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三十一話、クソドラ


  ————アラカは首を引き千切られた。

 



 思えば伏線はいくつも存在していた。


「そう、か」



 ————今の、たぶん怪異の能力だったから、警戒して行こう


 ————遠い場所 いタ。 連れて、来られた……結界、ないと、消滅する。


 ————時間停止の泥、か。



「そういう、ゴホッ…………こと、か」



 ————怪異の能力は様々あるが、それでも固有能力とされるものは一つである。




 綴では不死。

 ウェルでは〝手紙〟

 ミュゼでは時間停止。




 能力は時間停止————ならクネクネや口裂け女は何故呼び出せた?

 簡単な話だった、子供でも分かるような子供騙しとも取れないトリック。


 それは。



「怪異は初めから〝二人〟いたのか……!」



 首から上を再生させ、敵意を剥き出しにして目の前にいる怪異へと目を向ける。



「けけっ、けけけけ、あひゃ、ひゃひゃ……っ♪」


 アラカの首をくるくると持っている影を纏った怪異がいた。

 四足歩行で、アラカの切断された首をお気に入りのオモチャのように牙を突き立てる。


「ひひゃっ、あひゃ、くひっ」


 瞼を食い千切り、瞳をペロペロと舐めている。

 その姿、その怪異には大凡、まともとは思えない状態で、理性の理が微塵も感じられず。



 ————首裏に花の紋章が絵が描かれていた。


「…………聖女派、か」



 ギリ、とアラカは歯軋りする。

 聖女派の怪異は微塵も理性を持たない、誰かの命令も聞かない、ただ殺意を軋らせて、よだれを垂らしながら殺意のままに食い散らかす。


 そして————何より己の殺意に正直である故、どの怪異よりも能力が強い。


「ふふ、ふふふ」


 その様子を見てミュゼは愉快そうに嗤う。


 嗚呼、ざまあないと。

 嗚呼、無様で笑えると。

 嗚呼、嗚呼————今からお前の死に様を観れるのだなと。


「ふは、あははっ。そうよ! その通r」


「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」



 ブチブチ!! バァァァァアアアアアアンッ!!!!


 ゴォォォォォォンッ!


「…………」

「…………」



 ぶちぶち(巨大なドラゴンが現れ、影の怪異に牙を突き刺した音)

 ばーん(天井を体当たりで大破壊して突き破る音)

 ごーん(どっか遠くに飛んでく音)


「…………」


 ミュゼはスッと立ち上がり、ぱんぱんっとスカートの裾を叩く。


「…………」


 天井を眺めた。大きな穴がぽっかり空いてる、その先に隠してた怪異が、黒いドラゴンに咥えられてどっかに連れてかれてるのが見えた。



「…………」

「…………」





「あのクソドラアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」



 ————次回、アラカvsミュゼ

読んでくださりありがとうございます…!

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