十五、五話、魔王
いつも読んでくれる読者様ありがとうございます。そしてごめんなさい、この話は前回の話の後半部分を切り取ったものです
空間が呼応する。
天が堕ちる、太陽は消え、世界はスポットライトの仄暗さに支配される。
「そこにいるだけで、世界へ影響を残す…魔力の所有者」
不協和音塗れの蝶々。そうとしか表現できないような怪物が、そこにはいた。
〝■■■■■■、■■■■■■■■〜♪〟
薄暗く、悍ましく……巨大に肥大化した蝶々、全長で10メートルはあるだろう。
巨大な蝶々は、体内に目一杯の飴玉や、クッキーを凝縮させて…キラキラと鳴いている。
〝■■■■■■■■■■■■■■〜♪
■■■■■♪ ■■■■■■■■■♪〟
____不快。ただそうとしか表現できない蝶々を響かせる。
〝ちょ■ ょ〟〝■ょ 詩 ョ〟
ちょうちょ、不協和音塗れの蝶々。
聞くだけで気分が悪くなり、吐き気が止まらない。
「体の輪郭が、なに、あれ、なの…」
「くれ、よん…? キラキラの粒が、ついてるような、…っ」
____身体の輪郭が、あまりにもぼやけている。
そしてそれは、幼い女の子がクレヨンで画用紙いっぱいに描いたような、酷く歪な輪郭で____
「お、えぇぇ…」
____認識するだけで吐き気を催す。
胃がムカムカして、気が狂いかける。
瞳は大きな大きなピンクガラスのダイヤモンド。
可愛い紫クレヨンのフリルのついた羽は、不気味というほかなく…
膨らんだお腹は半透明で、中には悍ましい数の飴玉が詰め込まれている。
「幼い女の子の、夢の結晶」
小さい頃、膨らんだ母のお腹には、たくさんの飴玉が詰まっているのではないか、そう思っていた。
「何よりチープで、何より輝き、お姫様のようにみんなが憧れ、望んでる」
スポットライトのお姫様。
「あれはね」
その存在、幼い女の子が思い描いた夢の結晶…その呼称は。
「____魔王だよ」
第二天魔王【夢ノ結晶】