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七話、教会の加護


◆◆

「わすれ、てた、真実…?」

「僕に聞くのー?」




 黒アラカはエナジードリンク缶を追加で開けて飲み始める。



「じゃあ、そうだな」



 ふと、立ち上がりゲーム機の後ろに落ちてる〝死体〟の頭を踏みつける。




「それは?」

「このコートをくれて、エナドリと日用品を買うお金を僕にくれた人だよ。




 死体は男のもので、全裸に、何故か女の子ものの下着を頭から被っていた。



「ただ抵抗されたからね。復讐として僕の使用済みパンツを被せといた」

「(…ご褒美かな?)」



 そしてアラカはエナドリを一気に口に含み……ごくんと飲むと缶を捨て



「で、忘れてた真実、とやらだけど」




 ————男の頭を木っ端微塵に踏み潰した。


「————」



 脳漿が辺り一面に飛び散る。アリヤの靴の先に、肉片がぺちょ…とつく。


 そして、その脳漿はウネウネと鳴動して…。





「乙女のプライバシーだ。侵害するなら相応の覚悟を見せてよ」





 肉が集まり、床に黒いシミを孕ませて……


 そこから、黒い、黒い泥が溢れ出す。




 イノシシの形を成し始めて…



「そら、殺して見せろよ後継者。

 幻想の加護、どうせ継承してるんだろ?」


◆◆◆


 街の郊外、荒れ果てた空き地。


 かつては住宅街だったのだろうそこは、今や廃墟の街だ。

 怪異事件の発生により大量虐殺など珍しくない。



 恨みの数だけ殺人があった。

 この廃墟は因果応報の果てなのだろう。




「……ぁ…………」



 廃墟の街の最奥、そこには沢山お墓に囲まれた、小さな教会があった。



 その中に、日本ではあまり見られない修道服をきた



 真っ黒に塗りつぶされたステンドグラス。

 描かれているのは、黒い髪の少女だった。



「嗚呼…」



 窓ガラスはひび割れ…長椅子は劣化し、床からは雑草が石畳を破壊して飛び出ている。



「世界中の人が、どうか」



 だが、彼女はそんなこと気にも留めない。


 彼女の思考、彼女の思想は全て、ある一人に対してのみ向けられるものなのだから。




「不幸に、なりますように」



 ギィ、と扉が開けられる。



「過激派のことは過激派に聞けばいい、ウェルは天才なの」

「ま、過激派どものことだから自分以外の怪異なんて知らねえって言いそうではあるけどねー」

「情報0の現状よりかはマシなの」




 扉を開けたのは二人の怪異。


 ウェルとレヴィアであった。彼女らはここに怪異が生息しているという噂を聞き、調査しにやってきた。



「お前がここを拠点にしてる過激派怪異、であってるの?」



 いや、厳密には〝情報収集〟のほうが近いだろう。


 現在、超獣騒動が起きている中……菊池アラカの過去の情報が極めて重要なキーになっていると二人は想定して……それを知っている存在を探していたのだ。




「……?」「おーい」






「…教会変質____バロック」


 修道服の怪異は、背を向けたまま……祝詞(コード)を口にした。


「「————」」



 ————瞬間、教会の内装が何もかも変革……否、革命を起こした。



「教会そのものが能力、かしらね」

「手紙よ、旋回しろ」



 ゆらり、ゆらり立ち上がり……修道女は振り返る。そして。



「シスターです、シスターのことはお気軽にシスターを呼べシスター」




 言葉は、ただただ支離滅裂であった。




「シスターはシスターです、シスター、シスター、シスター、シスター、故、シスター、シスターはシスターなのでシスター」



 瞳に光はなく、いいや、それどころか瞳孔は定まっておらず……ウェルたちを見ているはずなのに、何も見ていないような…



「過激派シスター、シスター、シスター、シスターなのでシスター」



………口から言葉を出しているようで、それはただの音の羅列のような違和感が拭いきれない。




「お母様のくれた、そうシスターのママつまり神、お母様神ママがくれた【教会の加護】っ、シスター、まま、まま、まま、しすたー、しすたー」



 支離滅裂極まりない、常にママのことしか考えていない。



「オーケーなの、シスターね」

「はあー、過激派の典型例に当たったかー」



 過激派怪異、極めて一般的な過激派怪異【シスター】…それが二人の前に立つ存在だ。


 レヴィは面倒くさそうに頭を掻く。



「シスター、シスター、シスターシスター、シスターでシスター、シスターはシスターなのでシスターシスターシスター」




 そして空を見上げて……そこに映る〝写真〟を視界に入れる。



「————愛しております、御母様」



 天を仰ぎ、瞳から涙をこぼす。天井には御母様の写真が大量に貼られてた。



「単刀直入に聞くけど、怪異〝黒猫〟について知ってたりしないの?」

「どんな奴か、あと能力も分かればいいわね」


「母。まま、まま、シスター、抱き締めて、ままっ、まま」



 ————聞こえてない。


「おーい」

「だーめだこりゃ」


 はあ、と予測できた結果になったか。と呟いて……ウェルは手紙を一枚空中へセットする。



「まずはこっちを見るように、一回殴っとくの」

「魔力、半分は負担してあげるわ」



 レヴィアはウェルの手に花の紋章を付ける————魔力のパスが繋がる。


 そして手紙から小さめの石礫が生まれ……



「あああああああああああああああああ」




 ————パァァァンッ! と空中で弾けた。



「____魔力?」


「「あ?」」




 ぎょろり、とウェルたちを、そこで初めて視界に入れて




「シスター以外に、お母様の子供がいるわけないのにいいいいいいいッッッ!!!」



 発狂して魔力を教会全体へ軋らせた。


「来るの、構えろ」

「はっ、雑魚が」

【黒英雄】

 黒い髪の菊池アラカ。並行世界からやってきたらしい。

 最初はしっかり男の子だったが、一度目の並行世界移動で着いた世界で謎の黒いドラゴンに身体改造されて女の子になってしまった。

 30人くらい子供を妊娠してから我に戻り並行世界への旅を再開した。たぶん、次その世界に戻ったら旅終わってお母さん生活始めると思う。


保有加護:不死竜の加護-分譲

攻撃:A

防御:S

魔力:S

魔防:S


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