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十九話、現代のノストラダムス

短いので、もう一話ほど更新します……


  今日中に、どうにか

◆◆◆

 ————その日は、朝から何かがおかしかった。


「……」


 目を覚まして布団を押し退けて上体を起こす。


「おはようだよ、アラカくん

 朝食は出来てますよ」

「……おはよう、ございます……コードレス、さん」


 声をかけられた方へ顔を向けて挨拶をして……反対の方へ目を向ける。


「…………灰色の、空」

「ああ、雨が降りそうだね」


 曇り空。空一面に広がる不安の欠片()


「はむ……」


 まだ眠気も覚めぬ間に用意されたトーストを食べる。


「夕飯、何がいいと、かありますか…?」

「そうですね……麻婆豆腐、とかですか? 豆腐がありましたので」

「分かりました」


 学校のいく用意をしながら、そんな会話をする。




「……アリヤ」

「お嬢様、学校行きましょう」


 通学路でアリヤと合流して、並んで歩く。

 いつもニコニコしているアリヤ。


「……」

「そう言えば今日、学校で工事があるみたいですよ。お嬢様は可愛いので人とは出来れば会わないでくださいね。会ったらお嬢様に恋することでしょうし……」


 その隣で、僕は少しだけ違和感を覚えていた。


「……」


 ————現代のノストラダムス現象。


 神秘の消失した時代のノストラダムス現象。

 祈りという逃げ道が消えたそれはかつてのそれより壮絶に、鮮烈なものを齎すだろう。


「……」


 ————狂気とは弱さが齎すもの。

 心の弱さが、現実に敗北したものが宿す存在。

 敗北の印、それこそが狂気。


「……」


 ————怪異にございます。

 僕を殺しに来た怪異。

 力を失った僕を殺そうとする、それは恐らく〝徹底的に処分しよう〟と考えた何者かがいたということだろう。



「(……なぜ、だろう)」

「お嬢様?」


 ふと立ち止まり、空を見上げる。

 灰色の空は、ただ見ているだけ胸が不安で満ちる。


「……」

「え、あれ……?」


 その時、アリヤが不意に困惑したような声を出す。

 なんだろう、とアリヤの視線の先へと目を向ける。


「けい、さつ……?」


 学校の校門、その前で警察が立ち封鎖をしていた。


「何? なんで入れないの?」

「なんかテロリストだって……それで今、教室で監禁されてるみたい」

「なんで朝なんだよ、午後とかでいいだろ……」


 学校がテロリストに占拠される、そんな状況にアラカは「やっぱり…」と呟く。


「神秘の失われた現代の……ノストラダムス現象、か……」


 大預言者ノストラダムスは彗星を眺め、世界が滅びると予言をした。

 恐怖の大魔王が現れる、と。


「敵対者の、時代……に…」


 しかし大魔王が実際に現れることもなく、彗星は姿を消した。


「弟子を騙る、詐欺師の時代……」


 ああ、だがしかし。

 その予言に狂した人間は、多くいた。


「————末期の、同時多発テロ、か」


 これはその予兆である、と嘆息を吐いた。

感想、ブクマ、評価、いいね。いつも本当にありがとうございます…! 大変、モチベに繋がっております…

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