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おわりのはじまり

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

















「アラカくん、君は今

 ————最後の引き金を引きましたよ」























◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




 ああ、あの手のひらだ。

 あった、かい…



 いつも…悲しそうで…嬉しそうにしていた。


 おぼえてる、吾はおぼえてる。



 まま、ままだ。


 やわらかくて、あったかい…吾のためだけに、辛くなって、それでも微笑んでくれる。





「私は、ね」






 母…? 優しい声色、泣きそうな瞳、いぜんより、とっても、とっても綺麗な、母。




「あなたの、お兄ちゃん、で」




 銀色の髪、綺麗、ぎゅっしてくれる、柔らかい。



「叔父さん、だよ」



 母、母、母、母、母。



「————え」




 恋した母が、更に綺麗な母になった。大好き、大好き、大好き。




 ————母ノ胎盤に、カエりタイ。



「これ、は、魔力————」



 ————母の、胎盤に、カエル。



 ————母、母、母、母、胎盤、胎盤、胎盤、胎盤



「————————————————」



 母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤母ノ胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤胎盤






————————アラカくん。君は今、最後のスイッチを押しましたよ。




 ————————予想より(・・・・)半年ほど早いですが、問題は無いでしょう。

◆◆◆




 気が付いた…瞬間、そうなっていた。


 気が付いたら、本当にそうとしか表現できない。



 肉の、空。



「————」



 そうとしか表現、出来ない。


 青がない、白がない、雫がなく、先もない。


 赤黒い、赤黒い空、世界の限界が、視認できる悪夢の空。




「これ、は。この現象、は、

 ————世界を引き摺る、この、現象は」




 聖女ノ騎士 ムラマサ



「世界そのものを、覆い尽くす…魔力」



 第二天魔王 夢ノ結晶



「————————————嗚呼、そっ、か」








 第六天魔王 母ノ胎盤




「君はずっと、ずっと、ここで————」


◆◆◆


 〝俺〟の目の前で————世界が変わった。


 それは世界ごと上書きする、超越者の、魔王の領域だと気付いた。


 なまじ、自分が可能とすることが故に…



「(ああ…)」



 瞬間、なぜだか俺は、この後の展開に、気付いてしまった。



 肉の空、一部が黒くなる。

 アラカの腕に眠る赤子、真っ黒に、土まみれになっていたそれが瞬間、琥珀の瞳を開き



「黒い、肉の、空」




 ウェルが、そんな感想を漏らす。




「————————」




 その時間は、どれだけのものだっただろう。


 思考を加速させ、空の解析を行い、その全てを掌握するまでの、一秒にすら満たない刹那。






「(そうか…ここ、なのだな)」




 その一瞬、ただその瞬間。

 思考の加速は終わる、全てを掌握した。


 本当に、ただの一瞬、一瞬のうちに把握した…刹那



「————その一瞬が欲しかった」






 ————俺は、綴に心臓をぶち抜かれた。

◆◆◆


「————」



 瞬間、世界は終わった。


 〝私〟の目の前で、終わった。


 柚希、柚希、私の弟。彼が目を開き、瞬間空がひび割れ、喰われた。


 それだけに、止まらない。



「この一瞬が、欲しかった」


 頬を伝う、一滴の血。


 それは、私のものではない。



 私の目の前で、心臓を貫かれている人のそれ。




「    さ、ん…?」



 怪異の、首領、絶対無敵の覇王。

 彼女は今、心臓をぶち抜かれ、その心臓を掴まれている。



「————そう、か…君は、ずっと、それを」




 誰に、誰にその心臓を貫かれた?

 いいや、もう答えは知っている。



「もう一度、申し上げましょう」



 その手、その指は知っている。

 その大好きな声は。



「その一瞬が、欲しかった」

「…綴」




 穢れた黄金、その首領は全ての怪異の母の心臓にその貫手()を突き立ててきた。




「そうか……ずっと、狙ってたのはこれか。

 芸が細かいな…ここまで、魔力を解き明かすか」



 よくやく、理解できたとふふ、と笑い…

    さんは口から血を垂らす。




「想いは世界の限界の先にある。

 世界の限界は想いを許容できない…

 故に人は世界の限界の先を空へ描く…」



 綴の言葉に、嗚呼…と続けて、    さんは、穏やかな声で続けた。



「異能は法則は、世界の向こう側にあるべきもの。

 世界の限界を超えた力は、世界の限界の先にのみ存在する…故に、魔力は想いであり、想いは魔力と共鳴し、世界の限界を、その先へステージを押し上げる」



 魔力は感情によって、増幅する。


 超越者に到達した魔力所有者は、世界そのものを侵食する。




「…アラカくんが、地獄で唯一愛情を注いだ赤ん坊…悪の才能がない彼女が向けた精一杯の愛情」




 はじめに、赤ん坊に、魔力(感情)が注がれた。注がれてしまったことが始まりだった。



「魔王の域に到達した、魔力の塊に、想いを注がれた赤子は、次のステージへ届いた」



 赤子は人知れず、魔力を得てしまった。

 それは世界最強のバフ能力者のもの。


 その日から、それは人の皮を被るナニカになってしまった。



「あの子は…第六天魔王だな」



「正解です」



 第六天魔王、母ノ胎盤。


 それは産まれてしまった、産まれてきてしまった。



「第六工房は、支社ではありません」




 泣いている赤ん坊の、その首を絞めることが出来なかった————それは、奇しくも間違いなく最大の、罪として顕現した。





「この街そのものを術式とした、一つの装置…それが第六工房…。

 術式を起動する〝魔力〟が注がれた、それが起動のキーです」



 魔力が、注がれてしまった。

 つまりそれは、何がキーかと、問われれば。



「————アラカくんが、その存在を思い出したことで魔力のパス(感情)が強まった」

「————————————」


「菊池アラカが、第六天魔王を第六工房へ還すこと。聡いあなたのことですから、それだけで〝何が狙いか〟を把握するでしょうね」



 そして、その瞬間でしか、意識を崩すことが出来ないと、気付いていた。

 故にこそ。



「もう一度、お伝えしましょう。

 ————その一瞬が欲しかった」





 ————神殺しは、此処になった。



「なるほど、そういうことか。

 であれば他の魔王も、同様に」



 心臓をぶち抜かれながらも死なず、老いずにいる。

 それだけでこの少女は人間ではないと分かってしまう。




「はい、無論です」




 そして、それは他の怪異すら知っている。


 知っているからこそ、その狂気を感じずにはいられない。



「我々の手段はそれに、帰結しています」



 かつてを、思い出した。


 必ずこれが失敗したとしても、第二第三の代替え案があると、

 必ず最悪の悪夢を生み出すと。


 必ず、これが黒幕だと。






 第二天魔王————


『『きゃーーーー』『きゃーーー』『きゃーーー』ァ゛ァ…』

「ふう、ようやく殺し終えたわ。

 ハロー、コウ、第二天魔王奪取に成功したわ。迎えに来い」



 第三天魔王————



『けひゃっ、ひゃっ、アnたノ為デェ』

「はあ、面倒だが…悲願のためだよ、その座、奪わせてもらう」





 第四天魔王————


『…』

「うわぁ、これはなんか…骨折れそうなのだ…。ま!! ドラにお任せなのだ!!」




 第五天魔王————


「あれ? フィリアちゃん以外の有機生命?」

『汝 第五天魔王デスネ。

 当機ハ 対話ヲ大切ニスル 陽キャ デアル————ソノ座ヲ 頂戴スル』

「あはは、なんだろこの喋るゴミ、おもしろーい————そのカスみたいな魔力で勝てると思ってるその神経、マジで笑えるわァ」









「————魔王の権能、その奪取ですよ」



 第一天魔王————黒離宮 ■■■■

◆◆◆

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