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童話と寓話集

アノンと白いチョウチョ

作者: ゆきつぶて

アノンは三才の男の子。シャボン玉が大好きです。

その日も、お庭でせんたく物を()しているママのすぐそばで、シャボン玉遊びをしていました。

フーと、せっけん水を付けたストローに(いき)()()むと、たくさんのシャボン玉が出来ました。

シャボン玉に光が当たると、キラキラと、にじ色に光ってとってもキレイです。


続けてアノンが、フーと息を吹き込むと、大きな大きなシャボン玉が出来ました。

けれども、どんなにフーフー息を吹き込んでも、シャボン玉はストローから(はな)れません。

シャボン玉はドンドンドンドン大きくなって、とうとうアノンよりも大きくなってしまいました。


アノンは、面白(おもしろ)くなって大きなシャボン玉にそっと(さわ)ってみました。するとどうでしょう。なんとアノンは、シャボン玉の中にスッポリと入ってしまったのです。


その時、とつぜん強い風が吹きました。

アノンは、シャボン玉といっしょに、みるみる風に()い上げられて、空高く登ってゆきました。


下の方を見ると、さっきまでいたお庭が、とても小さく見えます。アノンは、ちょっとビックリしましたが、シャボン玉から見える景色(けしき)を見ると、とても楽しくなりました。

すごーく、すごーく遠くまで見わたせるのです。

向こうの方に、ママがよく連れて行ってくれるお花(ばたけ)が見えます。

広い広いお花畑で、色々なお花がたくさん()いています。


シャボン玉は、風に流されてお花畑の上までやってきました。

下をながめると、白いフワフワしたお花がたくさん見えます。

また、ちょっと強い風が吹きました。

すると、その白いフワフワが、いっせいにお花畑から吹き上げられました。

まるでまっ白な雪が、下から降り注いでくるみたいです。

白いフワフワは、アノンのところまで上がってきてアノンの周りは、白いフワフワでいっぱいになりました。


フワフワの正体は、たんぽぽのわた毛でした。

わた毛たちは、しばらくアノンといっしょに飛んでいました。

まるで、夢の世界にいるようです。


一匹のまっ白なチョウチョが、ヒラヒラと飛んできました。チョウチョもアノンの周りをクルクルと回りながら、いっしょに(なら)んで飛んでくれます。


やがて、タンポポのわた毛は、アノンを置いてもっともっと高いところに登っていって、やがて見えなくなってしまいました。


お花畑を()ぎると、今度はキラキラと光る大きなカガミみたいなものが見えてきました。

アノンは、お花畑より遠くには、まだ行ったことがありません。

ちょっと(こわ)くなりましたが、キラキラ光るものが何なのか知りたくてしかたがありません。

そのうち、怖いのなんかすっかり吹き飛んでしまいました。


キラキラ光っていたものの正体は、大きな(みずうみ)でした。

湖の水は大変にキレイで、お日様の光を受けて、カガミのように(かがや)いていたのです。


アノンを乗せたシャボン玉は、湖の上をわたってゆきます。

下を見ると、アノンのシャボン玉が、まるでカガミに(うつ)したみたいに水面に映っています。

シャボン玉も、お日様の光をあびて、にじ色に輝いてとってもキレイ。

その中で下をのぞいているアノンの顔も、映っています。


水面の下をよく見ると、お魚がたくさん泳いでいました。

どこまでも()き通った水で、アノンとシャボン玉を()いかけていっしょに泳いでいます。

お魚たちも、とっても楽しそう。


湖をわたると今度は、森が見えてきました。

とっても高い木がたくさん生えています。

横を見ると、チョウチョはまだアノンといっしょに飛んでいます。

チョウチョも楽しそう。


森の上にさしかかると、大きな木のてっぺんの枝に、小鳥の()が見えました。

小さなヒナたちが、ピーチクパーチク()いています。アノンを見てビックリしたのでしょうか?


その時、巣にお母さん鳥が(もど)ってきました。ヒナたちが鳴いているのを見て、お母さん鳥は、かん違いをしてしまったようです。

アノンが、ヒナたちをいじめていると思ったのです。

お母さん鳥は、すごいいきおいで飛んできて、いきなりアノンの乗ったシャボン玉を()っつきました。


『パチン!』


なんと、アノンの乗ったシャボン玉は、()れてしまいました。

アノンは、まっ(さか)さまに森の中へと落ちてゆきます。

アノンは怖くなって、キュゥと目をつむりました。


『ドスン!』


でも、ちっとも(いた)くありません。

アノンは、(おそ)る恐る目を開けました。するとママが、(やさ)しい顔でほほえんでいました。


いつの間かお庭についていて、()っこされていたのです。

きっとママが落ちて来たアノンを、受け止めてくれたのでしょう。


その時、ふんわりとした風が吹いてきました。

その風に乗って、何かがヒラヒラ舞い(おど)っていました。


あのチョウチョです!


アノンはチョウチョを見てニッコリと(わら)いました。

まっ白なチョウチョは楽しそうに、アノンの周りをクルクルと回って、そっとアノンのおでこに止まりました。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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どうぞよろしくお願いします!

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