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リアルゲーム・オンライン  作者: 百ノ条アヤメ


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第5話 遠の試練

すると急に周りが暗くなる。的が一斉に動き始め、岩も移動し巨大なステージを作り始める。

的は全て天井に移動し、そこから光が出て来る。まるで電球のような役割をしている。

三味線の音が急に鳴り響き、そこから和を連想させる激しめの音楽が訓練所に鳴り響く。


『今宵、また遠の試練に1人の門下生がやってくる……その選択が吉と出るか凶と出るか……それはまさに神のみぞ知る事!!』

「なんか謎の導入部分きたなぁ〜これスキップ出来ないのかな?」


すると急にドンと太鼓の音が鳴り始め、先ほどまで暗かった場所に灯りが灯り始め、無数の鬼達が力強く太鼓を叩く。なんだこの盛大なお出迎えは?

音楽はどんどん激しくなっていき、それに合わせてかアナウンスしている人の息遣いがさらに荒くなっていく。


『それでは登場してもらいましょう!!遠の試練の指南役にして我がガリア組の四天王、金童子様!!!!!』


その言葉と同時に巨大な神輿が現れる。余の神々しさに威久は驚愕してしまう。これゲームだからってやりすぎでしょ!?

しばらくすると、神輿の頂上からは金髪の何故かギャル味のある小柄な鬼が現れる。とんがった耳には無数のピアスが付いており、長い爪には可愛いネイルが施されていた。開発者達のこだわりを感じる。


「は〜〜〜〜い!!!!呼ばれて登場!!スーパーギャルの金童子ちゃんで〜〜す!!!!」


あ、見た目だけではなく、中身までバチバチのギャルなんだ。


「およ?今日はもう終わりと聞いてたけど追加が来たのかにゃ?親分も鬼だね〜これ以上のお仕事はお肌に悪いのに!!!!」

「いやガリアもあんたも鬼でしょ」

「まあいっか!!

「いいんかい」


なんか疲れるなこのテンション。熊童子さんはあんなに大人しい感じなのにこの金童子さんはやけにテンションが高い。まあギャルだし。

よく見ると神輿には鬼以外にもエルフや獣人など沢山いる。異色の音楽ユニットなのかな?

金童子は何処からかエレキギターを取り出し肩にかける。そこは三味線とかじゃないのかよ。世界観がさっきから分からないな。


「最初の試練はとりあえず君がどれだけ動けるか確認するから死ぬ気で踊ってね〜それじゃあミュージック・スタート!!」


大量のスピーカーが威久の前に現れる。それは360°威久の周りを囲むようにして現れ、そこから大音量で音楽が流れ始める。このジャンル……もしかして、


「ヘビーメタル!?あの見た目してロック系やんの!?ふわふわ系の歌を歌いなさいよ」


金童子が歌い始めた瞬間、顎に突如として違和感が現れその数秒後に殴られる。


「ガハッ!?何が起きたの!?」


さほどの痛みは無い。軽く小突かれた程度しかないがノーモーションで殴られた。どんな魔法か分からない上に避けようがない。

また背中に違和感が現れ、その数秒後に殴られる。さほどの痛みは無い。見えない代わりに威力がそこまで出ない魔法なのかな?だとしたら厄介すぎる。これじゃあ一方的にやられてしまう!!

結局何も見破る事も出来ず、金童子は歌い終わってしまう。そのやられっぷりに金童子は呆れてため息を吐いてしまう。


「本当にこのカラクリがわかんないの?察しが悪すぎだし鈍臭いね〜君」

「どん……!!そんな事ないし!!それに私は初心者だぞ!?もっと簡単に……」

「目で追うなし。それと音楽にもっとノリなよ。あーしが言えるのはここまでだよ。これ以上言うと親分がうるさいし」

「え?それって……」

「それじゃあミュージック・スタート❤︎」


また激しい音楽が流れ始める。さっきの金童子が言っていたことがすごく引っかかる。目で追うな……音楽に乗れ……

何かを見落としている気がする。思い出せ!!この試練の事を!!

格試練の様子を別室のモニターで観ているガリア。片手には煎餅とお茶。まるでテレビでも観ているかのような姿だ。

膝の上ではシドが寝ており、時折シドの頭を撫でてのんびりとしていた。

その姿を見兼ねたのか背後からゆっくりと1人の鬼がやってくる。その白髪の髪に鋭い角。高身長にメガネを掛けており如何にも仕事が出来るタイプの鬼だ。

気配を感じ取ったのかガリアはゆっくりと話しかける。


「なんの用だ?茨木童子」

「いえ、統領としての仕事をちゃんとしているか確認をしに来ただけです」

「口を開けば仕事仕事と、つまらんくないかその人生は?もっと楽しくやれば良かろう?」

「自由すぎたのです貴方は」

「そうかのぅ?まあ、今日は皆の仕事振りを確認しておるから安心せい」

「それならいいです。それはそうとして、今日連れてきたあの子、いぐと言いましたか?どうなんですか?現状はそこらにいる門下生と変わらないレベルですが……」


その発言を聞くとガリアは大きく笑い、茨木童子の方を見る。その目と覇気はまるで自分の獲物を馬鹿にするなと言わんばかりの迫力だった。

気迫に押されて少しばかり後づ去りしてしまう。流石は歴代の中でも最強と言われるだけはある。5万の軍勢を1人で殲滅する程の鬼……ガリア=童子又の名は鬼神ガリア。


「申し訳ありません。貴方の厳選する人材はどれもハズレが居ませんからね」

「そりゃあ余が間近で確認しとるからな。時間がかかるが……あれは化けるぞ〜」


またモニターに目を向けて観戦する。沢山あるモニターから見る所は1つ。威久が受けている遠の試練。

今まさに試練に挑んでいる威久の姿が映っている。苦戦しているがなんとかして攻略しようとしている。


「そうだいぐ!!目に頼るな、ここはどんな試練だ?思い出せ……攻略の鍵はそこにある!!」


金童子が歌い、それに合わせて見えない攻撃が飛んでくる。回避が出来ない攻撃になす術なく床に倒れる。そこまでのダメージは無いが何度も喰らうと流石にしんどい。

立ち上がり金童子の方を見るがその顔は呆れ顔の1点。まだ正解を導いていないことに呆れているらしい。

こちとらゲーム初心者だぞ!?でも本当に何かを見落としてる……この引っかかりは何!?思い出せ!!思い出せ!!!!

顔に違和感が現れ見えない攻撃が頬に当たった瞬間、ガリアの顔が浮かび、威久の中にあった引っかかりが全て解ける。

そうだ……ここは遠の試練だ。弓に引っ張られ過ぎて忘れてた。 


「遠、音楽、乗ると来たらあとはそれに反応する反射神経!!ここに来て音ゲー要素ですか!?中々面白い思考してんじゃん運営さん!!」


(お、やっと分かったね〜でもどうやって攻略すんの?この見えない音の攻撃を!!)


更に激しさを増す金童子の音楽。意図がわかってもこの見えない攻撃を攻略した訳ではない。だが音ゲーと分かってしまえばやる事は簡単だ。

威久は大きく深呼吸し、目を瞑る。耳を澄ませ、まずはリズムに乗る事。足でリズムを刻み、徐々に頭を縦に小刻みに振る。そして雑でも良い、踊る事!!

不器用ながらも威久は一生懸命に踊る。側から見たら笑われてしまう様な踊りだが、あの金童子の攻撃を避けるには充分の行動だ。


(嘘じゃん!?本当に踊るってまじ!?)


別室で観ていたガリアもお腹を抱えながら笑い転げる。茨木童子は少し引いていたがすぐに感心してしまう。


「あっはっはっはっ!!!!本当に踊ってる〜こんな奴他におらんかったぞ〜!!」

「ですが、ある意味正解に近い行動ですね」

「そうじゃな。この最初の試練は反射神経を試す物。ちゃんと音を聴いたら次に来る攻撃の箇所が分かる。それに合わせて避けたら良いのだが、多分いぐはそこまで理解していないのだろうな」

「じゃあなぜこの様な行動を?これでは次に来る攻撃の箇所がわからない筈では?」

「いやそうでも無いぞ。確か前におった奴が言っておったがおとはめ?とか云うよくわからん技術を使えば簡単に避けれると言っておったぞ」

「なるほど……それは実に興味深い物ですね」

「まあお前には無理だぞ。リズム音痴のお前ではな」

「余計な一言ですね……」


(うっそ!?マジで全部避けてんじゃん!!)


威久のよくわからない踊りは金童子の攻撃を軽々と避けていく。これに金童子は動揺してしまう。この見えない攻撃には一定の周期とパターンが存在する。それは金童子の歌に反応して変化する。

その意図を理解したのか、それとも知らず知らずのうちに攻略したのかは不明だが、流石の金童子もこれでは終われない。


「テン⭐︎ション上がって来た〜〜〜!!ここからギア少し上げてくよぉ〜!!!!」


急に転調やアレンジを加え始め、周期とパターンを一気に変更する。より一層ロックに磨きが掛かる。テンポが変わり、見えない攻撃の数が先ほどの倍で飛んで来る。


「まだまだ上があるって事ね!!面白いじゃん!!」

「テン⭐︎ションブチ上げ!!最後までノッてけ〜!!!!」


テンポが速くなったけど、飛んで来るスピードは変わらない。数の暴力で押し切ろうとしてんのね。でもごめんね、そういった対処はもう知ってるんだ。

それはとある放課後にした鏡花との会話だ。


『音ゲーの基本って何だと思う?』

『流れてくる物体を叩く事?』

『正解〜じゃあそれが速くなったり、数が多くなったりしたら?』

『目で追ってタイミング良く叩く?』

『そんな事毎回できる訳ないじゃん!!正解はその音楽にちゃんと乗る事だよ』

『……それだと見逃すのでは?』

『ち〜が〜う〜よ〜!!!!音ゲーってのはその音楽に沿ってちゃんとタイミングがあるんだよ。まあダンスで言うと音ハメみたいな?基盤はその音楽だからその音楽に乗れたらどんなにノーツが多くても対応出来るの』

『音楽とかあんまし聴かないからイマイチピンとこないかも』

『え〜!?!?今時のJKが音楽を聴かないとは……凄い良い曲沢山あるんだよ?これとかさ!!』

『後でまとめて送って作業BGMぐらいにはしとくよ』

『ちゃんと聴いて音楽に乗れ〜!!!!』


そんな会話をしていたな。今となってはその音楽に乗る行為に救われる日が来るとは。

攻撃の基礎となっているのはこのロックな音楽。目では追わずに耳で聴いて、身体で表現する。違和感が現れるタイミングはどれもその音楽が主となってる。


(耳で感じて、音に乗る!!)


(こんなに避けられてるのは久々すぎてまじテンション上がりまくりなんだけど!?流石は親分が連れて来た人間ってだけあるね!!でも……)


「これでラストだよ!!!!もっとブチ上がりな〜〜〜!!!!」


最後に鬼畜と言わんばかりの全方向弾幕がやってくる。が、完全に音に乗っている威久の前では関係無く、全て避けられてしまう。

これには流石の金童子も驚きを隠せない。先程とは比べ物にならないレベルでの成長振りに静まっていた鼓動も速くなる。と同時に自身の渾身の攻撃を避けられてしまい、ガッカリしてしまう。


「ガチ!?もうあーしの全力だったんですけど!?超萎えぽよ〜」


金童子は神輿から飛び降り、そのまま威久の元に歩いていく。


「はぁ……!!はぁ……!!とりあえず、クリアって事で良いの!?」

「うん、最初の試練は問答無用で合格だし!!」

「最初でこんな疲れるって他の試練はどんだけ難しいのよ……」

「こんな動くのは最初だけだし。後は弓や銃とかバンバンって撃てるよ」

「そうなんだ……よかった〜」

「反射神経は文句無しで合格だね。後は……サポーターの感を養って貰うよ!!」


次の試練はサポーターに徹する為の試練ね。金童子さんもそこまで動く試練はないって言ってたけど感を養うって何するの?

急に上から1つの大きな箱が落ちてくる。金童子が用意した物だろう。金童子は気分ルンルンで落ちて来た箱を開け始める。

その中から出て来たのは1人の気絶した女の子だった。緑色のウルフヘアーで全体的に小柄のタイプだ。よく見ると耳は尖っているしあれが俗に言うエルフ族なのだろうか?いやそこは問題ではない。


「何で上から人が降ってくるの!?」

「上の階にはトラップが沢山あんだよね。それに引っかかるとこうなって落ちてくるの」

「トラップがあるって……次の試練はトラップ解除とかそんな類いのやつ?」

「せ〜かい!!話が速くてマジ助かるラスカルマダガスカル〜」


確かに弓使いや銃使いはサポーターに徹する職業。トラップ解除は出来て当たり前って感じのスタンスらしい。役割がハッキリとしていて分かりやすい。


「で、いぐちゃんにはここからこの子を連れて次の門まで走って貰いま〜ふ!!」

「はい?」

「サポーターは常に2人行動。1人が動きやすい様にサポートをする事!!説明終わりだから早く準備してね〜」


それだけ言い残し金童子は神輿の方へと戻る。近くにいるのは気絶しているエルフの少女。いや、実際にNPCかプレイヤーかもわからない。このゲームは精巧に作られ過ぎて全く見分け付かないんだよね〜



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