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二十四話、ヒントくれ

なんでこんな時間? 作者も知りたいです、ごめんなさい





追記:私は同じ過ちを、二度繰り返しました。


 はい、本当ごめんなさい。反省しようにも、なんでこうなったか……その原因すら、わからぬのです。



 率直に申し上げます————執筆中の未完成シーンを、投稿させました。



◆◆◆


 優しげな問答を始めよう、そんな意図を汲んでかウェルはお茶を汲んで……御盆をそっと置いた。



「うん、ありがとう。ウェルはかわいいね」



     はウェルを頭に触れないようによしよししながら、そう告げる。



「まま、何しに来たん…?」


「お気に入りの子が娘になりそうなところでトラブルと聞いた。

 なので少しばかり潤滑油になりに来たのだよ」



 お茶を少しばかり飲んで、うん…と小さく微笑む。



「誠実極めようとして拗れたのだろう、どうせ」



 割と確信に近い予測を呆れたように呟く    に、何処かギクリ…という効果音が聞こえた。



「ふむ……」



 無垢であるようで、虚無であるような瞳を浮かべて    を見上げるアラカ。


 その瞳を闇に染まり切った琥珀の瞳で覗き……声を綴った。



「何故ここまで苦しんでいるのか、確認をしても良いかね。

 嗚呼、煽ってるわけではないよ。思考する上で必要な手順だ」



 風がアラカの頬を撫でる。頭に巻かれた包帯に滲む血が、乾いてその風をそっと受ける。



「……っ…私が、よわ。い、から」



 小さな、本当に、壊れそうなほどに小さな声で綴る。



「つづ、りさん……が、いな、くても…っ、あるけ、ない……そん、な、よわさ、が…っ」


「はい残念」



      の人差し指で、アラカの唇がそっと塞がれる。


 それにより、言葉が止まるアラカに    は悪戯気に微笑む。



「アラカくん。俺たちは何処までいっても邪悪で、欲望しか愛せない屑の集合体だ。

 理性は捨てて、君の欲望だけを言ってみなさい」



 首を少しだけ傾けて、琥珀色の瞳がアラカを除く。



「汚くていい、悍ましくていい…あの子も君に対して、君の欲望を是としたがっていた筈だ」



 そして、そんな彼だから君は……と、続けることもせず……アラカの声を待った。


 畳の香りが、鼻先で少しだけ揺れて……心が澄んでいく。



「…つづ、りさん……と、はなれ、た…から…?」



 当たり前の、答え。


 そしてこれは思考回路を稼働させることに長けているアラカと、    だからこその切り込みでもあった。



「そうだね。では何故、離れたことで君はこうなったのかな」


「…………」



 ここで必要なのは、きっと自分を外側から見る力。


 アラカは少しだけ瞳を閉じて……すっ、と薄く開いた。



「依存対象が、消えたこと、による……おび、え…?」


「そうだね、依存できる誰かを失った。それが君の不安定さの原因だ。

 では何故、君は不安定なのかな」



 声は透き通り、耳に届く。


 当然、人間不信であるが故に不快感は微かに滲むが……それでも、今までから見れば相当浅い不快感だった。



「ただ、心でそう思いなさい。

 ここから先は君の心の領域だ……声に出せば、君は自分を傷つけることになる」



 それさえ見抜いていたのか、優しい声が聞こえる。


 心に踏み込まれることを心底毛嫌いする、そんな属性を有するアラカに配慮したのだろう。



「(依存が、解けて…世界が、その全てが、正しく敵として、うつった、か、ら)」


「ならば君の心に必要な成長とは。

 如何にして周囲の敵〝に見える存在〟と向き合うか、それに限る」



 そんな返答としか思えない声に、アラカは困惑する……が、目の前にいるのが     であるが故、その謎はすぐに氷解した。



「嗚呼、これはただの演算だからね。

 間違えていたらすまない」



 ふふっ、と微笑む瞳は優しげで、けれども何処までも見抜いているようで……アラカの背に怖気のようなものが走る。



「ヒントを授けておこう。

 価値観の歪み、それを特定なさい」

「かちかん、の、ゆがみ……」



 お茶を飲みながら「うん、落ち着くね…」と優しく笑んで、その縁を指でそっと拭う。



「ままー、おっぱいくれー」


「はいはい、ウェルも抱き締めたげるから拗ねないの」



 虐殺を繰り返す怪異。その全てを生み出した根源とも言える最悪の怪異……。


 怪異の元首領、その姿は何処までも自分の生み出した子へ微笑みを向ける少女にしか見えなかった…。

読んでくださりありがとうございます…!

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