四十七話、二章ながい
【前回のあらすじ】
森の中に潜む奴、仮称〝鬼〟を倒すための情報共有と状況把握してました
◆◆◆
ずっと、ずっとお腹減ってたの。熱い部屋で、死にそうで、水道に手がとどかなくて、ね。泣いてる妹も、すごーく大変。
時より帰ってくるママ、が、コンビニご飯と、一杯の水道水をくれるんだ……それですぐ、いっちゃうの。
水道に手が、届かないの。
ぐーるぐる、ぐーらぐら、頭の中はおっぱっぴー。
あつい、つらい、吐きそう、そんな衝動で頭がおかしくなりそうだった。
オッパッピー
そんな時、テレビでそんな音声が聞こえた。
舐めてんのかコイツ、何がオッパッピーやねん殺すぞ。
オッパッピー
その単語、意味不明極まりない謎単語、それだけが私の脳裏を駆け巡った。
夜、母は帰らない。それは別によかった、ヒステリック起こして妹を殴る母はいない方がよかった、だが。
オッパッピー、あの顔が常に脳裏のこべりつく。
あの面、
あの意味不明な格好、
あの需要がマジで分からない謎ポーズ、
あのエロい筋肉、
全てが憎い、全てが脳裏で殺意を沸かせる起爆剤にさせる。
昼、熱い、汗、汗、不快、汗、汗汗汗汗汗汗汗。
足の指の付け根、足の裏が自律神経で、汗で、殺意、オッパッピー、不快感、汗。
エアコンとかいう概念を私は知らなかった。幼い私が知っているのは終わらない飢餓とオッパッピーだけだった。
やがて私は憎しみを抱くようになった。
————憎い…小◯よしおが憎い……。
喉乾いた、お腹減った、妹が泣く、泣く、なく、泣く。
どうすればいいか分からなくて、焦りで気が狂いそうで、空腹に、夏の暑さが背中へ汗をこべりつかせる、シャツが汗でグチャグチャになり、ピッタリ張り付いて、不快感で不快感でどうにかなりそうで、小◯よしおはウザかった。
ストレスで気が狂いそうなのにオッパッピーは相変わらず殺意が湧いた。オッパッピーオッパッピー五月蝿えよ◯すぞ。
視界の端で、扉が空き、おまわりさんが何かを叫んでいる中————私は死んだ。
あ、ああ、あ————小◯よしおが憎い。
私が最後に口にしたのは、そんな言葉だった。
◆◆◆
「お姉さんは気付いたの————オッパッピーに殺されたと言っても過言ではないッ!!」
「過言以外の何物でもないんですが!!?」
サバイバーさんの過去を急に回想し始めて一時間。
ストロング◯ロの空き缶が視界の端に転がっている、真面目モードはどこに行ってしまったのか。
「飢えに、不快感に、オッパッピー、それだけが私の人生だった」
「ごめんオッパッピーのせいでなんも入ってこない」
視界の端でおちょこに入ったストゼロをペロペロ飲むスパイス(ハムスター)が見えた、このハムスターマジでなんでもありだな。
「それが続いて、ただある日、なんでも無いある日、たまたまオッパッピー許容量が限界がきただけの人生」
「オッパッピー以外のゲージも注目してあげて」
空き缶をカンっと机に置いてから、酔ったサバイバーさんがしんみりと声を綴った。
「生きていたい、生きていたい。私の願いは、それだけだったよ————だから、こんな能力なのよ」
「生存に、特化した能力…」
「いや、オッパッピーを言ったやつに問答無用で超デバフかける能力、生存はおまけ」
「ゴミで草」
いやなんだこの人。急にスンッてなりやがって。
「オッパッピー言ったやつから殺していく」
「オッパッピーに対する殺意エグくて草」
まさかの小島よ◯お特攻能力に眩暈がする。
ともあれ作戦の本質は分かった、オッパッピーに対する超デバフ、それをかければ鬼を討伐できる……そういうことなのだろう。
読んでくださりありがとうございます…!
感想、ブクマ、評価、いいね。いつも本当にありがとうございます…! 大変、モチベに繋がっております…




