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13.これからの予定

「先ほど、マリアに叱られてしまったよ」


「どうしてでしょうか?」


「リンネアに説明が足りないと言われたんだ。

 明日からの予定を説明しておこう」


「お願いします」


それは私も気になっていた。

アンジェラ様の代わりに婚約者候補になったのなら、試験はいつ受ければいいのだろう。


「婚約者の発表は三か月後の夜会になる」


「え?」


「遅いか?だが、夜会を開くときは三か月前に知らせなくてはならないらしい。

 令嬢や夫人たちがドレスを仕立てるとなるとそれくらいはかかると言われて」


「いえ、そうではなく……試験はいつになるのでしょうか?」


「試験?」


なぜか驚いたような顔をされて、アンジェラ様から聞いた話を説明する。


「マティアス様の婚約者として認められるには、

 皇太子妃教育の試験に合格しなくてはいけないと聞いたのですが」


「ああ、リンネアは必要ないよ」


「必要ないとは……」


「教師として派遣したマリアが保証している」


見れば、部屋の隅で控えている女官長がうなずいている。


「マリアからの報告書は読んでいた。

 今さら試験をする必要がないくらいリンネアは完璧だと書かれていた。

 だから、リンネアには試験が必要ないんだ」


「それは……ありがとうございます」


では、やはりアンジェラ様に試験が必要だったのは、

課題の不正が知られていたからだったらしい。


どのような報告だったのかは知りたくないけれど、

アンジェラ様のズルが認められなくて少しうれしいと感じてしまう。


「明日からは夜会の準備と、学園の編入準備をしてほしい」


「学園に編入……」


そういえば、アンジェラ様も帝国の学園に通う予定だった。

私は入学ではなく編入になるらしい。

年齢の通りだとすれば、最終学年になる。


「一年間だけでも通えば、親しい友人ができるかもしれない。

 ああ、無理して社交する必要はないので気楽に通ってほしい」


「はい、ありがとうございます」


「予定についての細かいことが知りたかったらマリアに聞いてほしい。

 女官長はリンネアの下につくことになる。好きに動かしていい」


「私がマリアンナ先生を……」


「リンネア、今まで教師だったマリアを使うのはやりにくいかもしれないが、

 そこは慣れてもらうしかない」


「わ、わかりました」


急なことで心がついて行かないだけで、理解はできる。

皇太子の宮の女官長は皇太子妃の管轄だ。

これからは私が指示をして動かしていかなくてはならない。


「他で、何か困っていることはないか?」


「あ、エルドレドに手紙を送ってもよろしいでしょうか」


「それは報告のために?」


「はい。おそらく心配していると思いますので」


「謝罪を受け取ったこととリンネアが婚約者候補になったことは、

 すでにエルドレドに報告するように言ってある」


もうすでに手配済みだとは思わなかった。

中庭でお茶を飲んでいた時にはもうすでに出発したらしい。


「王宮宛には報告を送ったから、リンネアは両親に手紙を送るといい。

 安心させたいのだろう。好きに書いて送って良い」


「はい、ありがとうございます」


婚約者候補になったからには手紙を送るのも制限されると思ったが、

自由に書いていいようだ。


「今日は疲れただろうから、ゆっくり休んでくれ。

 明日は昼過ぎからこの宮の中を案内しよう」


「はい」


食事が終わった後、私室までマティアス様が送ってくれる。

部屋に入って、マティアス様が出て行くのを見送るのが少しさみしく感じる。


カルラにからかわれながら湯あみをした後、

ベッドに入ったらすぐに眠ってしまったようだ。


夢の中ではナタニエル様が私に向けて何か怒っていたけれど、

不思議と嫌な気持ちにはならなかった。


もう自分とは関係のない人だとわかったからだろうか。





次の日、思ったよりも起きるのが遅くなってしまった。

寝坊してしまったと焦ったけれど、朝食を用意してくれた侍女に微笑まれた。


「長旅でお疲れでしょうから、もう少しお休みしていても良かったのではないですか?」


「そうかしら……」


「はい」


心からそう思ってくれているのか、嫌味には感じない。

ほっとしながら食べた朝食は、今まで食べた朝食の中で一番美味しかった。


マティアス様は約束通り、昼過ぎになって迎えに来てくれた。


マリアに聞けば、朝起きてから今まで皇太子としての仕事をしていたらしく、

宮の案内のために時間を割いてもらうのが申し訳なく思う。


「一度では覚えられないかもしれないが、そのうち慣れると思う」


「そうですね。思った以上に広いです」


昨日は私に用意された部屋とマティアス様の部屋、

中庭と晩餐用の食事室しか行かなかった。


東の宮には夜会が開けるほどの大広間やたくさんの客室、

マティアス様の政務室や側近の方たちの控室などがあり、

本当に覚えきれないほどの広さだった。


だが、これでますます疑問に思うことが出てきた。


「あの……私に与えられている部屋は皇太子妃の部屋ではないでしょうか?」


「そうだ」


「まだ婚約者候補なのに問題はないのでしょうか?」


「あと二週間もすれば婚約者になる」


「え?」


「エルドレドへの報告を送るのと一緒に、正式な婚約の書類も送った。

 リンネアの父が署名した書類が戻ってくれば婚約は成立する」


「本当ですか?」


「……婚約するのに、何か問題だろうか?」


あまりの早さに驚いていたら、マティアス様が顔を曇らせる。

まるで私が困らせたみたいに思えて、慌てて訂正する。


「いえ、驚いただけです!こんなに早く承認されると思わなかったので」


「この宮に滞在させるということはそういうことだ。

 ならば、周りに知られて噂になる前に正式に書類を整えておきたい」


「はい、ありがとうございます」


アンジェラ様は西の宮の客室に滞在していたと聞く。

そして、マティアス様に会うことすらなかったと。


おそらく、それも誤解されるのを防ぐためだったのだろう。

マティアス様の誠実な人柄がわかるような気がした。







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