17.5話、静止の声(十八話の頭につける予定だったもの)
大変申し訳ございません……。
この話は十八話の頭にくる予定の部分です。
読み直して初めて抜けている事に気づきました。
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それは老婆だった。入り口で車椅子を動かして器用に現れる。
アラカをチラリと見て、次に風魔を見る。
表情はどこか棘がある老婆は、スタッフと呼ぶには年老いすぎている。
この老婆は誰なのだろう、とアラカは不思議に思うもすぐに氷解する。
「うちの施設で殺人はよしておくれよ。されたら、そのなんだ」
老婆は淡々と告げながら、表情は常に険しいまま。
「——困る」
そう告げた。
「…あっ、すみません安藤さん」
「中村先生、だったかい。
鍵を持っていることの責任ぐらい、自分で取りな。こんな場所で不祥事が起こればアタシも責任問われるんだからね」
「はい、すみません……」
霧はその老婆……安藤に謝罪をする。
「(……施設の所有者……)」
安藤はアラカの側にあるテーブルを見る。
破壊され、ボロボロに破壊されたものだ。
「……テーブル、アンタがやったのかい」
「すみません……弁償は、します」
そう言ってペコリと謝ると安藤はアラカをじぃ、と見る。
「……白銀の髪、闇の宿したガラス玉の瞳。
中学生にも思える背丈……なるほど、アンタが、か」
そして何か納得したように頷くと会釈をしてから言葉を告げた。
「構わん、近いうちに買い換える予定だったんだ」
それは破壊されたテーブルはどうでもいい、というかのようなものだった。
「お前が菊池アラカ、だろう?
事情汲まないほど老いぼれちゃいないよ」
そして次に風魔へと視線を向ける。
すると風魔はビクッと震えた、鬱状態なのだろう。
「アンタら、騒ぎを起こすなら他所でやっておくれ。
ここは立ち入り禁止だよ」
それだけ告げると車椅子で背を向けて安藤は食堂を後にした。
読んでくださりありがとうございます…!