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二十九話、立て篭もり犯

「…………ふわぁ」


 コードレスの家。アラカの一室でアラカは目を覚ました。

 ナチュラルに家の一室借りてるがまあ気のせいだろう。


「…………?」


 伸びをして、布団の上に置いた指を見て違和感を覚える。


 ————びくっ……びくっ……。

 指、というか身体が定期的に〝勝手に動く〟のだ。

 

「まずい……な……チック、か」


 トゥレット症候群。

 外に出すことのできないストレスが、身体の動きとして勝手に出てしまう現象。


 身体のうちに溜め込んだストレスを吐き出せない環境であるアラカ。


 周囲の全てが敵で、恐ろしくて、化け物にしか見えない日々。


 畏怖と感謝を抱いてるコードレスや、正道や、アリヤでさえ不信感を拭えていないのだ。




「(色覚異常(・・・・)幻聴(・・)は隠せても、これは厳しいかも、しれない)」


 アラカはビクッと震える指を見て、ため息を吐く。

「…………そろそろ……、ストレスを、どうにかしないと……難しい、かな」


 アラカは近くにおいてあった新聞を拾って軽く記事に目を通す。



『引き篭もりニート、親を泣かせる。怪異の異常発達により、職から離れて自由に過ごす若者が急増!!

  終末ニートというこの世の終わり見てえなネットスラングが〜〜』



 アラカは机の上に置いてあるプリントを見る。


『校舎全壊のため、休校とします。

 今後の方針が決まり次第、また連絡を〜〜』







「…………そうだ、立て篭もろう」



 一時間後。アラカの部屋には大きな張り紙が貼ってあった。


 【立て篭もり、はじめました】


「…………」

「…………」

「…………」



 正道。アリヤ。コードレスが固まる。


「…………コードレスさんから連絡があって来ましたが……これ、は」


 アリヤが今までにない状況に困惑をする。

 そう、アラカとは常に理知淡麗で行動には必ず理由があった……精神的なフラッシュバックでもない限りは。


「…………立て篭もり、か」

「…………安心しました」


 正道とコードレスは納得をしてうんうんと頷く。




「……なんでウェル、も狩り出、されたの…」

「別に良いじゃないですか。どうせ学校も壊れて暇なのですし」



 そんな中に私服姿のウェルが登場して眉を顰める。

 それを宥めるようにアリヤは諭す。


「…………」

「………?」



 ————怪異 死想。



「アイェェェェェ!?!? ナンデ!? ナンデイルン!?」

「うるさ、い……の……朝ご飯に、ひび、く…の」


 大きな声にビクッと怯えながら、耳を塞いで毒を吐くウェル。


「近いうちに、うちで面倒見ることになるウェルさんです。

 今のうちに挨拶を済ませておくと良い」


「ウェル、です……名前は最近、つけました。特技は手紙をかくこと、です……よろ、しく」


「え、あ、え……まあ、そういう、?

 ん?????????? ……ま、まあ…いいか。羽山アリヤです、メイドしてます」


 先日、アラカが死想を潰したことで死想は不愉快に思いながらも軍門に降った。


 その上でアラカは正道におねだりしたのだ。

 ————この子、妹にしたいー(棒おねだり)



 初めてのおねだり。正道はワンパンだった。






 状況が収まり、初めにコードレスはこの状況に対して行動を起こした。


「しかし、少しだけ様子でも」


 バンっ


「ごふっ」


 ………………………。


「問答無用で撃ってきた!?」

「あの子ガチだぞ!! 立て篭もり本気でやる気ですよ!」


 扉に近づこうものなら問答無用で撃ち殺すと扉の穴が開いていた。


「しかしこの状態、お嬢様はトイレとかはどうするの——」


 しゅっ。


「ん? なんか扉の隙間から投げ」


 ————スタングレネード。


「逃げ」


 ピカアアアアアアアア!!


「ぎゃああああああ!! ウェルの目がああああああ!!」


 強力なフラッシュにウェルが大佐になった。床で転げ回りながら。


「お嬢様は、どこに!」


 パタン…………。


 扉は閉められた。


「————今の一瞬で、トイレを済ませた、だと……!?」

「まあ5年以上時間に縛られる生活だったようですから、その辺りは素早いのでしょう。

 加えて魔力による強化も使えば出来なくはない」


 回復してからは既に姿を眩ました。驚きのあまりジョジョ風の顔になったアリヤは冷や汗を垂らした。


 そしてコードレスと正道はリビングに座る。


 コードレスがお茶を出す。


「よかった……あの子がようやく暴走してくれました」

「嗚呼、ようやくだ。

 いつ爆発するか待っていた甲斐があった」


 お茶を啜るコードレス。頷く正道。


「あの人、たち……すごく、呑気」

「反抗期を喜ぶタイプの人たちじゃん」


 リビングで茶を飲んでいる大人組にイラッとする子供組ウェルとアリヤ




 そしてアラカというと。


「zzz……んふ、ふ……zzz」


 とても幸せそうに寝ていた。攻撃を済ませて満足したのか、寝たのだろう。


 ドアには銅線を巻き付けて、触れたら感電するように罠を張っていた。

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