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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

秋の夜長の満腹不振

作者: 笹門 優
掲載日:2025/09/07

しいなここみさま主催『いろはに企画』参加作品になります。



 俺は何をしてるんだろう?


 只管に食い物を口に詰め込み、ふと思う。

 俺、いつから食べ続けているんだっけ?



◇ ◇ ◇



 キノコはローカロリーだ。



 最近太り気味な俺は、ダイエットに丁度いいと山に入った。


 といっても許可なんて取っていない。 要は不法侵入な上に窃盗だがこの広いお山で俺ひとりが取る量なんてたかが知れてる。

 運動にもなるから一石二鳥と、飼い主に似てちょっと太ってきた犬の多聞(たもん)も連れてキノコ狩りに来たのだ。


 勝手も知らない他人の山とは言え、そう深い訳でもない。

 無謀に思えるかも知れないが、学生時代はよく父と地元の山には入っていたモノだ。 お陰で山菜や茸はそこそこ詳しい俺。

 成人してからもそれなりに山歩きはしていたのだが、太ったのはここ十年ほど家でごろごろする様になったからだろう。



 それなりに歩いたもののエノキにナメコ、マイタケにヒラタケをゲットした。 中々の戦果だ。 リュック一杯の茸は買えばそれなりの値段だろう。 つまりこれは節約でもあるのだ。


 ん? 盗みだって?


 どうせ持ち主も全部なんて取らずに腐らせるだけだろ?



 俺はホクホク顔で下山すると、早速夕食にそれらを使った茸料理を作るのだった。



◇ ◇ ◇



「……腹、減ったな」


 夜中に空腹で起き出した俺は食欲を抑える事が出来ず冷蔵庫を開けた。

 一人暮らしには似合わないデカい冷蔵庫。 運動不足に加えて、コレこそが肥満の原因な気もするが今はそれが有り難い。


 こんな時間に料理を作る気もないから、直ぐに摘まめそうな物を口に入れる。 入れていく。 次から次へと。

 空腹は収まらない。

 菓子を食べながら残った茸を炒め、冷凍してある食品を解凍する。


 ――俺は何をやっているんだ?


 そんな疑問は空腹の中に飲み込まれる。


 食べる。


 食べる。


 食べる。


 収まらない空腹。 増していく食欲。



 体中が蠢動する。

 食べた物が直ぐに身になるように、膨らんでいく。 ボコボコと、ブクブクと、そんな音さえ聞こえるように。


 ――ワンワンッ! ウーッ……ワンワンッ! ワンワンッ!


 多聞が吠えている。


 ――夜中に吠えるなよ。


 ――ギャワンッ!?


 静かになる多聞。


 ああ、何でこんなに腹が減るんだろう?

 何か変なモンでも食べたかなあ?


 解らない。


 分からない。


 まるで判らない。


 ああ、これは食べにくいな。

 生肉か……。 まあいいや。

 纏わり付く毛が邪魔くさいけど、今は腹が減って仕方ないんだ。




 ――俺、何してるんだっけ?



 ………まあいいや。

 腹が減って仕方ないんだ。



 ……でもこれじゃあ足りないな。


 出かけるか。


 ああ、体が重いなあ…………。

ダイエット……失敗!

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― 新着の感想 ―
愛犬、食ってしまった。 正気に戻ったとき、これは恐いでしょう。 私の実家の竹林の筍。 毎春、誰かが入って筍を盗んでいきます。近所の山も盗まれており、一番値段の高い時に掘って、市場に出すそうな。
止まらない食欲というのは実に恐ろしいですね。 このまま彼が外に出てしまったら、色々な意味でマズい事になりそうです。 現状でも動物虐待でヤバそうなのに、更に罪状が増えそうですね。 それに塀の中では食事の…
多聞ーーーーーーー!(´;ω;`)
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