13 脚
王国の隠し部屋でグリとグラから帝国の動きの報告を受けている。
モナ公国の南のレイヨル町に召喚者と帝国兵が押し寄せやりたい放題らしい。
ちょうどいい最後の召喚者を探す手間が省けた。
横で丸まって寝ているサザンカを起こし支度をさせる。修理した義足を嵌める。歩いてみると少しぎこちない。どうやら全体的に歪んでいるようだ。
心配そうに見ているとサザンカと目が合う。
「問題無い」
「そうか、じゃあ出かけるか?」
「うん」
サザンカに仕込み杖を渡した。
◾️◾️◾️
「新都を沈めやがって許さん!マルセルはどこだ?呼べ!」
「20人ほど連れて、5日前に出て行きました!」
「何!?、探して呼び戻せ!無駄飯食いの穀潰しが!全く役立たずだな」
◾️◾️◾️
レイヨル町に潜り込んだ。
中央公園にお立ち台が出来ており、そこに扉のフレームや見たいな物が置かれている。
サザンカはそれを不思議そうに見ている。
向こうから来た俺にはそれが何かわかった。
ギロチンだ。
と言う事は?ムッシュ・ド・パリ?シャルルと呼ばれる奴は倒したと思ったが・・・
あれはシャルル・サンソンでは無かったのか?
サザンカのフードを深く被せ、反乱軍の隠れ家の酒場に向かう。
酒場の後ろに回り、ドアを開けようとした時に気配を感じ、咄嗟にサザンカを引っ張り向かいの食堂に入った。
酒場から紐を掛けられた二人が引っ張り出された。あれは反乱軍のつなぎ役だ。
「お客さん何かにします?」
食堂のおばちゃんに声をかけられた。
カウンターに座り野菜スープパスタを2つ頼んだ。
「あらあら、若いのに可哀想に・・・」
おばちゃんは連れ去られる二人を見つめた。
「ん?どういう事?」
「旅人さんかい?」
「いや、スパイス商人だよ」
「そりゃ嬉しいね後で売っておくれ、あの公園の台見たかい?」
「扉があったやつ?」
「あれが恐ろしいのよ!処刑器具なのよ!首を挟んで上から刃を落とすのよ」
「扉にしか見え無い」
「そうなのよねぇ、いい?見ない方が良いわよ!」
とりあえず薄味の野菜スープパスタを食べる。
机にスパイスを並べおばちゃんに見てもらう。
安く出したので持って来た半分をお買い上げいただいた。
交渉しながら色々な話を仕入れた。
召喚者は25歳ぐらいで男色らしい。いわゆるホモだ。
ムッシュドパリと呼ばれている。
(やはりパリの処刑人か・・・あのシャルルは違うのか?シャルルサンソンでは無かったのか?)
いまいちよくわからない。
公園の方へ行くとさっき捕まった男がギロチンに首を入れられていた。
ムッシュが自分の刀をギロチンの歯にセットする。
男の後ろに周りズボンを脱がし犯し始めた。
奇声をあげている。
サザンカは無表情で見ているがとても不愉快そうだ。
奇声が一段と大きくなったところで、男は紐から手を離した。
刃が滑り落ち捕らえられた男の首に届く寸前にサザンカが横の溝にパイルバンカーを打った。
一瞬跳ね上がったがパイルバンカーも弾かれ、またギロチンの刃が降りる。
サザンカはギロチンに固定されている首を両脚で挟んだ。
ガッ!
ギロチンの刃がサザンカの義足で止められた。
義足は変形している。
首を固定している金具をパイルバンカーで打ち壊し、反乱軍の男を助けた。
ムッシュドパリと呼ばれた男は下半身をむき出しにしたまま怒っている。
ギロチンから刀を抜いた。
「パリの処刑人か?」
「いかにムッシュドパリだ!」
「シャルルと言うのがいたが?」
「いたな。私はマルセルと言う」
(なるほどそう言う事か!サンソン家の後のデイブレル家の者か!最後のパリの処刑人だな!)
「マルセル・シュバリエか?」
「ほぅ!よく知ってるな。褒美にたっぷり犯しながら首を刎ねてやろう!」
身体から白い煙が上がる。
すばやく大上段に構える。
相手は胸の前に剣を立てそれから大上段に構えた。
切先が無いいわゆる処刑人の剣、英語でアクセキューショナーズソード、ドイツ語でリヒトシュヴェーアトだ。
首を切るだけの剣。
間合に入る、斬り下ろす!
バシッカギッ
何と・・・上手く抑えられてしまった。
片手でムチを持っている。ムチの先が俺の右手に絡みついている。
よっぽど上手くいったのが嬉しいのか奇声をあげている。
その背後にサザンカが周る。
マルセルシュバリエはサザンカに剣を振り下ろした。
ガッ
サザンカはその一撃を義足で受けた、左右の義足が大きく歪み、カシャっと音と共に外れ台の下に落ちて行った。台の上を転がりなからパイルバンカーを盾から引き抜くと、マルセルシュバリエの尻の穴に突っ込んだ。
喜びの声?らしき奇声をあげる。
ムチが緩みマルセルの前に行き、剣を大きく振りかぶった。
マルセルが目の前に幅広い刃の処刑人の剣を立てる。
構わず刀を振り下ろす。
金属音と共に血が吹きだす。
処刑人の剣は中央から斬られ2つになって床に転がっていた。
マルセルシュバリエは呆けて、しょんべんを垂れ流している。
そしてゆっくり真っ二つになっていった。
床に転がると透明になって消えた。
「戻った」
サザンカがパイルバンカーを拾い盾にセットした。
「脚か?」
「そう」
そう言うと無表情で残党に斬り込んでいった。
俺もすぐにサザンカに続いた。




