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男は、崖の上からその場所を一望していた。
見渡す限り、瓦礫の山。
ここがかつての巨大研究施設だったなどとは思えない、あまりにも徹底的に崩壊したエリア。新聞などの情報によると、謎の反社会勢力が保有・研究していた大量の魔獣が暴走し、絶滅したはずのドラゴンさえ出現して一帯大暴れだったとか。
この一件を解決に導いた功労者として、ギルド〝夕焼け紅葉〟のAランカー、ギルギガントが表彰されていたらしい。そんな新聞記事を思い返し、男は失笑する。
そんなわけがない。
ただのAランカーがたった一人、どんな功労を成せば、この事件が収束できるというのだ。
意図的に隠された情報の匂いがする。
「……それとも、エドガー。お前が予想以上に愚かだっただけか?」
アイアンベアレベルの魔獣が一体〝凶暴化〟するだけで、そのへんのAランカー程度じゃ相手にもならないだろう。
だから考えられるとしたら、〝凶暴化〟実験が失敗していた可能性。ギルギガントとやらにでも手に負える、弱い魔獣しかいなかった可能性。
(つまり俺達に虚偽の報告をしていたってことに……いや、さすがに無いな。研究の確認は念入りに行っている)
そうじゃなければ、ギルギガントの他に、別の戦力が介入してきたということだ。
新聞にも載せられない秘密の何かか、あるいは誰も素性の知らない謎のヒーローか、はたまた、もっと突拍子もない、得体のしれない何かか。
「――――ん?」
倒壊したエリアの外れ。少し離れた、森の中だ。男の視界に映った、それ。
タンッ、と地を蹴り、男は飛ぶ。
着地音はしなかった。数十メートルはあろうかという重力加速度も落下エネルギーも一切感じさせず、直後、男は静かに下に降り立つ。
そして。
ゆっくりとかがんで、落ちていたそれを、拾う。
三角形のパッケージ。ハムが挟まれたコンパクトなサンドイッチ。日本人なら誰もが知っている、そのコンビニのロゴマーク。
男の眉間がわずかに、怪訝そうに寄った。
「……ファミリーマートのハムサンドか、懐かしいな」




