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剃って繋がるサムライ魂〜禿げから始まる虚言昔話〜  作者: 黒砂 無糖


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禿げしい妄想

読みに来てくれてありがとうございます

╰(*´︶`*)╯♡


 やぁー!


 掛け声と共に竹刀がパンパンと、乾いた音を立てている。


 高校の剣道部ともなれば、日常の稽古でさえ力強く、そこらじゅうで踏み込むたびにドンと重い足音も聞こえている。



「ありがとうございました」



 集合し正座のまま黙祷をささげ、頭を下げたら、今日の稽古は終了だ。



 誠は、自分の防具の元へ行き、正座をして防具を順番に整えていたら、友人の正道は、疲れた顔をして自分の頭を撫でながらやってきた。


「なんだよ、今日は随分疲れてるな?」


 いつもは元気な奴なのに、何だか今日は凹んでいる。


「そう見えるなら、そうなんだろうな……」


 正道は投げやりな感じで、誠の隣でドカッと胡坐をかくと


「はあぁー」


 あからさまに大きなため息をついた。


「おい、本当にどうしたんだ? 後で聞くから、一旦帰る支度するぞ」


 試合ですら、こんなに落ち込んでいる姿を見てこなかったので、誠はちょっと心配になり、ちゃんと話を聞こうと思った。



「「ありがとうございました」」



 荷物をかたづけた後は、二人で先生に挨拶をし、少し暗くなってきた道を並んで歩き、駅に向かう途中のコンビニに立ち寄ると、二人ともコーラを買う。


 口数も少なく、正道の頭の中は、悩みに支配されているように見えた。


「ベンチに座るか?」


 コンビニの斜向かいに、ベンチのある公園がある。今の時間は人がいないようなので、話を聞くのにちょうど良さそうだ。


「……ああ」


 消え入りそうな声で返事をすると、正道はベンチに腰かけた。誠が話しかけると同時に、正道も同時に言葉を吐き出した。


「おい、本当にどうしたんだよ?」

「俺、剣道、辞めるかもしれない」


 え? どうして……? あんなにも毎日頑張っているのに……


 誠は、正道の気持ちが理解出来なかった。



「何でだよ? 怪我か病気か?」


 誠は慌てて理由を尋ねた。


 正道は、ゆっくり首を横に振っている。



「怖いんだ……」


 正道は両手で頭を抱え、絞り出すように誠に伝えてきた。


「怖い? いったい何が怖いんだ?」


 幼少期から剣道を続けているのに、今更怖いってどうしてだ?


 誠は、納得出来なくて理由を尋ねた。


「絶対笑うなよ? ……今日、彼女が友達たちと『正道って、将来禿げそうだよね』って話していたんだ……」


 正道は、声を震わせながら独白を続ける。


「『剣道って頭蒸れるしヤバそう』だって」


 正道は、恐ろしいものに出会ったかのようにブルブルと震えて、両手を合わせた。


「最初は気にしていなかったんだ。でも今日の練習中にぼんやりして、手ぬぐい巻いたら、途中で外れて……」


 正道は、手をギュッと握り締めている。


「ああ、だから、珍しく途中で直したんだな」


 誠は、理由がくだらないと感じてしまい、少し気が抜けたが、正道はまだ話している。

 

「その時、頭のてっぺんが面に擦れて……急に不安になったんだ」


 そう言って正道は、自分の頭を撫でている。



「……正道ごめん」



 誠は一言謝ると、我慢出来ずに



 爆笑した



「おい、笑わないって約束じゃないのか? 俺は真剣なんだぞ!」


 誠の肩を掴んで、ゆすってくるが、正道が真剣であれば真剣であるほど、誠は笑いがこみあげてくる。


「あは、だからごめんって、でも、笑わないのは無理だ。正道も逆の立場で考えてみろよ!」


 正道は、誠から手を放し、少し考えるそぶりをした。


「大事かと思って真剣に心配していたら、まだふさふさの友人が、禿げることに対して真剣に悩んでんだぞ? 笑わないとか、無理くね?」


 誠は、自分の気持ちも追加で説明してみた。


「ふふ、ふふふ、ご、ごめん誠の禿げた姿想像したら……ふふふ、あはは!」


 こいつ……まあ元気になったならいいや。


 正道も笑い出したので、誠はほっとして、肩の力を抜いた。


「正道、お前、いい性格してるよな。もう大丈夫だな?」


 誠は、心配して損した気分になった。


「でもさ、俺、マジで禿げたくないんだよ」


 正道は、まだ頭が気になるのか触っている。


「わざわざ禿げたい奴なんて、いないだろ?」


 大人にならなきゃわからねえよ……ん? そういえば?


 誠は、ふと何かを思い出した。


「あぁ、侍はうらやましいよなぁ。だって禿げても分からないだろう?」


 そうだ、侍って……

 

 誠は、記憶の中にある昔話を思い出した。


「正道、俺、前に侍はどうして剃るのか、母ちゃんから聞いたんだけどさ……」



 諸説あるけど、真実はきっと——


 誠は、昔話を政道に話し始めた。





読んで頂きありがとうございました╰(*´︶`*)╯♡

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