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第1話 Sランク冒険者

 この世には、絶対悪(ぜったいあく)というものが存在する。

 万人が悪だと認める悪。

 俺の世界では、それは魔物だ。


 人類の敵。人々に仇をなすもの。それが魔物だ。

 そんな魔物を倒し、人々に安寧を届けるのが俺たち冒険者という仕事だ。


 魔物は、ある日突然現れ我々、人類の住んでいた場所を奪い、そこを住処(すみか)としている。


 魔物の悪逆非道(あくぎゃくひどう)は、よく学校の先生から教えてもらった。いかに魔物が残虐非道(ざんこくひどう)か。分かり合えないのか。


 色々と語ってしまったが、そんな魔物を倒す冒険者は、この国では、言わば憧れの職業なのだ。


 そんな、冒険者という職業だが、ランクという物が設定されている。G〜Sの8段階だ。そのランクによって各パーティーに引き抜きやら配属やらをされて仕事をする。


 Sランクのパーティーは、国家直属の冒険者パーティーであり、Sランク冒険者一人の戦力でさえ、国一つ滅ぼせる程の力を持つという。


 そんなSランクパーティーだが、何故か俺は、今日から所属することになった…。


 冒険者専門学校には、通っていたが至って平凡な成績だった俺がなぜ…。


 そんなことを考えながら、歩いていると王城に着いた。

 入口で待っていろと連絡があったのだが、門番の警備兵しかいない様子である。


 ふと顔を上げる。改めて王城(おうじょう)を見るとその王城の存在感に圧倒される。壁は長い年月を刻み込み、重厚(じゅうこう)な門は静かに佇んでいる。そんなふうに王城をまじまじと見ていると


「貴様、王城に何の用だ?」


と門番の警備兵(けいびへい)に言われてしまった。


「いや〜。王城の前で待ち合わせをしておりまして。決して怪しいものではないんです。決して。」


「怪しいな…貴様、何か企んでいるな!今すぐ立ち去れ!さもなくば、この場で連行させt」


「何を言い合いしているんダネ!」


 とバカでかい声が警備兵の言葉をかき消した。

 後ろを振り向くとそこには、身の丈が2メートルは以上ある筋肉質の大男が黄金の髪が風になびかせながら立っていた。彼には、見覚えがあった。彼は、Sランクパーティー最強と(うた)われるアンディー・A・アールだ。


 彼は、この王国で魔物討伐数第⼀位の実績を誇る英雄だ。圧倒的な⼒をもって、魔物が跋扈(ばっこ)する危険地帯をたった⼀⼈で制圧してきた。その壮絶な戦いぶりと圧倒的なカリスマに()かれ、彼の名は王国全⼟に響き渡っている。民衆は彼を称え、熱狂的な崇拝者すらいるほどだ。そして俺もまた、そんな彼に魅了された者の⼀⼈なのだが。


「HAHAHA!遅れてしまってすまナイ!少々、仕事が立て込んでいテネ!君がダレン・デュロ・フォード君ダネ?」


「は、はい!」


 まさか、あのアールと待ち合わせていだなんて!そう考えると緊張し、全身が強張り、血の気が引いていくのを感じる。アールは、鋭い眼光を警備兵達に向け


「彼は、私の客人なンダ!無礼はしていないよな。」


 と途轍もない圧を放ちながら、低く重い声で言い放った。


「め、滅相もございません。」

「そウカ!」

「では、ダレン君。城の中に入ろウカ!」


ということで、アールと王城に入ることになった。

前を歩くアールの背中を見つめながら、改めて思う。やはり、アールは超カッコいい。その鍛え上げられた筋肉、その黄金に輝く髪ー―どこを切り取っても絵になる存在だった。そんな、アールと一緒に歩いてる。マジでヤバイ。


「ダレン君。」

アールが突然話しかけてきた。

「はい!」

「君の事は、僕が推薦したンダ!」

「え?」


頭が真っ白になった。あのアールが、俺に…推薦を…?


「君のユニークスキルは、素晴らシイ!是非とも、私のサポートをして欲しくてSランク冒険者に推薦したんだ!Sランク冒険者とパーティーを組めるのは、Sランク冒険者だけだかラネ!」


 どうやら、俺のユニークスキルが優秀(ゆうしゅう)だから指名が入ったらしい。ユニークスキルというのは、この世界の住人が1人1つ持つとされるオリジナルのスキルだ。


ユニークスキルには、ノーマルスキルとレアスキルというものがある。


ノーマルスキルは、例えば、歩くのがちょっと速くなる【歩行補助(ほこうほじょ)】だったり、植えた種の発芽(はつが)がちょっと速くなる【発芽促進(はつがそくしん)】だったりだ。まぁ、なんとなく、生活の助けになるレベルのものだ。大半の人は、ノーマルスキルを持つのが当たり前なのだが。たまに、人知を超えたスキルを持つ者が現れる。それがレアスキルだ。


 そんなスキルを俺は、持ってる。それが発覚したのもつい数週間前なのだが…。

 ユニークスキルは、18の歳になる時に発現する。それが数週間前だったのだ。


「サァ!一緒に魔物を討伐して奴らを絶滅させてやロウ!」


「はい!」


この瞬間、俺のSランク冒険者としての旅が、ついに幕を開けようとしていた。




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