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異世界を救えハムサンド 〜無双の秋 女神の事情も色々大変〜  作者: 一星
第三章 秘密結社〝青藍〟に迫りましょう
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うっせぇです。寝てなさい

◯前話のあらすじ

3体のドラゴンが飛んできたよ!

「――――おい、どうなってんだよ今日は! 厄日すぎんだろふざけんな! ドラゴンとか……絵本や神話でしか聞かねーっつーの! とっくに絶滅したんじゃねーのかよ⁉」



 どこからか飛んできたドラゴン。何が何やら分からない。さしものギルギガントも、パニック寸前とばかりに空に向けて喚いている。


 ただ一つ、分かることと言えば。



『まずい……、あのドラゴン、街の方に向かってないか……⁉』



 誰かが叫んだ。


 最初に気付いたのが彼だった、わけではない。

 そんなことはみんな、分かっていた。

 言ったところで、気付いたところで、どうにもならないことが分かっていた。


 街が危ない――――だからどうした? あんなバケモノ相手に、自分達は何ができる?


 絶望。ただその二文字が場を支配する。


 ギルギガントを含めたわずかな実力者のみ、せめて住民の避難のために動こうと脳を巡らせ、周囲に指示を飛ばす。


 そんな中で、月影だけが、



「……僕が出ます」



 ふらつく体で立ち上がり、迷うことなく、街へ向けて足を動かす。


 そうだろう。

 月影ならそう動くだろうと、銀杏は確信していた。だから、



「いいえ、月影さん。思い上がるなです。許可できません」


「倒せるとは思ってません。でもせめて住民の避難のための、時間稼ぎくらいなら」


「うっせぇです。寝てなさい」


「――――ぅgbラッッ⁉」



 月影を掴み、投げ、思いっきり地面に叩きつけた。

 盛大な音とともに地面をバウンド、ぐったりと動かなくなる月影の体。完全に意識を失った。



「投げ技一つ受けただけで気絶するような満身創痍で、思い上がるなと言ったのです。自動回復がもはや全然機能してないことも自分で気付いてないのでしょう? 魂がとっくにオーバーヒートしてるのです……まあそれは、身の丈に合わない魔法をインストールさせた私にも責任があるですが。残念ながら根性論は万能じゃありません。休息にこそ重きを置くスポーツ科学をよもや知らないとは言わせませんよ? 次戦えば本当に死んでたところです、今はとにかく寝てろです」



 冷静な言葉をまくしたてる銀杏。意識がない月影に言っても意味は無いが。



「では――――ギガントアントさん」


「ギルギガントだ! それはただのでけぇアリだろ! で、何だ!」


「月影さんをよろしくお願いするです。治療は不必要、ただ寝かせておけば自然治癒するです。服はこのままで。三日は起きないと思うので」


「いや……つーかじゃあ、お前はどーすんだ」


「私は街へ向かいます。……少々、気になることが。あれはおそらく、ただの襲撃じゃないのです」


「気になることだぁ? それが今そんなに重要なのか?」


「ついでに住民の避難の手助けくらいはしてくるですよ。討伐できるとは微塵も思いませんが、それくらいは。月影さんを離脱させた責任もありますしね。まあ、世界がメチャクチャになったら私も困るですし」


「月影と同じこと言ってんじゃねーか……っ」



 無謀だ、なのか。

 無茶だ、なのか。


 続けてギルギガントは何かを言おうとしていたが、銀杏は取り合わず〝アイテムボックス〟から取り出した竹箒にまたがって地を蹴り空へ飛翔する。


 加速。全速力。


 凄まじいスピードで大空を切り裂いていく、弾丸のような銀杏の飛行。


 急ぎ、街へ向かう。急ぐという言葉をこれ以上なく体現する。


(……間に合うでしょうか。杞憂ならばそれでいいですが)


『気になること』……銀杏の中で結びついた、とある一つの推測だ。

 悪い予感、よりはもう少し確証の高い結論。


 魔獣の研究をしている〝青藍〟。ドラゴンにも手を出しているとしても不思議ではない。このタイミングでのドラゴン出現はもちろん偶然じゃないし、そこには必ず意図がある。


〝青藍〟が今、何をしようとしているのか。何を狙っているのか。

 銀杏の推測が正しければ、


(マロンさんが危ない……っ)


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