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7 目

新たに帝国軍が50名ほど投入された。

大国のおごりなのか緊張感も無く進んでくる。


そして我々が仕掛けた罠、街道途中に掘ったダミーの下痢薬入り井戸に簡単に引っ掛かる。


(大丈夫かこの世界の軍は?無警戒過ぎないか?馬鹿の詰め合わせなのか?)

特権階級意識が強く警戒心がかなり欠如しているようだ。


翌朝、全員腹を押さえのたうち回っている。

50人を縛り横一列に並べ1人1人帝国の動向を聞き出す。

「知らない」っと答えるとサザンカがパイルバンカーで頭に穴を開ける。

出来立ての死体を木にぶら下げて行く。


45人ぶら下げて残り5人になった。

ここまで30分もかかって無い。

1人当たりの持ち時間は40秒だ。


「しっ、知ってる!」

サザンカのパイルバンカーが頭を貫く。

「知ってるなら内容をすぐ話せ、次」


「アサヒ国を攻める!来週からだ!」

サザンカはパイルバンカーで頭を貫く。

「あっ、間違えた?まぁいい、次」


「すぐに山野が後ろから来るんだ!」

サザンカはパイルバンカーで頭を貫く。

「そうなの?でも不愉快な名前だ、次」


「つっ、妻と子供がいるんだ!」

サザンカはパイルバンカーで頭を貫く。

「え?誰に?次!」


次は何も聞かずにいきなり眉間を撃ち抜く。

50人全員を木に吊るし終わると全員を集合させた。


「すぐに山野が来るらしい。これを潰す、王家のクラウドシーカーを出せ」


箱からクラゲみたいな物が飛んで行った。

箱の蓋のモニターに地上の状況が映っている。

(ドローンだな・・・)


50人ほどの小隊の後ろに黒髪の高校生くらいの女が映った。

「これが山野、私の目を抉り出して食べた」

(おーマジか子供だな・・・)


帝国軍が通る経路を予想する。

装備が濡れるので川は渡らず迂回するのが一般的とのことから、橋に近いところで罠を仕掛け待ち伏せをする。

あと5時間ほどで到着という事で忙しい。


豪華な装備をした小隊長クラスの死体の一部を、街道から見える位置に置く。

サザンカが首を切り道に転がした。 


兵士が受け取り首の下に穴を掘り、持ち上げると周囲に毒が発射される魔導具をセットした。


そのマスターの魔道具に時間差で連動動作する、小型のタイプは木の上からくくりつけた。

これは俺が考案し御伽衆のグリとグラに作ってもらった物だ。


本当は即効性の液体の毒を使いたいのだか、こっちでは貴重で量も無く武器に塗るためここで大盤振る舞いは出来ない。

(それが分かってたら向こうから、トリカブトでも持って来たのにな)


そのため植物から採取した皮膚に付くと堪えられない痒みが伴う毒を使う事にした。

痒みが強く少し腫れるだけで死には至らない毒だ。

ただし耐えきれないほどの(かゆ)みは5日は続く・・・


クラウドシーカーが反応する。あと1時間ほどで到着だ。急いで遠くのブッシュに隠れる。かろうじて隊列が見える位置だ。


1時間ほどすると紺色に胸に十時印の制服を着た帝国の奴らが、喋りながらダラダラと歩いてきた。


先頭の2人が倒れている小隊長を見つけ駆け寄った。

知り合いらしく道に置かれた首を見て憤っている。

1人が首を上げると魔道具が発動した。


隊列の最後尾まで黄色い毒がかかる。

思った以上に上手くいった!

敵は背合わせで円陣を組み敵襲に備えた。が襲わないでやり過ごす。


1時間ほど経ってブッシュから出で集まる。

魔道具を回収しクラウドシーカーを覗き、先に進んだ帝国軍を見る。


木に吊るした仲間の死体を下ろしているようだ。

かなり憤っている様子だ。

ただ全員上半身裸なので(かゆ)くてたまらないようだ。

死体は街道から外れた所に埋めたようだ。

 

しばらく進み下剤入り井戸の前に来ると休憩し、水で体を洗い始めた。この下剤には痒みを増大させる効果がある。 


そのまま何もせず3日ほど観察した。

痒みで寝れないようだ・・・

3日たって十分寝不足になった様子だったので朝方に背後から襲った。


寝不足でぼーっとしている奴らをアタッカーが襲撃する。

かなり疲労していたらしく、大した抵抗も無く1回のアタックでほぼ制圧した。


奥からアタッカーが逃げてくる。

それを追い黒髪で上半身裸の痩せた日本人の女が歩いて来た。

山野とか言う奴であろう。

山野は大きく振り上げた刀を振り下ろした。


(おっ!速い!)


ジャリン!


D2鋼材の仕込み杖で受け流した。

山野が目を見開き驚く。


「この山野加右衛門永久の太刀を受けるとは何者!」

(え!?)


「あぁこれが血統霊化か!」

(しかし山野加右衛門とはなかなかマニアックだな、一瞬誰だかわからなかったぞ)


「まぁかかってこい下手くそ!」


(剣は鋭いがベースの女の圧倒的筋力不足だな)

軽くいなせてしまう、とても軽い斬撃だ。


こっちの世界では恐ろしい実力なのかも知れないが、これではまあちょっと出来る程度、向こうの世界では2段程度の低段者ぐらいの腕だろう。


切り掛かってきた剣を押さえ叩き折った。

後ろからサザンカが左手のパイルバンカーを打ち出し心臓当たりを突いた。


「ダイヤモンドのイメージの剣なのに何で・・・」

「・・・馬鹿か?ダイヤは硬いが割れるぞ?」


サザンカがパイルバンカーで眉間を突く。

地面に横になり四肢が伸び痙攣し糞尿を垂れ流した。

痙攣が収まると山野の体は徐々に透明になり消えた。


サザンカから何かが転がった。

拾い上げると義眼だった。


「戻った」

表情は変わらないが何か嬉しそうだった。

「良かったな」

「うん」


ところで俺は血統霊化を使えるのか?

使い方を教わって無いが・・・

あの女は山野加右衛門永久と名乗ったが、それだと憑依だ。

サザンカに聞くと、もう能力を使えると言う事だったが、正規ルートとは発動が何か違うのだろうか?









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