レイラは子爵家だろう。それに魔力も少ない」


「でも、産まれてくる子は王族の血をひいているのですよ!?」


ああ、下級貴族はそもそも王家に嫁ぐことがないから、

両親から何も教えられていないのか。


「お前が産む子は金色の髪ではない」


「え?」


「王家の色を継がせるには魔力が必要なんだ。

 だから、妃の身分は決まっている。

 レイラが俺の子を産んだとしても、金髪でなければ認められることはない」


「金髪では産まれない?……そんなの産んでみなければ」


「わかっているんだよ」


レイラが俺の他に誰かつきあっていたものがいるとは思っていない。

お腹の子は間違いなく俺の子なんだろう。


それでも金色の髪でなければ王族として認められない。

その子孫に王家の色が出てくることもありえない。


エルドレドの王家の色を守るためにも、

俺が娶る妃は条件がある。


それさえなければ、俺だってリンネアではない者を選びたいくらいだ。


「だって……私、どうしたら」


「まずは子爵に相談するんだな」


「お父様に……言ったら怒られるのでは」


「だが、そのままでは家から追い出されるかもしれないぞ」


「……ナタニエル様のそばにいられるのなら、妃でなくても……」


「愛妾になるというのなら、子は一生産めなくなる。

 それでもいいのなら、リンネアに言っておくが」


「どうしてリンネア様に!?」


「愛妾の世話をするのも王太子妃の務めだからだ」


「そんな……」


リンネアに世話になるのが嫌なのか、

レイラはふらふらと部屋から出て行った。


どうするつもりなのかわからないが、俺にはもう関係ない。

気軽に遊べてちょうどいい相手だったのに惜しいな。


まぁ、あの身体にも飽きてきていたことだし、

そろそろ違うものを探そうと思っていたのも事実だ。


早く仕事を終わらせて、久しぶりに学園にでも行くかな。

まだ声をかけていないものもいるだろうし。




次の日、学園に来てみれば令嬢たちがよそよそしい。

声をかけようとしても皆どこかに行ってしまう。


「なんだというんだ?」


「あ、ナタニエル様!よかった。手紙を見てくださったのですね!」


振り返ってみれば、一学年下の令息だった。


「手紙とは?」


「え?それで来てくださったのではないのですか?

 学生会の仕事がたまっていて……会長の決裁が必要なんです」


「そんなものはリンネアにさせればいいだろうに」


「リンネア様は帝国に行かれたのでは?」


「あいつならすぐに戻って来る」


「そうでしたか。それなら安心です」


ほっとしたように去ったけれど、なんだかもやもやするな。

めんどうなことはリンネアにさせればいいだけのことだが、

あれでは俺がいなくても大丈夫なようにも聞こえる。


まぁ、考えすぎか。




その二日後、帝国から馬車が着いた。

リンネアが戻って来るにしては早すぎると思っていたら、

なぜか謁見室に俺も呼ばれた。


「来たか」


「父上、どうしたのですか?」


「……帝国から使者が来た。これを読め」


「…………は?」


そこにはリンネアを新しい婚約者候補にすると書かれていた。


「まさか。帝国はリンネアを追い返さなかったということですか?」


「ああ。しかも、すぐにでも婚約を結びたいとのことだ」


「認めないですよね?リンネアは王太子妃になるんですよ?」


「認めないわけには……」


「公爵を脅して、署名させないでおけばいいんです。

 ああ、王宮からしばらく出さないようにしましょう」


「もう遅い。使者はオードラン家に向かった。

 今から向かっても間に合うまい」


「どうするんですか!

 俺と年齢があう高位貴族令嬢は他にいないんですよ!?」


「バランド公爵家の末の娘がいるだろう?」


「まだ五歳じゃないですか!!」


「仕方ない。あきらめるんだな」


「父上!」


こんなこと納得できるわけがない。

新しい婚約者をバランド公爵家の末娘に変えたとしたら、

俺が結婚するのはいつになると思っているんだ。


腹が立って仕方なかったが、父上が意見を変えることはなかった。

リンネアが皇太子の婚約者候補になったことは貴族たちにすぐに知らされた。


貴族たちにしてみれば、婚約者になるのがアンジェラでもリンネアでも変わりない。

税が二十年免除になったところで自分たちの生活には影響がないのだから。


「お兄様!どういうことなの!?」


「……ああ、アンジェラか」


リンネアのことを知ったらしく、部屋に来たアンジェラが声を荒げた。


「私の婚約者を奪うなんて許せないわ!」


「……俺の婚約者としての自覚が足りなかったのだろう。

 簡単に他の男の婚約者になるとは」


「お兄様にリンネアはふさわしくなかったのだから、

 それは別にかまわないんだけど、

 まさか皇太子を奪われるなんて最悪だわ!」


「俺だってリンネアが妃としてふさわしいと思っていたわけじゃない。

 ただ、他に妃になれる身分の者がいないんだ」


「私だって、今さらこの国で結婚相手を探せると思うの?

 公爵家の嫡子は全員結婚してしまっているのよ!」


言われてみればそうだ。

アンジェラと一時期婚約していたリンネアの兄ダニエルも結婚してしまっている。


侯爵家から探すにしても、ほとんどの者は結婚しているか婚約している。

アンジェラの嫁ぎ先も探さなくてはいけないのか。


「……ねぇ、お兄様。良いこと考えたわ」


「なんだ?」


「こうなった責任をオードラン家に取らせて、

 ダニエルを別れさせればいいと思うの」





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