二人の今日の続かない話
今日も二人は会話を始める。
続けることは大事なことだ。
続けることは大事なこと、ですか。何か含みがある言い方ですね。
続けること以外にも大事なことはあるからな。勘違いはする無かれ。
それで何が言いたいのですか。
この世界はかくも続かないものだ。
それ故に続くことは貴重ですか。
継続が貴重であり大事にされないがゆえに世界とは続かないものなのだ。
逆ではなく。
裏でもない。
何かパラドクスのようですが。
もしも世界が続くものであれば、続くことは、貴重ではないありふれたものであるか、大事にされているものである。
何やらよくわかりませんが。
世界のものものが続くものであると仮定しよう。
はあ。
この時、任意の物事について、続く性質がある、あるいは続くことを強いられている、ということになる。
続かない上に、誰も続けようとしないものは続いていく世界には存在しない、と。
仮定に反するのだ。それ故に言い換えると、続く世界において、続くことはありふれているまたは続くことは大事にされている。
そうかもしれませんが。
これの裏の逆をとってもやはり同じことを言っている。
裏の逆、ですか。
裏をとると、続く世界でなければ続くことは貴重で大事にされていない。逆をとると、続くことがありふれているか大事にされているならばそこは続く世界である。裏の逆をとると、続くことが貴重で大事にされていないならばそこは続く世界ではない。
なるほど。
この世界において続くことは貴重である。また続くことが大事であると改めて言われることは、それが大事にされていないことを示している。それ故にこの世界とはかくも続かない世界である。
二人の会話は続いていく。