二十六話、新たな動乱、混沌する陣営
お久しぶりです、更新遅くてすまないですの…(司書のまね)
◆◆◆
そして文化祭が始まり、記念すべき一人目の客————
「か、か、か、か、かかかかか」
一人目の、客、は……
「____可愛すぎるっ!!!」
____ラスボスだった。
「うちの娘たちかわゆいーー!! よしよしさせてーーー!」
怪異の元首領はあまりの可愛さに抱き着いてよしよししていた。
「まま、ままっ」
「お母様〜ぎゅってしてー」
「 さん…あったかい」
美少女執事三人娘ハーレム、軍服着てるためかコスプレ喫茶にすら思えた。
「あれ、すまんね。可愛すぎて、なんか涙出てきたよ」
「情緒すごい」
涙を拭う姿にこの人の娘に対するクソデカ感情はなんなんだろう、と娘たちは思った。
「御母様かなり前から待ってたわよね…登校する時に校門前にすでにいて怖かったんだけど…」
「え、娘の記念すべき晴れ姿拝むために開店の六時間前待機とか当たり前ですよね?」
「狂ってやがる」
「お母様だけ定期なの」
「… さん」
目に光がなかった。そして親バカのラスボスに続く形で二名が来店する。
「ウェルくん、何を言っているのだね。六時間だぞ? その程度、常識的に考えて娘について語るだけで消費できる時間ではないか」
「ええ、全くですよ。アラカくんのことを話していたら時間が過ぎていました」
「あ、ダメだ親バカトリオ揃ってやがる」
「暁のにーちゃんがいねえの」
綴と正道と に混ざってない保護者枠がいることにカケラのほど安堵をする三人むすm————
「暁くんはアリヤくんのことを六時間語ってた」
「OK親バカ四人組把握なの」
ここに暁がいない理由が判明した。お前アリヤのクラス直行したろ。
あとでアリヤの様子も見に行くことが予想できた。
◆◆◆
文化祭が始まり、各々が接客を行う。
事前に打ち合わせしていた通り執事は敬語で接して、お客さんを〝お嬢様・ご主人様〟で統一しており…
「英雄をお願いします」
「サーセン客サマー、当店指名は行ってないんすよー、はいらぶちゅーにゃなの」
「ぐはっ…これはこれで………執事設定どこ?」
して、おり
「お嬢様をください」
「最早ナチュラルに混ざってることに慣れてきたわ…はい紅茶」
「む!! コレはアラ茶(意味深)!! ゴクゴクゴクゴク!!!!」
「普通に紅茶なんだけど!?!?」
…
「す、すみましぇん…あ、わ、わたしと握手してもらってもいいですか…?」
「? ええ、喜んで。お嬢様が望む、のなら」
「____」(失神)
____アラカはしていた。
「あ、あの、その」
「…?」
その時は、教室のドアを開ける一人の少女がいた。
「はい、どうか、されましたか。お嬢様」
「____」
アラカはニッコリと微笑む、マニュアル通りだった。
そしてそんな執事服アラカに少女はぽっと顔を赤くすると…
「王子様みたい…」
そう、惚けるように呟いた。
「「おねロリ、だと?」」
クラスがざわつく。新たな餌を見つけたとばかりに。
「いや、あれはおにロリ、なのか…?
分からん、分からねば」
「分からなくていいから(良心)」
だがすぐに我に帰り少女はここにきた理由を説明した。
「あの、ね…えと、ね。
一人目の、パパがね…迷子になっちゃったの」
「いきなり触れ、づらい情報出して、くるね」
一人目のパパと逸れてしまった少女、迷子を探すにはどうすればいいか分からず近くのお店に入ってきたのだろう。
「じゃあ…おにいさんと、一人目のパパ探そっか」
「いや、一人目のパパはママ殴ってたから正直…この面会もあんま好きやないし…」
「うん、闇深いね」
二人目のパパが大好きな少女の手を引き、アラカは一人目のパパを探す旅に出た。
「っ、菊池、アラカ様だ…」
「英雄…しゃ、写真とらないと」
廊下に出ると菊池アラカを見たくて文化祭にきた一般客が出て…その九割が紛れ込んでいたKFCによって捕縛された。
腕にはチキンの腕章がつけてあった。
「(なんだあれ…)」
謎組織KFC、彼女らとの邂逅は…近い。
「良子!!」
「あ! 嫌いな方のパパ!!」
一人目のパパが少女を見つけたのか、声を上げる。
「っ!!」
瞬間、アラカは硬直し、全身から憎悪の念を撒き散らす。
「(…黒い、影…認識、できない…敵…!)」
歯を食いしばり、どうにか落ち着かせようと天墜剣を握る。
「あ」
そしてアラカの存在に気付いた一人目のゴミが顔を真っ青にする。
____この男は紛れのなく過去、アラカを壊した奴の一人だった。
「その、ありがとう、ございます…菊池さん」
全身から冷や汗をかき、アラカに土下座する勢いで頭を下げる。
気付ているのだろう____対応を一つでも間違えれば殺される立場だと。
「…」
背を向け、アラカは離れていく。その刹那に。
「祭り、楽しんでください。
誰かを傷付けて笑うのではなく、誰かを祝福して笑いたいでしょう____みんな、みんな」
そう告げた。
声はとても硬く、静かにだが、激怒しているのが、読み取れた。
「(殺人したい……全部、不快……殺したい……)」
だがそれは彼女なりの最大限の譲歩なのだろう。今すぐ殺したいはずなのに殺さない。
そんな極限状態とすら思えるストレス下の中でできた、最大限の祝福。
「…」
背を向け去ろうと踵を返す。
————刹那に。
〝ぺりゃ…〟
「…?」
足元に、何かが飛んできたのか…小さく、白いものが床に落ちてきて____それが____視界に____
「————————————」
アラカの瞳が紅く染まった。そして、
「————鎖状炉心、解錠」
新たに手中に収めた切り札を何の躊躇いもなく発動した。
読んでくださりありがとうございます…!




