二十八話、ババアとミュゼ
更新の! 大盤振る舞い です!
グロシーン終えて 筆がのる!
【前回と前々回のあらすじ】
①ババアに地下に広がる〝美術館〟を案内される。
②頭のおかしい作品が大量に展示されてた。
③その中でもトップクラスに狂ってる作品【懺悔】を紹介される←いまここ
嗚咽を漏らす側で、ババアは懺悔を見ながら……ポツポツと、話し始めた。
「……過去のあたしは誰もが認めるクズで、娘の一人もまともに育てられなかった。
娘は狂ったようにあたしを刺そうとした、反抗したら家を出て行った」
作品【懺悔】を眺めながら、けれども同時にそこではない何処か遠くを見るようにババアは語った。
「……孫が出来たと、風の噂で聞いたんだ。
男は何処ぞの馬の骨で、生まれたばかりの孫を捨てて逃げたそうだ」
要はクズ男に引っ掛かった哀れな女が一人いた、という……何処にでもある、何処にでもあっちゃいけないお話。
「孫は出来たらしいが、会うこともできなんだ。
当然だ、こんな子供を痛め付けるしか脳のないババアを、誰が合わせるか」
納得してるし自分がその女の立場でも同じようにするだろう、と殺意に愚痴る。
「結果として、孫は死んだよ。
原因は自殺……いいや、虐待による他殺だよ」
ギリ……と歯軋りをババアはする。己ごと擦り潰されてしまえばいいものを、と強烈な自己嫌悪をうちに宿して……。
「男がよ、帰ってきたんだとさ。時より、あたしの孫を更に作りに、だそうだ」
————虐待の内容だけは、決して口に出さなかった。
「あたしが殺したのだよ。だがあの子は、あたしの前に現れた。
この救いようがないババアに、罰をくれている」
酷く、酷く歪な懺悔を見て……ババアは自分の手が血でベトベトになった時のことを思い出す。
肩が震えるも、歯軋りで黙らせる。
「この救いようがない地獄で、永遠に殺しの手伝いをさせてもらえる。
この苦痛で、胸が、足が、脳が壊れる度に……救われた気持ちになるのだよ」
少しずつ、少しずつ罪が軽くなってる気がするのだとそうごちる。
「生きていたい……生きていたい。もっと、死にたくなるような罰をくれ……そのために私は生きている」
「つまり何が言いたい」
アラカが単刀直入に問いただす。それに対してババアはただふっと笑い、答えた。
「あの子は善人だと、そういいたいのさ」
ババアは顔を上げる、悪夢のような芸術品が溢れかえる。
それをした張本人が、善人であると高らかにババアは言っていた。
「誰がなんと言おうと、あの子は善人だよ。
こんなババアに、第二の誕生を与えてくれた善人だよ」
そう納得したようなババアに、頬から涙がスーっと流れ。
「……は?」
————ここに激怒を隠しきれない英雄が降り立った。
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