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いと愛しき君たちへ  作者: おおよそもやし
二章:Re:Re:Re:start
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剣士

異能者でないにも関わらず、特殊な武具を用いて怪異を討伐することのできる人間___剣士。

彼らの中にも甲乙丙丁の等級分けがなされており、上位の剣士は下位の異能者を凌ぐ程の実力を持っている。

その為、霊域攻略や怪異の討滅戦等の人海戦術が必要な場面でかなり重宝されている。

なお、便宜上『剣士』と呼ばれているだけで、実のところ剣を使っている者だけ、という訳ではない。


そんな彼らの中でも最強格と言われているのが、今目の前にいる大男、重村なのだが・・・


本当だろうか?


確かに肉体は鍛え上げられ、腕など丸太のように太い。

だが、焦茶色の髪はボサボサで、髭も手入れを怠っているのかぴょこぴょこと変な風に生えていてだらしがない。

というかそもそも、本当にあの重村だとして、宍戸家とどういう関係なんだ?


疑念ばかりが浮かんで首を傾げていると、大男は茶褐色の目をにーい、っと細めて笑って俺を抱き上げた。


「!?」

「おーおー、そっくりだなあ。」


抱き上げられるまで全く反応できなかった。どうやら本当に強いらしい。

疑ってしまったことと見抜けなかったことがなんとなく恥ずかしい。


「・・・そっくり?」

「おー。お前のお父さんとな。目元なんか特にそっくりだ。」

「おとーさん?」


『お父さん』・・・ということは、前当主と知り合いなのか?


「おー。そうだぞー。お前のお父さんと儂は仲良しさんだったんだぞー。」


仲良しさん・・・友人だった、ということだろうか。


学校での先輩後輩ならば剣士科と魔導科の合同訓練とかで顔を合わせることもあっただろうが、どう見ても年代が合わない。

前当主は生きていてもまだ三十半ばを過ぎたあたりだろうが、目の前のこの男はいくら溌剌としていたって、どう見ても五十手前くらいだろう。

六大家門の当主である訳だし、陰陽寮の支部に・・・なんてことを風早さんじゃあるまいし、やるとは思えない。


なら、どうやって知り合って親しくなったんだ?

というかそもそも、こんな偏見まみれの宍戸家の当主が、異能を持たない剣士と仲良くなんてしてたのか?


疑問だらけだ。首を傾げて顔を見上げると、重村剣士はくつくつと笑った。


「かわいいなぁ!ん?儂のとこに来ないか?」

「重村殿!いい加減になさってください!

それ以上の戯れは当主様にご報告させていただきますよ!」


苛立った様子で給仕服の彼女が怒鳴ると、重村剣士からさっと表情が消えて重い威圧感が部屋を包み込んだ。


「なんだ?この子に認めれなかったというに、一丁前に侍女気取りか?ん?」

「ひっ・・・」

「答えんか。ほれ。その行動が正しいと思ったからこそ、口を挟んだのだろう?正しいことならば、別に何もせんわい。」


「儂とてそこまで鬼ではない」と凄みを帯びた笑みをにこりと浮かべれば、彼女はすっかり縮み上がってガタガタと震えることしか出来なくなっていた。


武人って・・・すごいんだな・・・。言葉と態度のみで人一人制圧できるなんて。


あまりに絵空事のような目の前の状況に、俺は感心することしかできなかった。


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