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いと愛しき君たちへ  作者: おおよそもやし
前日譚:不揃いな式盤
12/79

君がため②

「・・・賭ける、って。どういうことだ?」


平里さんは僕の言葉に動揺しながらも、そう問いかけた。

こんな時でもしっかりしてるんだなぁ。


「うーん・・・」


僕は人差し指の第二関節を下唇に当てて、わざとらしく悩んでいるフリをした。平里さんは僕のその様子を見て何かを悟ったのか、グッと何かを堪えて俯いた。


「・・・もう時間が無い。ショートカットできる方法があるならそうした方がいいことは分かってるんだ。分かってるが・・・」


平里さんは苦しげにそう声を絞り出すと、


「だが、お前まで傷付くのは看過できない」


と続けた。


「・・・大丈夫だよ、平里さん。心配しすぎだって。僕の権能の効果は知ってるでしょ?落ちたって死にはしないよ。」

「だとしても!」


僕が微笑みながら冷静を装って放った言葉を、半ば叫んでいるような声で平里さんは遮った。


「平里、さん?」


きょとんとした顔で平里さんを見つめると、平里さんはくしゃりと目元を歪めて膝を付いた。


「痛いことに変わりはないだろ。それに、()()()()()()()()()___」


震える両手を握り締めて平里さんは絞り出すような声でそう呟いた。そっか、平里さんも・・・。

確かに今からしようとしていることはお世辞にも褒められたことじゃない。危険な真似だし、失敗したら大変なことになるのは理解している。でも、だからといって()()だけは譲れない。


だから。


「ごめんね、平里さん」


僕は一言そう言い残して、壁の向こうへと飛び出した。

僕の言葉にハッとして平里さんがこちらに手を伸ばしたのが見えたけれど、すぐに壁に遮られて見えなくなった。


ごめん、平里さん。お説教なら後で聞くから。


チカチカと点滅する視界と、ぐちゃぐちゃになりそうな程の頭痛の中で、僕は彼女に呼びかけた。


待ってて。

すぐに行くから。


そう誓って、僕は両手を組んだ。


魂は一日何千里走れるんだったか、とふと思った。でもそれじゃあ足りないから。もっと早く走れるように、彼女(あの子)のところへ行けるようにならなきゃいけない。なら、どうしよう。

・・・空を。きっと空を駆けることができるなら。隔てる壁を打ち砕けるなら。


そうすれば、きっと手が届くはずだ。


大丈夫、大丈夫。だって、あの時僕は誓ったんだ。

こんな馬鹿げた不条理に()を奪わせやしない。たとえ僕を失ってでも、()()()()守ってみせる。


次は久山目線に戻ります

レッツゴー神原楽しい

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