おまけ、ある日の二人
おまけ、次から四章です、たぶん
【おまけ】綴視点
深夜の時間帯、私は唐突に目を覚ました。
「…また、あの,悪夢か」
一時期…アラカくんの身体を隅から隅まで味わったあの日以降見ていなかったのに。
今になっても、見ることになるとは。
「…洗面所に行こう」
憂鬱で、重い足取りを抱えて歩く。
◆
洗面所で顔を洗う。夢から逃げるために。
洗い、洗う…頭に巣食う泥を、少しでも。落とそうとする。
「…これ、で」
顔を上げて、鏡を見た、刹那に。
____■■■■■■■■■■■■■■。
脳裏を埋め尽くす黒いノイズ。
「っ…」
全身が汗まみれだ、あの悪夢は、まだ消えてくれない。
いやだ、あの悪夢は、モウ、イやだ。
「はあ…は、あ…っ…!!」
逃げよう、逃げよう、天使が欲しい。どこ、どこかに、いるはずだ…お願いします。
そして、自室のベットの上にいる大きな膨らみを隠している布団を剥いで____
「(いた、いた、いた…!)」
____天使を捕まえた。
アラカくんはこの家ではラフな格好を好む。
下着の上から大きいシャツを着るだけの格好で、私の隣に寝ている。
そっと抱きしめて、そこにいることに安堵する。
「まだ…ここに、いてくれた」
ぽろぽろと涙する、私はもう、壊れてるのだろう。
すやすやと、眠るアラカ君のシャツを捲る。
シルクの白い下着に…お腹に腹パンの痕、横腹や太もも、首元に散見されているキスの跡。
卑猥な落書き、太ももにまで描かれたそれは私の所有物であることの虚実を表していた。
「(嗚呼、私のアラカくんだ……アラカくんだ……)」
アラカくんの綺麗なお腹を触る、柔らかい。
「……すぅ」
私の身体に、そっと抱きついて来た。
「!?!?」
眠っている。恐らくは寝相なのだろう。
寝心地が悪いのかもしれない。今度寝具でも見に
____すぅ。
「…?」
「…ん………♪」
抱き着いて、私の体の匂いを嗅いで。
「……ん……ぅ…♪」
「…っ」
この上なく幸せそうな、安堵した様子で深い眠りについた。
まるでこの状態が〝一番寝心地のいい状態〟とでも言うかのような様子は、こちらの心を掴んで離さない。
「っ」
自分の身体に抱きついて、匂いを吸い……その上で、安堵を覚えて眠る大好きな女の子……。
「…ん、……みゅ…♪」
心底安心したように、深く眠る。
それはまるで大好きな主人を見つけた事で安心感を覚える忠犬のようで
「…可愛すぎますよ、アラカくん」
そう呟いて、アラカくんの側で、また瞳を閉じた。
「これ以上夢中にさせて、どうするつもりですか…もっと、もっと、君を離さないために、甘やかしたくなるじゃないですか」
アラカくんの身体はとても柔らかで、甘く…安心感を覚える、そんな良い匂いがした。
抱き締める。
息を吸う。
甘い匂いがする。
「(ああ……)」
まだ、ここにいた。
◆◆◆翌朝(アラカ視点)
「…ん、みゅ…………?」
目を覚まして、妙な違和感を覚えた。
具体的にはお尻にあったかくて気持ちいい熱を感じるのだ。
そちらへと目をやれば原因はすぐにわかった。
「綴さん……おしり、かがないで。
きたない、よ……?」
綴さんが、私のお尻に顔を埋めて息をしていた。
声をかけるも、綴さんは夢中でお尻に顔を埋めていた。
カーテンも空いていない、薄暗い室内で……お尻に顔を埋められる…………。
「まあ……いっか……」
お尻に顔を埋めながら、幸せそうな寝息を立てるのだから……別に構わない。
「(こんな朝も、わるくない……♪)」
そう思い、微かに口角を上げた。