8 粉塵爆発
「山野がやられただと!?誰にだ!」
「アマ王国のサザンカ姫が率いる反乱軍のようです!」
「あの女生きていたのか!?」
「四肢は魔導カラクリとの事です」
「からくり人形が!戦力を投入して叩き潰せ!」
「ハッ!直ちに向かいます!」
「姫は手足をもいで公園に飾るから生きて捕えろ!」
◾️◾️◾️
召喚者の山野を始末した事が知れ渡り、反帝国部隊は合流者が増え急速に大きくなった。
地方で小集団で活動していた反乱分子が、サザンカ姫の元に集まって来たのだ。
確かに一致団結すれば戦力は高くなるが、それでも帝国との戦力差はあまりにも大きい。
とりあえず場所によっては小集団活動によるテロ、プロパガンダ運動などが効くので、今まで通りの活動をしてもらう。作戦指示はこちらから出す事にする。
俺とサザンカは帝国の中央部に一撃を与える作戦を考えていた。
狙いは皇帝の城がある首都カイザーだ。
それにしても火薬があれば良いのだが・・・
まぁ無いならしょうがない。
「コーンスターチとかないか?」
「ある、お菓子とかに使う」
「それは良い!あるだけ集めてくれ!」
(ダメ元で粉塵爆発をやってみるか)
大量に集め樽に詰める、樽の蓋の裏にに魔道具のプロペラを付ける。時間が経つと上蓋を割り、樽の中を吸い上げ周りに撒き散らすようになっている。
この大量のコーンスターチを占拠した国からの分捕り品として、帝国の商人に正式に話を持ち込んだ。
これに帝国のギルドが食いつき全部お買い上げとなった。もちろん一括買取なので激安価格だ。
ただし搬入場所が無いのでギルドは城に隣接する、一番大きな食料庫を借りそこに保管する事にした。
反乱軍総出で運び入れる。御伽衆のグリとグラは貫禄があるので、商会の代表と言う事になっている。帝国のギルドから代金の受け取りをお願いした。
ちなみに商会名は老村商会だ。
搬入した夜、粉の湿気を取るため1日だけ乾燥すると嘘をつき、倉庫の扉を全開で開けた。
閉められては困るので扉は取り外した。
俺とサザンカだけ残り、魔道具が発動するのを見届ける事にした。
町が十分寝静まった時間に魔道具が動き出した。
コーンスターチが粉塵となって城内外に広がる。
視界がすぐに悪くなる。
まずい事に思った以上の粉塵で様子を見ている余裕は無くなった。 これはやばい!
ゼロ視界になる前に何とか外に出た。その後は猛ダッシュで遠くに逃げる。
南側の人けの無い城壁の前に立ち目印を探す。
横に一本線がある石の下を掘ると板が出て来た。
それを横にずらすと1人だけ通れる狭いトンネルが現れ、急いで飛び込みほふく前進で城壁外に出る。
すぐに後ろを向きサザンカの腕を引っ張った。
穴には大石を転がし入れ、外で待っていた仲間の馬に乗り走り出す。
その時、城内から大音響と共に直下型の揺れと爆風が来た!
うまく粉塵爆発が起こったようだが、これは予想以上の威力でかなりビビってしまった。
この後は一旦王国に帰り、しばらく地下潜伏する予定だ。