18 人生の扉
最終話です。
お付き合い頂きありがとうございました。
木人とか言う古代兵器により周辺の村が蹂躙されている。
あの木人に乗っている偽皇子には頭にくる。多分、仁を飛ばした魔法陣武器を作たのはコイツで間違い無い。
食堂をやっているコイツの両親を呼んで説得を試みている。
「ノウシン!こんな事はやめなさい!」
「女王様に迷惑をかけるな!」
「うるさい、ノウシンだと?俺は帝国皇子ラメンシンだ!この小汚い下郎ガァーーー!」
母親をつかむと手足をもいで捨てた。逃げる父親を捕まえて両脚を握り潰した。
そのまま2人の頭を踏み潰した。
「狂ってるな」
「全くです」
「それにしてもあの木人がやっかいだな」
「あの分厚い木の鎧のおかげで、中の操縦者に攻撃が通りませんからな」
「まぁやってみないとわからないわね」
サザンカは木人の側面に飛び込んでパイルバンカーを連打する。
「いってえー!痛えんだよこのアマ!!」
4連打で中に少し届いたが、パイルバンカーが刺さり抜けない・・・
仕方なくパイルバンカーのロックを外し切り離す。一度後ろに下がり仁の感応鉄の刀を受け取り応戦する。
それにしても強い、これはエネルギー切れとかはないのだろうか?
騎士団も加わって攻撃するが吹き飛ばされてしまう。グリとグラが仕込み杖で左右の腕に切り掛かった。剣は木のボディに刺さり抜けなくなった。
木人が大きく腕を振りグリとグラは飛ばされる。
木人の腕から仕込み杖の剣が生えた。
まずい・・・
これは攻撃力が上がってしまったような気がする。
「これ以上は好きにさせません!」
感応剣を両手でしっかり持ち、斬りこんでいった。
右手の仕込み杖思いっきり叩くと外れた。後は左手だけ注意すれば良い。少し下がり間合いを取ろうとするが間合いを詰められる。
(クッ、速い!?)
腹を殴られ飛ばされる。
同時に左手の剣でも斬られる。
柄が邪魔をして致命傷にはならなかったが、袈裟に血が吹き出した。
置き上がり正面を見ると木人が左手を大きく振り上げている。
「仁!」
サザンカはここに居ない人の名を叫んだ。
その視界に煙たつ虎が横切った。
◾️◾️◾️
旅館の部屋でじっくり魔法回路図を描く。途切れないように丁寧に線を入れていく。
最後の1センチになったので刀を引き寄せ、ベトナムタイガーストライプ柄の上着のボタンを留め、ドイターのレースの小型リュックサックを背負う。
傷には大型絆創膏を貼る。
机に急用の為、チェックアウトする手紙を置いておく。残りの2日分の前払い料金の返金は不用と付け加える。
(さて、俺の新しい人生の扉を開けるとするか)
残りの線を繋ぐと白い煙が出て身体にまとわりつく。血統霊化だ。
そして眠くなる・・・
◾️◾️◾️
「仁!」
サザンカの甲高い声で目が覚めた!
目の前に木の人形が左手を振り上げ、サザンカに斬りかかろうとしている。
仁は素早く九八式のストッパーを外しつつサザンカと木人の間に割り込み、足を大きく開き大上段から思いっきり斬込んだ。
「大切断!」
切った後が青白く光っている。
木人の中に人間が乗っている。真っ二つになっているが・・・
(パワードスーツみたいな感じか?)
サザンカを立たせると、泣くのをこらえているらしく変な顔をしている。
まあ、女王が人前で感情的になるのはいけなくのかも知れ無い。
「ただいま帰りました」
「待っていました、無事で何よりです」
サザンカをグリとグラの所に連れて行き傷の治療をしてもらう。
その後がなかなか大変だった。
サザンカがひっついて離れないのだ。
表情の無い彼女との付き合いの方が長いので戸惑ってしまう。
グリとグラは暖かい目で見ている。
「サザンカお土産あるからちょっとはなしてくれる?」
「何?タケノコの町?あっ!しょっぱいお菓子かな?ホッピーターン?あのパウダーがいいのよねぇー」
(あぁ、あれそんなに気に入ってたんだ・・・)
「どれもおいしかったもんね!」
毎日、お弁当や惣菜を朝10時に近くのスーパーに買いに行っていたのだか、毎日おやつの菓子を2つ買って良いルールにしていた。
サザンカはスーパーに入るとお菓子売り場に直行し無表情でお菓子を眺めていた。
ここの4列から動かないのだ・・・。
買い物を終え、最後にサザンカを回収するのが毎日のパターンだ。
色々なお菓子を食べていたのだが、向こうの菓子をかなり気に入っていたらしい。
(無表情だったから全く気付かなかったな・・・)
「いや、悪いけどお菓子じゃないから食べれないな」
ちょっと残念そうだ。グリとグラは興味深々だ。
真珠の箱をリュックから出しサザンカに渡す。
サザンカが箱を開けると、周りで見ていた全員が固まった。
「・・・あの、仁様お聞きしますがコレは何でしょう?」
「え?、こっちに無いんですか?これは貝から取れる真珠と言う宝石です、サザンカ他の物の方が良かったか?」
サザンカは首を横に振っている。
「仁様これは大変なものをありがとうございます。国宝とさせていただきます」
サザンカと周りの様子から見るとやばいぐらい貴重な品らしい。
「えーっと、これまずいもの持ってきちゃいました?」
「帝国の耳に入れば間違い無く戦争になります。でも今は帝国は無いですし大丈夫でしょう。未来は分かりませんがそんなのは未来に任せておけば良いんですよ」
(真珠の養殖が出来るようになったからこのクオリティだけど、天然でこの数と大きさを集めるのは不可能に近いだろうな)
「えーっと・・・サザンカもう一個黒蝶貝の真珠もどうぞ」
サザンカにもう一箱渡した。
「・・・黒蝶貝?」
黒光りする粒を見て全員息をのんだ。
「!?、・・・・・ あっ、ありがとう嬉しいわ?」
びっくりして語尾上げ疑問系になったサザンカだった。
グリとグラからは汗が流れていた。
「伝説の黒真珠ですな・・・」
「ネックレスとイヤリングになってますな・・・」
帝国に奪われた全ての国宝より、この黒真珠1粒の方が高価らしい。
恐ろしいモノを持ってきてしまった。
知らんけど・・・
◾️◾️◾️
教会の入り口の扉が開くと向こうで言うバージンロードがあらわれる。
紫の絨毯がひかれている。紫の絨毯は神と王の契約の道と言うらしい。普段は赤い絨毯だ。
サザンカの手を取り歩いて行く。網を持った女神像の前に居る神父の前で止まる。
「二人は出会った運命と、これから進む運命に神の力と大いなる愛を感じますか?」
「はい、確信しています」
「よろしいでしょう。この先、愛を長く育むと情が出ます。そしてそれを愛情と呼び深く深くなって行きます。女神アサイの祝福が在らん事を!」
◾️◾️◾️
その後の俺はサザンカとの間に5人の子供を作った。3人の王子と2人の姫だ。
そして王族を継続出来るように立憲君主制を確立した。
周りの国からは驚かれたり、笑われたり、止められたりしたが決行した。モナ公国は同じく賛同し「君臨すれども統治せず」の同じ道を進んだ。
グリとグラも王族として城に戻って我々の法整備の仕事を手伝ってくれた。
これでこの世界も変わって行くだろう。
色々と肩の荷がありたサザンカは、今日は自分専用のガーデンの世話と、新しいお菓子の開発をしている。向こうの世界のお菓子を再現することに燃えている。
俺は公務の無い時はサザンカを手伝ったり、家族と釣りに行ったりピクニックに行ったりしている。
グリとグラは王族の仕事として武器と魔法回路研究をしている。俺の持ってきた刀を研究している。
◾️◾️◾️
新しい城が完成した。
国民がどうしても欲しいとの事で、いままで三分の一の大きさで建築した。前より小さいとは言えさすがに完成まで5年の何月が掛かった。
俺の案で庭は動物園にして城内は歴史館にした。
城址公園として市民に開放し、国が管理するようにした。
その城の入り口を入ると正面には、白銀に輝く義手・義足が鎮座していた。
完




