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エピローグ:怪異たちの家

母の日にこれを投稿したかった……なので、かなり無理して執筆しました



◆◆◆


「こんにちは、だよ」



 ————————?




「やあ、ムラマサくん…いや、これからは…ムラマサちゃん、かな?」



 くろい、かみ……ぐんふく……琥珀の、眼…?




「この場所は…そうだね、君の心の欠損が修復されるまで過ごす場所……かな」



 周囲は……やしき? くらい広い場所。



 そこ、で……かなりの困惑を滲ませながら…・色々と、説明を受けて…謎の生活が始まった。









「ん? おはようだぞ、ご飯はできてるよ。

 ご飯派でよかったかな。数ヶ月は家事するときいがいはいない人、みたいな認識で構わないよ」





 首領さんは、後ろで髪を纏めて……エプロンを着けて料理をしていた。

 ご飯は…味が、しなかった。いつもと同じ味。






 そうして、よくわからないまま…この意味不明な人との生活は始まった。





「君の悪意も、激怒も俺は愛してみたいのだよ」




 最初、このよく分からないひと、そんなこと言った、




「ちょ、すぐに大して信じたく無い相手を信用するのはやめなさい。自分の心を捻じ曲げてるの、よめてるからね」




 …



「悪意を悪意のまま愛せないような親も、極少数だけどいるからね。そう言う潔癖症に限って子供のことを微塵も見てない。不思議だね」





 ……



「うん、まーた自分騙してるぞ。

 さて、思考の深掘り始めようか…君の認知の歪み、今回はどこだね」



 ………







 いろいろと、おはなしした。嫌いで、嫌悪で、殺意が渦巻いていた時期もあった。


 殺意を吐き出しまくったのは、かなり時間が経ってからだとおもう。




「君が俺を〝殺意を向けてもいい相手〟と認識した、それが嬉しくてたまらないのだよ…難しいかな。共感はしなくていいから、理解だけを以て認識なさい。

 君に共感はまだ早い」




 理解、それだけでいいと言われ…スッと、頭に入ったと思う。よくわかんないけど。



「ああ、いいよ。おいで……その殺意は、吐き出さないと、絶対に晴れない」



 実際に殺そうとして、この人は、本当に殺された。首を絞めて、息を壊した感覚が、手にまだある。



 ただ、本当に殺したと言う意識が……腕に残った。





 そのあと、50回くらい…不死の異能で蘇る首領さんを殺しまくったら……なんか、寝てた。




 そのあと、一ヶ月は殺しまくって過ごしてた、と思う……。





 けどそこ、で……なんか……初めてママが……〝俺の意思をぶちまけたこと〟に対して嬉しそうにしてたママが……信用できそうだと思った。



「信用は…いや、この状態は…うん、これはアレだね。

 信用しないと生きていけないと認知が壊れてるのか、じゃあ育てるのはスペックのほうだね…」




 そこで、かなりの時間が経過してから……いろいろと、けいけん、した。




「今日は……そうだね、お祭りでも行こうか。

 さ、着物を用意しよう。おいで」





 まつり…? と言うのは、初めていった。よくわかんなかった。





「かわゆいかわゆい……うん、ロリの方向性は正解かな」






「雨だね。あったかいミルクティーでも淹れよう、さ」

 



 窓から雨の景色…きっと、雨模様、と表現できる世界を眺めて…ミルクティーを飲んだ。あったかい。



「大丈夫、怖くないよ…怖いなら、しばらく……ママが抱きしめたげる……そうだね、体感で軽く10年は過ごせば大丈夫かな。

 他者が怖くないように体感に落とすのは…その後でも大丈夫」




 ぱにっく、おこしたら……よしよし、された……パニックの、げんいんとか、理屈とか……おべんきょ、させられた。




 そこで、きづいた。


 みん、な…みん、な……ずっと、この、ひとに……よしよしされて、きた、んだ。


 おれは、あまりしんようできないし、たぶん、もう誰も、しんようはしない。




 そういうふうに、育てられたもん。






 ままは、しんようしない。



 でも…しんようは、しないけど、すき。



「今日はいつもの常識講座…歪んだ認知編だぞ! 終わったら、ご飯にしようね」




 ずっとやさしい、ほほえみ、で……心の底から、りせい、ある……愛情を、そそいでくれ、て……



「冬だね、ほら、おいで。

 暖炉の側で絵本読んだげる、毛布も用意しよう」



 あったかい……あった、かい……なみだ、が、ぽろ、ぽ、ろ……



「おかーさま…おかーさま……」

「うん、おかーさまだぞ」



 みんな、みんな……こうし、て…………


「おかーさま、おかーさま……」

「うん、どうしたの?」



 だから、みんな……おかー、さま……が、すき、なんだ。



 きらいというか、しんじられないし、どこか〝親〟とかいうから、気に食わない…と、思う差別意識も、あるけれど。


 それでも、それでも、


「…場所………ばしょ……い、ばしょ…」




 ぼく、らが……もらえ、なかった…………あたりまえ、の……かてい…かん、きょうを……この人、が……、


 あんしんできる、一人でも生きていける、空間を、このひとは…くれる。




 理性的な、かいい、が、おおいの、は…………なっ、とく。




 こんな、やさしいひとに……りせいてき、で、そだてて、くれる……ままの、背中……みた、から…………。




「そっか……もう、立とうとしてるのだね」





 よしよしして…まま、ころしたい…さつい、さつい、でも、しゅき。




「分かった。なら…次の試練を出来たら……この場所から出られるようにしよう」





 さついも、あくいも、こうてい……というか……理解、され、る。



 表面上じゃ、な、くて…傾聴して……理屈とか、仕組みとか……殺意を抱くに至る道筋を、ぜんぶ、ぜんぶ、あいして、くれ、る。




「うん。今回は少し難しかったね。

 この試練はいつでも挑戦できるからね……大丈夫、とりあえず見本から見せよう」





「正直言って…本音はまだ、外に出したくないのだけどね。

 精神も治ってない、添い寝をやめようとしたらすぐに大泣きする、この場所にいるのも10年ほどだからね…まだ」





 10年経って……この人のことの内面や、性根を見ようとしていたら……とても誠実な人だという認識だけが残った。






「そのためには……少しずつ、自立のためのお勉強も始めておこうかな」




 ある日も、



「————さて、お説教の時間だよ」



 ある日も、



「誰かに優しくしようとなんて思えない。

 だから誰かじゃなくて、自分の利益にためだけに…人に優しくなさい。君にはきっと、そちらの方が向いている」



 ある日も



「物事の焦点を〝迷惑の有無〟で見てみなさい。

 今の話……誰かを傷付けたり、迷惑かけていたかな?」



 ある日も、ある日も、ある日も……




「思考が飛んだね。

 その思考は後に回すとして、今の話を深掘りしようか。恐らくそこに君の歪みがあるのだろう」




 お勉強、と……認知の歪みを、ただす、勉強も…………せかいを、観る……ほうほう、も……




「人はね、君の思っている以上に、臆病だよ」



 このひとは、ぎゅって、しながら、おしえてくれた。



「よしよし……うん、よくできました、だぞ」



 恐怖のない生活……息苦しくない生活……それは、なんだか奇妙だった。


 さいしょ、何か、信じられない……ひたすら新鮮で、ある時期気味が悪いとすら認識していた。蛙化現象というらしい。



 でも、




「誰も信用したく無い、という気持ちに寄り添ってみなさい。

 自分で試して、それで不快感が無ければ、それが正解だ」



 だれも、だれも、しんようしなくていい、という環境を、与えられて…とけた。



「うん、この調子なら外に出るまであと50年もかからないね……無理はしないでね、よしよし」



 ただ、それも数年で慣れた。


 時より、トラウマで吐きそうになるけれど…それだけ



「(まま……いいにおい)」



 いい匂いに包まれて、添い寝してスースー寝るの、気持ちいい。


 毒婦じゃなく、説教も、躾もして、背中で語って、優しく甘やかしてくれる。


 


「この場所ではどれだけ過ごしても、外では一秒。

 人間はいない」



 あと……何年でも、一緒にいてくれる。


 まま、まま……あたま撫でて。こわいから、怖いから添い寝して…少しずつ、お説教うける…けど、内容は全部わかりやすい、から、説教というより、授業みたいな……やさしさ。



「これで100年くらいかな……精神治療は、まだ不安が残るけれど……常識は教えた、世渡りの経験も積ませた……」





 ふわり、と……頭を、撫でられて…………この幸福な夢から…………少しずつ、さめようとしてた。




「マズローの欲求五段解説……生理的欲求、安全の欲求、所属の欲求、承認の欲求は満たした…………うん、心も治り始めてるね……」



 最後の試練も……終えて。



【————の加護】 取得





「自己を高めるために、歩みなさい。この家の門はいつでも開けておくからね」





「ぁぅ……」



「……………………精神の幼女化は……かなり不安だけど……まあ、なんとかなるはず。

 うん、理論上は…………スペック的にも、うん……技術も育てたし」


「ぅん!」




 ぴょこりっ! と、すっかり小さくなった手をあげる。

 選別にもらったリボンもお気に入り。



「…………やっぱり少しの間は、ママの助手してみない……?」




 …………ひとりだち……まだできない……?


◆◆◆

 100年ヨシヨシしてたら幼児退行してた件。


 連載開始っ!!(大嘘)

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